官公省庁の調査:主要旅行業者の旅行取扱状況速報

①概要

主要旅行業者、約40~50社(グループ)の旅行取扱額・取扱人数をまとめたもの。取扱額は会社単位のデータも公表
月次データ、年度データいずれも速報で、各社の決算報告と必ずしも一致しない
・年度によって社数が異なるが、前年同月比などは最新年度の対象企業に合わせて計算されている
・会社単位で経年比較する場合も、可能な限り、最新データに記載されている範囲内で行う方がいい。会社名やグループ数に変更がなく、特に注記がない場合でも、前回発表時から取扱額が修正されることがある
・毎年5月頃に年度データが公表される。年次データが必要な場合、各月のデータをダウンロードして自分で加工するしかないが、手間がかかるうえ、厳密性が損なわれるのでお勧めしない

②設立背景

・国土交通省時代の「主要旅行業者50社の旅行取扱状況速報」を観光庁(2008年1月設立)が引き継いだ
・2022年6月現在、観光庁HP内「報道発表」から2001年12月分のデータまでさかのぼれる

③管轄

国土交通省観光庁

④調査時期

毎月

⑤発表時期

毎月公表(調査月から約2か月遅れ)

⑥調査対象

・主要旅行業者約40~50社。令和4年度4月調査は43社(グループ)を対象
※ちなみに、2022年6月24日現在、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)の正会員数は1,100社、一般社団法人全国旅行業協会(ANTA)の正会員数は5,389社

⑦調査項目

・総取扱額
…取扱額
・旅行商品ブランド(募集型企画旅行)の取扱状況
…取扱額、取扱人数
・各社別内訳
…取扱額
※いずれも海外旅行/外国人旅行/国内旅行別のデータを公表

⑧調査方法

旅行業者の報告に基づき集計

⑨活用

観光系ネットメディアでの引用多数

⑩その他メモ

・募集型企画旅行⇔受注型企画旅行
・募集型企画旅行=パッケージツアー、パック旅行
・「前年同月値」を確報値として引用している論文もある。観光庁に問い合わせたところ、前年以前のデータはほぼほぼ変わらないが、旅行業者の報告次第なので、絶対に変わらないとも言い切れないとのこと
・旅行業者は旅行業法第10条に基づき、毎事業年度終了後100日以内に「取引額報告書」を提出する義務がある。国土交通省時代の「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」はこの報告書を元に作成されていたようだが(※参考資料)、現在は同報告書とは別に報告を受けている様子。集計基準もある程度旅行業者に任されている模様
→参考:狩野美知子"旅行業における提携販売に基づく重層的産業構造の分析"「静岡大学経済研究」(2008年10月)https://shizuoka.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=2552&file_id=31&file_no=1

⑪参考資料

・一般社団法人日本旅行業協会"JATA会員リスト" https://www.jata-net.or.jp/kaiin/index_mem.aspx
・国土交通省観光庁"旅行業者取扱額" https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/toriatsukai.html
・国土交通省観光庁"旅行業法" https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/ryokogyoho.html