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11/3/20 H 鹿島アントラーズ戦レビュー

2020年11月3日、J1リーグ第31節横浜Fマリノス VS 鹿島アントラーズのレビューです!!

お久ぶりのたかたかです。
毎度毎度間隔があいて「お久ぶり」って言ってるのでこれが定型文になるかもしれません。


今回は二試合前(現時点:11/14 H浦和戦前)の試合におけるそれぞれの狙いを簡潔にまとめてみます。

Lineup

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スタメンは上記の通り。
マリノスは22連戦を終え中5日、対するアントラーズは名古屋戦からなか2日での連戦となります。

1.Marinos's  first phase of build-up

この試合でマリノスが意識したことは「縦に拡げる」ことであったと考えられる。
具体的には、GK→CBの後に中に絞っていたSBが外へ開き、WGが鹿島SBをピン止めしたことによって中盤に空いたスペースにDMFが侵入するというものである。

(下記gifは三コマ)

鹿島線B=up

鹿島STはDMFをカバーシャドウしつつマリノスCBにプレスをかける。マリノスSBは初期位置中→外に動くため、マーク担当の鹿島SMFは初めからタイトにマークすることが出来ない。
また、キーとなるマルコスが浮いたポジションを取るため、鹿島DMFは①マルコス②マリノスDMF どちらを見るのか状態に陥る。
本来プレス強度を上げて準備してきた鹿島はレオシルバを前線に上げているため、永木はマークにつくのではなく一人で中盤のスペースを視る必要性が生じる。

すると、浮いたマリノスDMFに鹿島はマークを付けることが出来なくなってしまっていたのである。


このような「縦に拡げる」ことをテーマにした前半のマリノスは鹿島のプレスをかいくぐり、1ゾーンを攻略することが出来ていたように感じる。

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2.Kasima’s first-second phase of build-up

次に、対する鹿島のビルドアップ・前進がどのようなものであったかに着目する。
簡潔に言えば、鹿島は常にロングボールによって前進を狙っていたように感じる。

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1.DFライン裏
ご存知の通りマリノスはハイラインを敷くため、DFライン裏には広大なスペースがある。ここを狙うのは対マリノスに置いて重要なポイントである。一回裏抜けに成功することが出来れば、待っているのはGKだけである(だけなはずである...)。

鹿島もそれを積極的に狙っていた。
しかし、他のチームとは異なる武器がマリノスDFにはいる。チアゴによって裏抜けを狙う上田はことごとくつぶされ、①DFライン抜けに関しては、鹿島はあまりうまくいってなかった。

2.LSB永戸
当たり前だが、ロングボールの供給先は他にもある。次に挙げるのはLSBの永戸へのロングボールだ。

鹿島の選手の動きを確認すると、STは全線でDFと駆け引き・SMFは中に絞るという動きがみられる。
この前線の動きによって空いた大外に鹿島SBは幅を取りそこにボールを動かす、という形である。

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マリノスは4-4-2に近い(形を崩してプレスをかける)形で圧力をかける。SBには中よりの位置をとる鹿島SMFを監視する必要が生じ、上記の鹿島のポジショニングによってマリノスWGは見るべき選手を失う。

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また永戸はクロス・パス共に高水準でプレーすることが出来るため、いったんボールを与えることが出来れば鹿島にとってチャンスを作ることが出来ると推定していたのだろう。


3.逆SB
また、給水後により回数が増えたのは「逆SB」へのロングボールである。

昨シーズンから何度も上空を通過する対角線のロングボールを見てきたマリノス側には周知のとおり、が空いてしまうのがマリノスの守備の特徴の一つである。
展開を変える意味でも非常に効果的なこの「逆SBへのロングボール」を鹿島も狙っていた。

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以上がロングボールを中心とした鹿島の前進の特徴・種類である。

1に関してはそこまでの脅威はなかった(結果的には失点したけど。)ものの、2-3に関してはマリノスのスライドが間に合わない状況が起こり、配給先をさらに起点にしてよりよい形での2ゾーン攻略を図っていたように感じる。

3.Kasima’s  build-up +plus

前半中の鹿島の前進について、もう一点あげるとすれば8.土居のポジション取りの変化である。

前半の中盤ごろまでは、最前線に近いポジショニングを行っていたため鹿島中盤に受け手として下がる傾向は低かった。この傾向も上記のロングボールによる前進を狙いとしていたため、ロングの受けてかロングを受けた選手のサポートに入る役割も担っていたのだろう。

