その他の調査:国民生活時間調査(NHK放送文化研究所)

①概要

・人々が1日24時間の中で、どの行動を、どの時刻に、どのくらいの時間しているのか調査するもの。データの種類は大きく分けて「平均時間量」「行為者率」の2種類
・「国民生活時間調査」のページ内、「データのダウンロード」で自分の知りたいデータの種類/調査年/層を選択してから「CSVをダウンロード」ボタンをクリックすると、選択した条件に沿ったCSVをダウンロードできる
・オンラインで入手できるのは1995年以降のデータのみで、それ以前のデータを入手したい場合は、書籍版を参照。ただし、1995年から調査方法が大きく変わった(アフターコード法→プリコード法)ので、これより前の結果と1995年以降のデータは直接比較できない
・「国民生活時間調査」のページ内、「調査概要」は最新年(2020年)の内容なので、それ以前のデータを参照する場合は「調査方法の変更」、「行動分類について」も併せて確認
・類似の統計調査に、総務省統計局「社会生活基本調査」がある。周期は同じ5年だが、「社会生活基本調査」の方が規模が大きい

NHK出版のHP内、「国民生活時間調査」で検索すると2000年以降の書籍しか表示されず、2015年調査のデータブック以外は品切れ(2020年6月9日時点)。中古品も高価なので、図書館で閲覧したほうがいいかも

※ExcelのつもりでCSVのデータを加工、そのまま保存すると、変更内容が保存されないので注意。「名前を付けて保存」でファイルの種類をCSV→Excelに変更

②設立背景

1960年から、NHKの番組編成に生かすべく実施

③管轄

NHK放送文化研究所世論調査部

④調査時期

5年に1回実施(西暦年の末尾が0または5の年)
・10月中に、
土曜日・日曜日の2日間×2回
平日・平日の2日間×2回
計4回に分けて実施

⑤発表時期

調査年の翌年(2020年調査の結果は2021年5月にオンライン発表)

⑥調査対象

全国10歳以上の男女個人
住民基本台帳から層化無作為2段抽出法で抽出
・2020年調査は7,200人(12人×150地点×4回)を相手に調査。うち、1日でも有効回答があった有効調査相手数は4,247人(59.0%)

⑦調査項目

・ 調査対象日2日間の午前0時~午後12時の行動を15分刻みで記録
・データは「行為者率」「平均時間量」の形で公表
行為者率その行動を1日15分以上行った人の割合。平日/土曜日/日曜日それぞれについて、1日単位のデータと15分単位のデータを公表
平均時間量=その行為にかけられる平均的な時間。全員平均時間量と行為者平均時間量の2種類公表。全員平均時間量はその行為を行っていない人も含む調査者全体の平均時間行為者平均時間量その行為を行った人だけの平均時間(分子は同じだが分母が違う!)
・食事、睡眠等、ほとんど全員が行う行為では全員平均時間量と行為者平均時間量にほとんど差は生じないが、スポーツなど、その行為を全く行わない人の割合が増えてくると全員平均時間量が落ち込み、両データに大きな差が生じる
・全体平均時間量だけでは、数字の背景が分かりにくい(ある行為の全体平均時間量が過去に比べて減少した場合、その行為をする人が減ったからなのか、その行為にかけられる時間が短くなったからなのか、はたまたその両方か…判然としない)。行為者率と行為者平均時間量に分けて確認したほうが分かりやすい
←「全員平均時間量」のファイルをダウンロードすれば、行為者率・行為者平均時間量・全員平均時間量が並んで表示されるので比べてみるといい
・○○しながら××したといった「同時行動」について、○○か××どちらか一方に統一するものと○○と××それぞれで集計(ダブり集計)するものがある。なので、約30の全ての行動の全体平均時間量を足し上げると24時間より若干長くなる
行為者平均時間量は行動ごとに分母が異なるので、異なる行動の行為者平均時間量同士を足し算しても意味がない(約30の全ての行動の行為者平均時間量を足し上げると24時間とはかけ離れて大きな数字になる!)

⑧調査方法

1960年、1965年:面接法×アフターコード法
調査対象日の翌日、調査員が調査対象者から聞き取りを行って、調査員が調査票に記入

1970年~1990年:配布回収法×アフターコード法
調査対象者が調査票に記入。ただし、回答は自由回答的で、調査票回収後、専門の訓練を受けた「コーダー」がルールに基づき行動を分類

1995年~2015年:配布回収法×プリコード法
調査対象者が調査票に記入。調査票に(その他含め)約30種類の行動名が記載されているので、調査対象者自身の判断で行動を分類

2020年:郵送法×プリコード法
コロナ禍で、調査員が調査対象者を訪問して調査票を配布・回収する配布回収法の実施が難しく、やむを得ず郵送法で実施。それ以外は前回と変わらない

調査票は日記形式サンプル

⑨活用

NHKの番組編成の参考資料

⑩その他メモ

多段抽出は段数が少ないほど精度が高い

⑪参考資料

・NHK放送文化研究所世論調査部"国民生活時間調査" https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-jikan/
・三矢惠子"調査の現場から NHK国民生活時間調査について―社会の変化と時系列調査の維持―"「社会と調査」No.14(2015年3月号),p.p.70-77 https://jasr.or.jp/wp/asr/asrpdf/asr14/asr14_050.pdf
・日経リサーチ"留置法" https://www.nikkei-r.co.jp/glossary/id=1649
・総務省統計局"令和3年社会生活基本調査" https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/index.html