官公省庁の調査:商店街実態調査
①概要
・商店街実態調査では、商店街=「小売業、サービス業等を営む者の店舗等が主体となって街区を形成し、これらが何らかの組織を形成しているもの」と定義
・調査票を見ると、言葉の定義や例示、回答に迷った際の対処法までかなり丁寧に記載されている。定義は報告書本編の脚注などにも記載されている
・過去の調査一覧は中小企業庁HP内、「過去の調査・報告書」参照
・平成30年度調査ではPDFの報告書のほか、「資料編」「都道府県別データ」2種類のExcelデータを公開。令和3年度調査ではさらに「公開用データベース」も公開した。
・「資料編」「都道府県別データ」のフォーマットが平成30年度調査と令和3年度調査でだいぶ異なるが(1問1シート⇔全問1シート+リンク付きの目次)、どちらも1問ずつn%表(実数と割合を一緒に記載)にまとめていて、データの読み方は変わらない
・「公開用データベース」では商店街名を伏せて個別の回答状況を公表(3,538件)。公表は回答者から同意を得られた商店街のみで、匿名でも特定される恐れのある商店街も除いている。生に近いデータなので(Excelスキル含め)ある程度データの加工・分析技術がないと活用が難しそう
②設立背景
1970年
③管轄
・経済産業省中小企業庁
・調査の実務は民間企業に委託。委託先は毎回変わる。令和3年度は(株)CNNグループ
④調査時期
・3年周期で実施
・●年度調査の場合、通常、●年11月に調査票発送、●年12月締め切り
※締め切り後でも決められた日までに届いた回答は有効回答とする
・平成27年度調査までは11月1日現在、平成30年度調査からは10月1日現在での記入を求めている
⑤発表時期
・●年度調査(●年10月1日現在で記入)
→●年の翌年4月頃に公表
・約半年遅れ
⑥調査対象
・全国の商店街
・令和3年度調査では、各都道府県が把握する1万3,408の商店街のうち、連絡先が分かる1万2,210の商店街に調査票を配布。12,210÷13,408×100≒91.1%
・令和3年度調査の回答数は5,148件(回答率42.2%)、有効回答数は5,105件(有効回答率41.8%)
※無効回答=無回答が多いもの、明らかに入力間違いしているもの
・都道府県の把握数から考えると、有効回答は5,105÷13,408×100≒38.1%
・有効回答件数すべてが集計に反映されているわけではない(本記事⑧調査方法参照)。集計対象は4,606件で、都道府県の把握数から考えると、4,606÷13,408×100≒34.4%
⑦調査項目
・設問数は毎回20問前後。令和3年度調査は23問
・令和3年度調査の設問は以下の通り(詳細は調査票等参照)
★組織形態(解散を含む)
…商店街振興組合/事業協同組合等/その他の法人/任意団体
★役員構成等
★専従事務局員数
★全体の店舗数・空き店舗数・チェーン店舗数、会員(組合員)数など
★商店街の予算規模
★商店街の業種別店舗数と最近3年間の店舗数の変化
…百貨店、大型ディスカウント店/衣料品、身の回り品店等/最寄品小売店/飲食店/サービス店/医療・保育・公共施設
★商業立地環境
…住宅街/繁華街/駅前・駅ビル/ロードサイド/オフィス街/その他
★商店街のタイプ
…近隣型商店街/地域型商店街/広域型商店街/超広域型商店街
★商店街の最近の景況と将来の展望
★商店街の来街者層
…高齢者/主婦・主夫/家族連れ/会社員/学生・若者/観光客/その他
★最近3年間の来街者数の変化、来街者のニーズ調査・通行量調査
★最近3年間の変化(チェーン店舗・テナント店舗・空き店舗)
★大規模小売店舗の出退店とその影響
★商店街の問題
★空き店舗問題
★商店街の組織と活動
★商店街の各種事業の取組状況
★キャッシュレス決済の取組状況
★自治体からの支援状況・支援内容
★まちづくり会社との連携・協力状況
★各支援機関等の活用状況
★外部人材との連携・協力状況
★新型コロナウイルス感染症のまん延による影響
⑧調査方法
・アンケート調査
・各都道府県が実態調査・聞き取り調査等で把握している商店街のうち、連絡先が分かる商店街に調査票を郵送配布。郵送またはオンラインで回収
・調査票のサンプルは詳細版報告書の末尾「資料編」に添付されている
・集計では、有効回答(5,105件)のうち解散済み商店街の回答(499件)を除外。5,105-499=4,606件 ※設問によってはさらに一部組織を除外
・①明らかな概数で、かつ調査への影響が大きい回答、②他の設問と整合性が取れない回答については、その設問のみ「無回答」扱い
※詳細版報告書には設問ごとにどんな回答を無回答扱いにしたか注記されている
・設問ごとの有効回答数はn=●で記載
⑨活用
・政策策定の基礎資料
⑩その他メモ
・現在は「経済構造実態調査」に統合され、廃止されたが、経済産業省「商業統計調査」に商店街数の記載あり(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&layout=dataset&toukei=00550020&statdisp_id=0003152347)
・以下、都道府県の商店街実態調査(中小企業庁の商店街実態調査が参考にしている調査とは限らない)。中小企業庁の商店街実態調査より回答率が高い傾向
北海道
北海道経済部地域経済局中小企業課が2年度に1回「商店街実態調査」を実施(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/csk/shoshin/shoutengai-chousa.html)
青森県
青森県商工労働部「商店街実態調査」(https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/shoko/shoko/aomoriken-no-syoutengai0.html)
岩手県
岩手県、岩手県商工会議所連合会、岩手県商工会連合会、岩手県中小企業団体中央会、岩手県商店街振興組合連合会が3年度に1回「岩手県商店街実態調査」を実施(https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/sangyoushinkou/shougyou/shougyou/1053344.html)
宮城県
宮城県経済商工観光部商工金融課商業振興班が3年度に1回「宮城県商店街実態調査」を実施(https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/syokokin/syoutengai-zittai-survey.html)
秋田県
不明
山形県
不明。「商店街実態調査報告書(山形県版)」は中小企業庁の「商店街実態調査」のうち山形県部分をまとめたもの
福島県
福島県商工労働部が2017年度「福島県商店街実態調査」を実施(前回調査は2007年度)(https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/32021d/h29-shoutengaichousa.html)
