イベント事例:2020年ドバイ国際博覧会(ドバイ万博、Expo 2020 Dubai)

① 概要

<国際博覧会について>
・1928年の国際博覧会条約採択以降、基本的に、博覧会国際事務局(BIE、Bureau International des Expositions)から登録/認定され、同条約に基づき開催される博覧会を国際博覧会=万国博覧会(万博)と言う
・1988年の国際博覧会条約改正前は国際博覧会を「一般博」と「特別博」、改正後は「登録博覧会」と「認定博覧会」に分類。開催規模は一般博>特別博、登録博覧会>認定博覧会。外務省によると、1970年の大阪万博は一般博、2005年の愛知万博(愛・地球博)は登録博、2025 年の大阪・関西万博も登録博だが、愛知万博の分類については微妙→参考:"「登録博」か「認定博」か 愛知万博、格付けに諸説あり"SankeiBiz(2019年5月13日)https://www.sankeibiz.jp/compliance/news/190513/cpd1905130655001-n1.htm
・英語では「Expo

<ドバイ万博について>
・ドバイ=アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国の1つ
・2013年11月、BIE総会でドバイでの万博開催が決定→中東・アフリカ地域で初の登録博
・当初は2020年10月20日~2021年4月10日に開催予定だったが、2020年5月4日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて2021年10月1日~2022年3月31日に延期を決定。なお、名称は「2020年ドバイ国際博覧会」のまま
・テーマは「Connecting Minds, Creating the Future(心をつなぎ、未来を創る)」。サブテーマは「Mobility」「Opportunity」「Sustainability」
・入場には、ワクチン接種証明書または入場前72時間以内のPCR検査陰性証明書が必要
※開催当初、ドバイでは屋内・屋外問わずマスク着用が義務付けられていたが、2022年2月26日以降は屋外でのマスク着用が任意となった

<ドバイ万博における日本館について>
・担当は以下の通り

・テーマは「Where ideas meet(アイディアの出会い)」。
①日本との出会い
②出会いの歴史としての文化
③現代日本のテクノロジー
④私たちの今と課題
⑤アイディアの出会い
⑥いのち輝く未来社会のデザイン
以上、6つのシーンから構成
・運営時間10:00~22:00
・体験型の展示(体験時間約1時間)で好評、2022年1月7日以降は混雑回避のため完全予約制(毎朝9時から、当日分のみ受付)
・観覧専用のスマートフォンを来場者に貸し出し、来場者の行動データをリアルタイムで収集。収集したデータを元に演出をパーソナライズした。また、クライマックスのシーン⑤では、その日来場した全員のデータを演出に反映、来場者構成によって異なる演出を提供した
・「2020年ドバイ国際博覧会日本館特設サイト」「循環」2種類のWebサイトからなる「バーチャル日本館」閉幕日の2022年3月31日まで公開。「循環」には、世界の課題解決に向けて、(リアル会場を含む)世界中からアイディアが投稿された
・BIE主催の褒賞制度「パビリオンプライズ」(展示デザイン部門、テーマ部門、建築部門)で、日本館が展示デザイン部門の金賞を受賞。前回の登録博、ミラノ万博(2015年)からの連続受賞
・2021年12月、日本館のレストラン、スシロードバイ万博店のスタッフ10人と日本館のスタッフ6人が新型コロナウイルス陽性に
・オミクロン株の流行を受けて、2021年12月1日、「アバターイン体験」(日本館に設置した遠隔操作ロボット「newme」にアクセスして日本にいながら現地気分を味わえる見学ツアー)の延期を発表→2022年3月4日、中止を発表

② 主催

ドバイ万博公社

③ 会場

④ 初回開催年月日

国際博覧会=万国博覧会が初めて開催されたのは1851年5月1日~1851年11月11日(@ロンドン)

⑤ 開催時期・期間

ドバイ万博の開催期間は2021年10月1日~2022年3月31日の182日間(約半年)
⇔前回のミラノ万博は2015年5月1日~2015年10月31日の184日間

