官公省庁の調査:情報通信業基本調査

①概要

・一般統計調査
企業単位の調査(工場や支店の実績を含むが、子会社や関連会社の実績は含まない)
2021年調査までは資本金額一定規模以上の企業を対象とした全数調査2022年調査からは層化無作為抽出法による標本調査
・情報サービス業、映像・音声・文字情報制作業は2021年調査を最後に廃止。残った業種も、調査項目がだいぶ絞り込まれた
・結果はアクティビティベース主業格付けベースに分けて公表。前者と後者で複数事業を営む企業企業全体の数字(売上高、従業者数等)の集計方法が異なる。アクティビティベースでは複数事業を営む企業の企業全体の数字をそれぞれの業種に丸ごと加算するので、各業種の足し上げが総計を上回る。主業格付けベースでは売上が最も大きい業種にのみ加算するので、各業種の足し上げと総計が一致する
→「企業全体」というのがポイント。アクティビティベースでも、業種別売上高なら足し上げと総計は一致する
※2021年調査までの公表様式。2022年調査以降は要確認

②設立背景

2010年から実施

③管轄

総務省
※2021年調査までは経済産業省との共管だったが、2022年調査から経済産業省所管の情報サービス業、映像・音声・文字情報制作業が調査対象から抜けるため総務省単独に

④調査時期

・毎年6月中旬~8月中旬に実施
・調査票には3月31日現在で記入
※「●年情報通信業基本調査」→●年の前年度の実績

⑤発表時期

毎年3月頃に確報公表

⑥調査対象

<2021年調査まで>
日本標準産業分類の大分類「情報通信業」(電気通信業、放送業、放送番組制作業、インターネット附随サービス業、情報サービス業、映像・音声・文字情報制作業)に属する全国の企業
・資本金(出資金)額一定規模以上の約1万2,000企業を対象とした全数調査
・2021年調査の共通事項調査用調査票の回収率は68.7%。業種別調査票の回収率はおおむね5割(49.4%〜65.7%)程度
ーーー
<2022年調査から>
日本標準産業分類の小分類「固定電気通信業」「移動電気通信業」「民間放送業(有線放送業を除く)」「有線放送業」「映像情報制作・配給業」「インターネット附随サービス業」に属する全国の企業
・2022年調査以降は標本調査。「事業所母集団データベース(ビジネスレジスター)」を元に産業別・売上高規模別に層化の上、約1,600企業を無作為抽出=母集団サイズ(約1万5,000企業)の約9分の1

⑦調査項目

2021年調査までは共通調査票1種類(①)+業種別調査票5種類(②電気通信業・放送業用、③テレビジョン番組制作業・ラジオ番組制作業用、④インターネット附随サービス業用、⑤情報サービス業用、⑥映像・音声・文字情報制作業用)の計6種類の調査票を使用
↓2021年調査を最後に廃止
共通事項調査用調査票
情報サービス業用調査票
映像・音声・文字情報制作業用調査票

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2022年調査からは、①電気通信業用、②放送業用、③テレビジョン番組制作業用、④インターネット附随サービス業用の4種類の調査票を使用。それぞれの調査項目もだいぶ削減された(外部委託の状況、事業運営の状況、今後の事業運営、その他当該業種に固有の調査事項等)

<電気通信業用>
2021年調査調査票 ※参考
2022年調査調査票
…企業の名前、所在地、法人番号、電話番号、資本金(出資金)、売上高、営業費用(売上原価/販売費及び一般管理費)、営業外損益(営業外収益/営業外費用/うち支払利息等)、経常損益、当期純損益、減価償却費、給与総額、福利厚生費、動産・不動産賃借料、租税公課、雇用形態別企業全体の従業者数、電気通信業のサービス別年間売上高(固定音声伝送/固定データ伝送/移動音声伝送/移動データ伝送/専用/公衆無線LAN/IDC/その他の電気通信サービス)、電気通信業に係る営業費用(接続料等)、電気通信業に係る取得設備投資額(工事ベース)(取得設備投資額/うちソフトウェア)、雇用形態別電気通信業に係る従業者数

