官公省庁の統計:消費者物価指数(CPI)

①概要

・物価の変化を表す指標
固定基準方式ラスパイレス指数
=固定された基準年の消費支出の割合で加重平均。基準年は5年に1度改定(基準年=西暦の末尾が0か5の年)
・基準年が改定されたら、基準年より前の年の指数(旧基準年で計算された指数)を差し替えないと長期比較できない。このため便宜的に計算される指数を接続指数と言い、月別/年別/年度別データについては、おおむね1970年まで遡れる。なお、誤差が大きくなるので前年比などの変化率は再計算しない
→長期比較したい場合、年報等ではなく、長期時系列データからダウンロード
生鮮食品エネルギー関連(ガソリン代、電気代等)の価格は、天候、海外情勢等、一時的・外的要因で変化しやすい。このため、「総合」のほか、「生鮮食品を除く総合」「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」「食品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」と、複数種類の総合を公表
・小売物価統計調査では銘柄変更を気にしなくてはならないが、消費者物価指数では銘柄変更前後の品質、容量の差を反映させる品質調整がなされているため、基本的に銘柄変更の影響を考えなくてよい

②設立背景

戦後の物価上昇を背景に1946年8月から実施

③管轄

総務省

④元になる調査

家計調査、小売物価統計調査

⑤発表時期

・毎月(=対象月の翌月)19日を含む週の金曜に月報公表 ※全国
・毎月(=対象月と同月)26日を含む週の金曜に速報公表 ※東京都区部のみ
・12月分公表時に年平均公表
・3月分公表時に年度平均公表

⑥計算対象

・(消費と切り離せない消費税等の税金を含む)消費支出を対象
・ウェイト算定には基準年の家計調査の平均1か月1世帯当たりの品目別消費支出金額を使用※
約580品目の価格を使用。品目の選定基準は
①支出の中でも重要か
②価格変動の面で代表性があるか
③継続的に調査可能か
の3点で、家計調査をもとに判断
・価格は基本的に小売物価統計調査(動向編)の結果を使用するが、テレビ、ビデオレコーダー、パソコン(デスクトップ型/ノート型)、タブレット端末、プリンタ、カメラについてはPOS情報、航空運賃、宿泊料、外国パック旅行費についてはWebスクレイピングで機械的に収集したネット販売価格を使用

※通常、基準年のデータのみ使用するが、基準年=2020年は、コロナの影響に配慮し、2019年・2020年、2年分のデータを使用

⑦計算方法

・基準年の消費支出の割合で重みづけするラスパイレス指数。基本的には固定基準方式のラスパイレス指数だが、参考指数として連鎖基準方式のラスパイレス指数も公表

固定基準方式=基準年の消費支出の割合(ウェイト)で加重平均。基準年が改定されない限り、ウェイトも変わらない。基準年と比較時点の間が空けばあくほど推計精度が落ちる

連鎖基準方式=それぞれ前年の消費支出の割合(ウェイト)で加重平均。ウェイトが毎年変わるので、間が空くことによる精度低下は避けられる

⑧活用

・金融政策の基礎資料
・名目値を実質値に変換する(物価変動の影響を取り除く)ためのデフレーター
・年金等の給付額を算定するための基礎資料 ほか

⑨その他メモ

・ラスパイレス指数:基準年のウェイトで加重平均
⇔パーシェ指数:比較時点のウェイトで加重平均

詳細は以下参照→社会情報サービス"32-6. さまざまな指数"「統計WEB」https://bellcurve.jp/statistics/course/18454.html

⑩参考資料

・総務省統計局"消費者物価指数(CPI)"https://www.stat.go.jp/data/cpi/index.html