茨城県
茨城県商工労働観光部が3年度に1回「商店街実態調査」を実施(https://www.pref.ibaraki.jp/shokorodo/chusho/shogyo/30syoutengai/29shoutengai-houkoku.html)
栃木県
栃木県産業労働観光部が2014年度「商店街実態調査」を実施(前回調査は2009年度)(https://www.pref.tochigi.lg.jp/f03/work/shoukougyou/chousa/shopping-street-survey2014.html)
群馬県
不明
埼玉県
埼玉県産業労働部がおよそ5年度に1回「埼玉県商店街経営実態調査」を実施(最新:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0802/shoutengai/r3syoutengaichousahoukokusyo.html)(過去:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0802/shoutengai/h28syoutengaichyousa_kaiteiban.html)
千葉県
千葉県商工労働部が2017年度「千葉県商店街実態調査」を実施(前回調査は2008年度)(https://www.pref.chiba.lg.jp/keishi/toukeidata/shoutengai/index.html)
東京都
東京都産業労働局が3年度に1回「東京都商店街実態調査」を実施(https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/chushou/R1syoutengai-zittaityousa.pdf)
神奈川県
公益社団法人商連かながわが5年度に1回「神奈川県商店街実態調査」を実施(https://shotengai-kanagawa.com/mallinfo/article4646.html)
新潟県
新潟県産業労働部商業・地場産業振興課が3年度に1回「新潟県商店街実態調査」を実施(https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/chiikishinko/zittaityousa2020.html)
富山県
富山県商工労働部商業まちづくり課がおおよそ3年おきに実施。「消費者購買動向調査」「商業者動向調査」「商店街実態調査」がセットになっている。最新の調査は「H28 富山県新幹線開業等消費・商業影響調査」(https://www.pref.toyama.jp/1300/sangyou/shoukoukensetsu/shoukougyou/kj00017643.html)
石川県
不明
福井県
不明
山梨県
不明
長野県
長野県産業労働部が3年度に1回「商店街実態調査」を実施(https://tokei.pref.nagano.lg.jp/statist_list/8984.html)
岐阜県
不明。岐阜県商工労働部商業・金融課の「商店街の空き店舗等実態調査」で各商店街の総店舗数を確認可能(https://www.pref.gifu.lg.jp/page/1209.html)
静岡県
静岡県経済産業部商工業局地域産業課が2020年度「静岡県商店街実態調査」を実施(http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-570/documents/jittaityousa2020.pdf)
愛知県
愛知県「あいち商店街活性化プラン」の参考資料に「商店街実態調査」が掲載されている(https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogyo/shidou0402.html)
三重県
不明
滋賀県
滋賀県が5年度に1回「滋賀県商店街実態調査」を実施(https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/shigotosangyou/kigyou/16916.html)
京都府
不明
大阪府
不明。一般財団法人大阪商業振興センターが2021年に「コロナ禍における府内商店街等の空き店舗実態調査」を実施している(http://e-osaka.or.jp/news_23.html)
兵庫県
不明
奈良県
和歌山県
不明
鳥取県
不明
島根県
不明
岡山県
岡山県中小企業団体中央会が2011年に実施した「岡山県商店街実態調査」以外不明(http://www.okachu.or.jp/wp-content/uploads/2012/08/b0d65e93e2f4243265114cdc69e96e67.pdf)
広島県
経済産業省「商業統計調査」の広島部分公表(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/toukei/syogyotoukeityousa.html#h20)
山口県
不明
徳島県
経済産業省「商業統計調査」の徳島部分公表(https://www.pref.tokushima.lg.jp/statistics/year/commerce/)
香川県
不明
愛媛県
愛媛県経営支援課が2021年度に「愛媛県商店街実態調査」を実施(前回調査は2019年度)(https://www.pref.ehime.jp/h30300/keieishien/03jittaicyousa.html)
高知県
高知県商店街振興組合連合会、(株)若竹まちづくり研究所が2017年「高知県商店街実態アンケート調査」を実施(https://www.kochi-shotengai.net/app/download/13228789388/01.%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf?t=1511924085)
福岡県
不明
佐賀県
不明
長崎県
不明
熊本県
熊本県商工観光労働部商工労働局商工振興金融課が「熊本県商店街実態調査」を実施(https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/61/2289.html)
大分県
不明
宮崎県
不明
鹿児島県
不明
沖縄県
沖縄県商工労働部中小企業支援課が2019年度「商店街実態調査」を実施(https://www.pref.okinawa.jp/site/shoko/keiei/shotengai/jittaichosa_top.html)
⑪参考資料
・中小企業庁"商業・地域サポート「商業活性化」" https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/index.html
・マクロミル"集計の基本(4)データを読み解く" https://www.macromill.com/tabulation/knowledge/data-reading.html