<放送業用>
2021年調査調査票 ※参考
2022年調査調査票
…企業の名前、所在地、法人番号、電話番号、資本金(出資金)、売上高、営業費用(売上原価/販売費及び一般管理費)、営業外損益(営業外収益/営業外費用/うち支払利息等)、経常損益、当期純損益、減価償却費、給与総額、福利厚生費、動産・不動産賃借料、租税公課、雇用形態別企業全体の従業者数、放送業のサービス別年間売上高(地上テレビジョン放送/地上ラジオ放送/衛星放送/有線テレビジョン放送/その他の放送サービス)、放送業に係る営業費用(テレビジョン番組制作費/テレビジョン番組購入費/ラジオ番組制作費/ラジオ番組購入費)、放送業に係る取得設備投資額(工事ベース)(取得設備投資額/うちソフトウェア)、雇用形態別放送業に係る従業者数

<テレビジョン番組制作業用>
2021年調査調査票 ※参考
2022年調査調査票
…企業の名前、所在地、法人番号、電話番号、資本金(出資金)、売上高(全体/うちテレビジョン番組制作業)、雇用形態別企業全体の従業者数、営業費用(売上原価/販売費及び一般管理費)、営業外損益(営業外収益/営業外費用/うち支払利息等)、経常損益、当期純損益、減価償却費、給与総額、福利厚生費、動産・不動産賃借料、租税公課、テレビジョン番組制作業に係る取得設備投資額(取得設備投資額/うちソフトウェア)、雇用形態別テレビジョン番組制作業に係る従業者数、テレビジョン番組の二次利用条件(意思決定プロセス×販売先で9通りの番販本数)

<インターネット附随サービス業用>
2021年調査調査票 ※参考
2022年調査調査票
…企業の名前、所在地、法人番号、電話番号、資本金(出資金)、売上高、営業費用(売上原価/販売費及び一般管理費)、営業外損益(営業外収益/営業外費用/うち支払利息等)、経常損益、当期純損益、減価償却費、給与総額、福利厚生費、動産・不動産賃借料、租税公課、雇用形態別企業全体の従業者数、インターネット附随サービス業のサービス別年間売上高(ウェブ情報検索サービス業/インターネット・ショッピングサイト運営業、インターネット・オークションサイト運営業/電子掲示板・ブログサービス・SNS運営業/ウェブコンテンツ配信業/クラウドコンピューティングサービス/電子認証業/情報ネットワーク・セキュリティサービス業/課金・決済代行業/サーバ管理委託業/その他のインターネット附随サービス)、インターネット附随サービス業に係る取得設備投資額(工事ベース)(取得設備投資額/うちソフトウェア)、雇用形態別インターネット附随サービス業に係る従業者数

※金額は税込み

⑧調査方法

2021年調査まで全数調査2022年調査以降層化無作為抽出法による標本調査(詳細は⑥調査対象参照)
・郵送で調査票を配布・回収。オンライン回答可

⑨活用

・情報通信業の振興施策の企画・立案のための基礎資料 ほか

⑩その他メモ

・経常損益=「売上高」-「売上原価」-「販管費及び一般管理費」+「営業外収益」-「営業外費用」
←それぞれ記入欄があるので、大きな記入ミス・計算ミスには気づきやすい
・租税公課…固定資産税、自動車税、印紙税等の総額。ただし、事業税(法人税、住民税、所得課税)は除く

⑪参考資料

・総務省"情報通信業基本調査" https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics07.html
・経済産業省"情報通信業基本調査" https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/joho/index.html
・浅田昭司「連載 統計情報活用への招待 第12回 情報通信業の公的統計」『情報管理』(2012年)https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/55/3/55_192/_pdf/-char/ja