⑥ 参加料

・18歳未満の子ども、学生、障害者、60歳以上の高齢者は無料
・上記以外の大人のチケットは3種類。JETROに倣い、AED(UAEディルハム)1=30円で計算すると、
ワンデーパス(1日分):AED95≒2,850円
マルチデーパス(30日分):AED195≒5,850円
シーズンパス(6か月分):AED495≒1万4,850円

※上記チケットのほか、
オクトーバーパス(2021年10月の1か月分):AED95≒2,850円
ファミリーパッケージ(両親2人分+乳母1人分のシーズンパス):AED950≒2万8,500円
などもあった

※過去の為替相場については三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)"1990年以降の為替相場" http://www.murc-kawasesouba.jp/fx/past_3month.phpなどで確認可能

⑦ 収入

公式発表なし
※延期が決定する前の2019年4月15日に会計会社Ernst & Youngが発表したレポートによると、2013年~2031年のドバイ万博の経済効果はAED1,226億≒3兆6,780億円

⑧ 費用

・AFP通信など海外通信社の報道によると、ドバイ万博会場の総工費は約70億ドル≒7,800億円
・日本政府は令和2年度(2020年度)第3次補正予算案で、「ドバイ国際博覧会政府出展事業」約9億8,000万円を計上
・以下、入札結果

JETRO"調達情報"https://www.jetro.go.jp/procurement/を基に作成

⑨ 参加者数

※ドバイ万博の目標来場者数2,500万人はコロナ前に設定されたものだが、コロナ後も変更されなかった

⑩ その他メモ

・もう少し経てばより詳しい情報が出てくるかもしれない

⑪ 参考資料

・Ernst & Young"Expo 2020 Dubai expected to contribute AED122.6b to UAE economy from 2013-2031"(2019年4月15日)https://www.ey.com/en_ae/news/2019/04/expo-2020-dubai-expected-to-contribute-aed122-6b-to-uae-economy-from-2013-2031
・avatarin"コロナウイルスの影響によるドバイ万博日本館へのアバターイン体験中止のお知らせとお詫び"https://about.avatarin.com/info-news/5173/
・AFPBB News"ドバイ万博、盛大に開幕 花火やライトアップが開会式彩る"(2021年10月1日)https://www.afpbb.com/articles/-/3368821
・太田尭久"コロナ禍での万国博覧会"「中東協力センターニュース」(2021年11月号) https://www.jccme.or.jp/11/pdf/2021-11/news01.pdf
・大林組"中東と日本をつなぐドバイ国際博覧会⽇本館"(2021年 11月 17日) https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20211115_1.html
・外務省"2005年日本国際博覧会"https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hakurankai.html
・経済産業省"令和2年度第3次補正予算案の事業概要(PR資料)"(2020年12月)https://www.sanocci.or.jp/images/2.12.161.pdf
・構想日本"政府の事業が検索できるサイトJUDGIT!" https://judgit.net/
・国立国会図書館"博覧会 近代技術の展示場"  https://www.ndl.go.jp/exposition/index.html
・竹中工務店"当社施工のミラノ万博日本館が「パビリオンプライズ」で金賞を受賞"(2015年12月17日)https://www.takenaka.co.jp/newslog/2015/12/02/index.html
・東京外語会"2015年 ミラノ国際博覧会日本館アテンダント募集のお知らせ(応募締切:2014年9月16日(火)17時必着)"(2014年7月22日)https://www.gaigokai.or.jp/information.html?id=283 
・2020年ドバイ国際博覧会日本館公式HP https://expo2020-dubai.go.jp/ja
・日本館基本計画検討会「2020年ドバイ国際博覧会日本館基本計画」(2018年2月)https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20180205001_01.pdf
・日本貿易振興機構HP https://www.jetro.go.jp/
・日本貿易振興機構「2015年ミラノ国際博覧会日本公式参加記録」(2016年)
・農林水産省・経済産業省・日本貿易振興機構・2015年ミラノ国際博覧会日本館行催事事務局「『2015年ミラノ国際博覧会』日本館イベント広場参加ガイド」https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/cmsfiles/contents/0000175/175454/hiroba.pdf
・乃村工藝社"博覧会資料" https://www.nomurakougei.co.jp/expo/