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イールドカーブコントロール(YCC)修正内容と日銀の考え 2023.07.23発表


7/28 日銀金融政策決定会合

結論からいうと、

短期金利は-0.1%の現状維持としつつ
長期金利(10年債金利)の変動許容幅の修正が
行われました。
いわゆるイールドカーブコントロール(YCC)の柔軟化です。


イールドカーブについて理解を深めたい方はこちら

では、どのような修正が行われたのか?

黒田元総裁次期に導入されたYCCですが、
昨年12月に変動許容幅の±0.25%→±0.5に変更が行われました。

しかし今回は0.5%→1.0%の変更ではなく、
あくまで目処は0.5%とし、
上限を1.0%まで柔軟化した次第になります。

下記図がわかりやすいですね。

これまでは0.5%を超えないように
指値オペで長期金利を抑制させていましたが

今回は0.5%を超えたとしても指値オペは行わず
1.0%を超えそうなときに機動的に対応するという形です。

次に、なぜ修正を行なったのか?
日銀の狙いは?

についてご説明したいと思います。

簡潔にいうと、
物価見通しの不確実性が高く、
上振れリスクが顕在化してからだと遅いため
早めに修正案を出した
ということになります。

下記図をご覧ください。

日銀の物価見通しは
23年度には目標である2%を大きく上振れしています。
一方で24-25年度は下振れ傾向にあります。

日本銀行が出している
4月の「経済・物価展望レポート」では
23年度の物価見通しが2%半ばでしたが
今回の展望レポートでは3.2%。

このことから何が言えるかというと、
物価目標2%の持続的かつ安定的な実現を
見通せる状況にない
ということです。


足元の物価上昇圧力も高まっている中で、
物価が今後も上昇し続けていくとなると
長期金利が0.5%を超える想定も視野に入ってきます。

よって、今後物価上昇が想定以上に加速した場合、
物価をコントロールするため
長期金利を1%まで許容できるようにしたわけです。

これを「柔軟化」というニュアンスで
市場に伝えたということになります。

今すぐ長期金利を引き上げるわけではなく
物価動向に合わせて柔軟に対応するということでしょう。

市場では、
「YCC撤廃だ」
「事実上の利上げだ」
という意見が多く出ております。

私的には
根本的な利上げではないが、実質的な利上げ
であると考えております。

利上げとは一般的には、
短期金利が引き上がることです。
長期金利は市場での需給によって上がったり下がったりします。

ですが、日本の場合は
YCCによって長期金利が上がらないよう
コントロールしていましたが、

その「壁」を一つ取り外したことにより
実質的な利上げであるという解釈をしています。

利上げとなると
株価や実体経済に影響が出るの?
ってことだと思うのですが、

先ほどもお伝えしたように
本来影響が強いのは短期金利が上がることです。

よって株価への影響は限定的だと考えていますが
住宅ローン(固定金利型)をこれから組まれる方にとっては
支払う金利が多少増える可能性があります。

なので固定金利型ローンで住宅購入検討されている方は、
一度銀行の窓口で詳細聞いてみると良いですね。

住宅購入は莫大な資金がかかるので
金利が数%違うだけでも大きく変わってきます。

知識があれば多少なりとも有利に事を運べることもあるので
是非頭の片隅にでも入れておいて頂ければなと思います^^

簡単にまとめますと
今回の日銀金融政策決定会合では、

現在の金融緩和策は現状維持としつつも
物価が上振れした際にコントロール出来るよう
YCCの柔軟化を決定した

ということになります。


日銀の目標は
「持続的・安定的な物価上昇率2%」

これを達成するために
粘り強く金融緩和を続けるということですね。



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