しかし、給水後から30分過ぎの前半中盤にかけて土居のポジショニングが低くなっていたのである。(33分あたり~)

守備プレス時マルコスを前に送っていたマリノスにとっては単純に中盤の枚数で数的不利が作られたり、サイドにおけるマリノスWG・SBでのギャップへの侵入大外SBにボーㇽが渡った時のサポートなど序盤に見せていた役割とは異なるものを担っていたと考えられる。

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実際に上田のすーぱーごーるも、大外鹿島SBへのサポートに回った土居によるアシストからであった。

4.What tormented the Marinos in the second half

さて、以上が攻守における前半での両チームの特徴である。
前半もとてもうまくいったわけではないが、うまく前進することが出来ていた印象だ。

しかし、後半になるとより鹿島がゲームの主導権を握る展開になった。押し込まれ、陣地回復することが難しくなったマリノスはボールをとったのに奪われ、パスもうまくつながらない苦境に陥った。

ではなにが後半のマリノスを苦しめたのか、それについて考えてみる。

1.鹿島のプレス
強度前半もかなり強度が高かった印象だが、後半の鹿島はさらにそれを上げてきた印象である。

今一度前半におけるマリノスの前進をgifを今一度挙げて考える。決して久しぶりにgifをつくることに楽しさを覚えたからではない。

鹿島線B=up

上記のように、マリノスはマルコス・SB・WGのピン止めをDMFが利用することで前進を狙っていた。

ここでキーになるのはマルコスの動きであり、逆に鹿島側から言えばマルコスのマークを明確にする必要性があったのである。



そこで、ボールがマリノス左側にある際には、マルコスをRCB犬養がみる&LCB町田がカバー・サントスを監視という形に変えた。すると、永木をマリノスDMFにつけることが出来る。それによって全体的にプレスの位置を上げることができ、強度を上げることに成功したのである。

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ポゼッションにおいて重要になる「時間とスペース」これを失ったマリノスは息が苦しくなり、前半のような全身の仕方も、数的同数である最前線にロングボールを配給するという選択肢も失う状況に陥ったのだ。

2.遠藤康投入

前半の中盤以降からSTの一人である土居が中盤に顔を出したり、サポートに回ったりなどの変化が見られたということは既に述べたとおりである。
鹿島は、後半におけるその役割を遠藤康に託したのだ。

ビルドアップ・サポート・チャンスクリエイトにより強みを持つ遠藤を中盤い置くことで、ボールを持つ時間を増やすことができ、またより多くのチャンスを作ることを目的にしたのだと考えられる。

遠藤康を投入した理由としてザーゴ監督は下記のように述べている。

Q.素晴らしい逆転劇。前半はどういう点が悪く、後半に向けてどう変えたのでしょうか?

(ザーゴ監督)
前半はどうしてもボールが前の方で収まらなくて、チームが押し上げようとするところでまた失ってとなっていた。出ていこうとするスペースをマリノスさんに使われて失点していました。まず前で収めるということで、遠藤(康)選手はそういうタイプですし、収めることで攻撃に厚みを持たせることができたし、チームが余裕を持ってプレーを選択する時間というものを作ってもらったと思います。

                  【JリーグHP・監督コメントより】

以上の、大きく分けて二点による鹿島の変更がマリノスを苦しめたと考えられる。


5.impressions

鹿島で攻守において大きな貢献を果たしたのは28.町田であったように感じる。

配給役を任された攻撃に関しては勿論であるが、前半からサントスを1vs1で見るような役割を任されていた守備面でも監督からの期待や信頼は厚いのではないかと思うところである。

全方向へのパス成功率に留まらず、ミドルサードでのパス成功率も90%近いものを記録していた。(SPAIAより ミドルサードでのパスは20本記録)

長身であり左利きという貴重なCBであるため、今後にも期待したい(何目線)

マリノスに関しては、この試合の後で行われた湘南戦で0トップを試すという変更が目立った。

鹿島戦後半でマルコスがあまり落ちてきていないことに予兆があったのではと思ったりする。(勿論鹿島の強度が高いことと、陣地回復のために前目に残ったということも考えられるが)

いずれにしてもJリーグでの残り試合は少なく、本日(11/14)はホーム最終戦である。
ACLが意識の中にちらつく時期だが、2020ホームの締めくくりとして面白い試合に期待したい。


最後までありがとうございました!!!

鹿島線B=up


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