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【材料整理】7月15日週相場振り返り 7月22日週シナリオ

Ⅰ.今週のマーケット(7/15~7/19)


今週のマーケットは、短期的で不透明な材料に振り回されました。

具体的には、トランプ氏の発言、河野氏による日銀利上げ観測、夏枯れ相場への調整意識、そして為替介入警戒などが挙げられます。

まず、トランプ氏による「円安否定」発言です。彼は現在の円安が日本のみ恩恵があると指摘し、円安是正を訴えました。トランプ氏が大統領になれば、この円安度合いを縮めるのではないかと見られており、米国の利下げおよび日銀の利上げ観測から、一時的にドル売りと円買いが加速しました。

次に、河野氏の日銀利上げ示唆です。マーケットで円買いが進んだのはこの材料だという意見もありますが、私はそうは思いません。これは彼が総理になった場合の話であり、現在、彼が総理になる確率はわずか6%です。海外投資家にとっては「だれですか?」という状況であり、この発言は一般のエコノミストの日銀利上げ示唆と大差がないと思います。したがって、材料としては弱いと考えています。

では、17日(水)のドル売り/円買いの原因は何だったのでしょうか。一つはトランプ氏の影響です。米討論会後、大統領選の確率でバイデン氏の支持率が急落し、その後のトランプ氏の演説での出来事から支持率が急上昇しました。現在、大統領になる確率が最も高いのはトランプ氏です。そのため、彼が大統領になった際の財政政策や金融政策がマーケットに一時的に織り込まれたと考えられます。トランプ氏は現在の円安を否定しており、米利下げや日銀の追加利上げを促す可能性があります。つまり、日米金利差縮小への意識が高まったことによる調整が入ったという認識でいます。また、海外投資家がバカンスに入る時期でもあるため、夏枯れ相場に向けての調整も考えられます。

これらの材料によってマーケットは振り回されましたが、これらは不確実性の高い材料です。ここで忘れてはいけないのが、「大きく相場を捉える」ということ。大局は、景気の良し悪し年内利下げ期待によるものです。現在の相場は、この二つの大きな要因で動いています。その中で短期的な材料がマーケットを振り回したに過ぎません。ただし、この短期的な材料がどれほどの影響を及ぼすかは不透明であり、相場が落ち着くまでは無理なトレードは控えるべきだと考えます。

大局を抑えると、現在市場は年内に2回の利下げを100%織り込んでいます。3回目の利下げの可能性もありますが、それは米国の労働市場が崩壊した場合を想定してのことだと考えます。現時点では米国はソフトランディングに向かっており、その確率は低いと考えます。引き続き、雇用や消費、インフレなどの経済指標や目先の決算に注目が集まってくると思います。




Ⅱ.米金利動向


米金利の動向を見ておくと、中期的には緩やかな米金利安トレンドを想定しています。ただし、短期的には米金利安を織り込んでいるため、現在の材料では金利が下げ止まっている状況です。どこまで戻すかですが、大きな流れとしては米金利安トレンドにあるため、戻っても4.30~4.35%付近までの調整にとどまると考えています。年内に2回の利下げが行われる前提であれば、4.2%前後が安定した水準になると見ています。

米10年債




Ⅲ.為替


今週ドル円は、週足で3.5円下落しましたが、その後2.5円戻しています。トランプ氏による発言や日銀利上げ期待、日米金利差縮小を見越した動き、夏枯れ相場など、複数の材料が絡み合って調整が入ったのだと思われます。しかし、米金利安の織り込みやドルの買い戻しからある程度戻して引けています。

テクニカル的には、1時間足レベルでは下降トレンドが形成されていますが、4時間足や日足の中長期では上昇トレンドです。また、ファンダメンタルズ的にも米金利安の織り込みや明確な円買い材料がないことから、一服したのだと思います。個人的には、151.900-152.000を割ってこない限り、上目線継続で考えています。ただし、短期的な方向性は読みづらく、ここから再び円売りになるのか、それとも調整が入るのかは不透明です。よって、方向性が出るまでは静観するのも一つだと思います。

ドル円日足

ユーロドルは、テクニカル的には日足ダウトレンドを少し上抜けしてから反発しています。今週の序盤はドル安によって上昇し、終盤は米金利安折り込みやドルの買い戻しによって下落しました。ECBの政策金利発表がありましたが、予想通り据え置きで特に動きはありませんでした。

今後、米金利安の織り込みやECBの9月利下げに向けて材料が揃えば、ユーロドルは下降トレンドに入る可能性があります。ただし、米金利高が織り込まれると、ユーロドルが素直に下落するとは考えにくいため、しばらくはレンジを組む想定で考えています。材料次第でドル高か、ユーロ安になればじりじりと下げていくシナリオを想定しています。

ユーロドル




Ⅳ.7月22日週シナリオ


7月22日週には、米GDPや米個人消費支出(PCE)の発表が予定されていますが、月末にFOMCや大型企業の決算が控えているため、今週は方向性が出にくいと考えています。

前回のPCEでは、総合値とコア値の両方が2.6%で、FRBの年内予測値である2.8%を下回る結果となりました。今回は、年内の利下げがすでに織り込まれているため、よほど大きな乖離がない限り、米金利の低下は限定的だと考えています。安値である赤色ゾーンは底堅いと思われますので、米金利の反発に合わせてユーロドルを売る戦略は有効だと考えます。

10年債


ドル円は、トレードを行うのであれば、4時間足以上の大きな時間軸でテクニカル的に引き付けることを推奨します。現在、月足で6円ほど下落している状況です。振り返りでもお伝えした通り、151.900-152.000は日足ダウトレンドの転換点であり、月足10円の下落幅を考えると、多くのトレーダーが押し目買いを狙っているでしょう。しかし、この価格帯まで来ないと予想されるため、その少し上の153.500の価格帯、月足8円とフィボナッチ38.2の水準で買いを検討しています。ただし、これだけだとテクニカルに頼りすぎている部分もあるため、その時の材料や時間帯、米金利の動向も見ながら検討します。

ドル円


ユーロドルは、引き続き下落トレンドを想定しているため、戻り売りを狙うシナリオです。しかし、すでに高値から70pips程度下落しているため、どこで戻り売りを狙うかですが、理想は、高値付近でのダブルトップを狙いたいと考えています。タイミングとしては、今週指標などで上昇してくるとチャンスになると思います。

手前でフィボナッチを引くことも考えられますが、ユーロドルのこのようなパターンは過去に何度も見られました。その傾向を見ると、フィボナッチ50で反発することが多いですが、10~15pipsほどの反発であり、リワードとしては弱いです。デイトレなら有効かもしれませんが、個人的には損切り位置が微妙になるため、高値まで来るのを待つのが得策だと考えています。

ユーロドル


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