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選民思想キモすぎ

THE SECONDを観た。予選はそんなに追ってなかったけど、面白かった。ギャロップ優勝おめでとうございます。


流れ星瀧上が「フランス映画」と評した三四郎のネタを観たが、めちゃくちゃお笑いマニアに寄せたネタだった。審査員がお笑い好きの素人100名なのでそこを攻めるのは賢い選択だし、瀧上のそれは負け惜しみにしか聞こえない発言ではあるのだが、ゴールデンのテレビで披露するようなネタでは無かったのは確かである。

笑いというものは幾つかあるが、頭の片隅にあるけど普段は忘れていたり、予測していないような事柄を持ってくるのは鉄板だと思う。「あるある」もその一種で、その事柄を知らなければ笑えないけどそのチョイスが王道過ぎても笑えない。そして、そのチョイスが一般ウケしないような絶妙なバランスになればなるほど、それを知っていたり共感できる者は笑いだけでなく優越感も同時に得ているような気がする。内輪ノリが盛り上がったり、知らない人と珍しい共通点を見つけると楽しくなるのはそう言うことだろう。

三四郎と対戦したスピードワゴンのネタで、笑う人を選ぶような、予備知識が必要なものは殆ど無かった。強いてあげるならば井戸田がハンバーグネタをやっていることと、安達祐実と結婚していることぐらいだろうか。三四郎のネタは芸能事務所、一般的に知名度の低い芸人やそれに類する事柄を知っていないと全然笑えない。

三四郎のネタに出てきた中で、ダウ90000というグループが分からなかったので調べて、2本ほどコントを見てみた。


きしょい。タイトルからきしょすぎる。サブカルホイホイすぎる。AKIRAというサブカル界の金字塔を安直に持ってくることでAKIRAの中身を知らない人にでもネタの雰囲気を掴みやすくするという効果はあるのだろうが、中身もサブカル固有名詞のオンパレードだった。何よりコメ欄の「分かってる」「本のセンス」みたいなのが最悪過ぎる。もう1本のネタでは「クロノスタシスって知ってる?」と言うワードが飛び出したのだが、それに対して「これでウケるの客層良くて好き」というコメントが付いてた。クロノスタシスがどのくらいサブカルなのかと言う点は置いておいて、サブカル度が高そうな事柄を並べて客のサブカル虚栄心みたいなのを満たしているのが終わってる。

ダウ90000のネタに関してはYoutubeの動画なのでそれを好きな人だけが観て勝手に悦に浸るだけだから別に良いっちゃ良いのだが、今回の三四郎に関しては地上波だったので非常に良くない。こう言うネタを面白いと言える人間がお笑いを分かっているみたいな空気が非常に気持ち悪い。

勿論今回の三四郎のネタだけでなく他の芸人のネタにもその様な予備知識を要するものは多かったし、お笑いに限らず世の中のエンタメには「知っている人」向けの者が多数存在する。でも知っていないと面白くないは話が別だ。

例えばヒップホップではサンプリング文化というものがある。既存の曲を改編してトラックに使用したり、既存のリリックを自分の曲に入れ込んだりする。気付かなくても問題無いが、気付くとニヤリとできるものだ。この位の「分かってる」感が一番綺麗な落とし所な気がする。しかしSNSが盛んな現代ではそのような情報が出回るのも早く、そこに気付けない人間は素人、ニワカ扱いされる。新参者を拒むヒップホップの悪い面である。

つらつらと文句を書いているが、どちらかと言うと私は大衆が好むものより、所謂サブカルにあたるようなものの方が好きなものが多いし、その気持ち悪い選民思想の気持ち良さも知っている。でもその選民思想は、内側にいると気付きにくいが外側から見るとめちゃくちゃにダサい。まずもって私のような素人がお笑いを語るのもきしょいし、あと芸能人が一般人を素人って言うのもきしょい。勿論知らないよりは何事も知ってる方が良いのだが、その知ってることを誇り、知らない者を下に見る行為は究極にダサいので辞めるべきである。これは自戒の念も少し込めている。

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