官公省庁の調査:人口動態調査
①概要
・基幹統計調査
・市区町村に提出された全ての届出(出生届・死亡届・婚姻届・離婚届・死産届)を元に集計する全数調査
・各届出に記載される事件簿番号はこの調査のためのもの
・人口「動態」調査なので、人口の増減数に関心がある。増減の結果としての人口総数を知りたい場合は他の統計調査を参照※
・「人口動態統計速報」(調査票作成数)、「人口動態統計月報」(概数)は毎月公表。このほか、月報12か月分を足し上げた「人口動態統計月報年計」(概数)、「人口動態統計年報」(確定数)を年1回公表。速報は日本における外国人、外国における日本人を含むが、月報は日本における日本人のみ集計。その代わり集計項目が多い。年報は月報に修正を加えているのでより正確で、集計項目もさらに増える。詳細は以下参照→参考:厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)「人口動態調査について」(2020年10月1日)https://www.soumu.go.jp/main_content/000709363.pdf
・人口動態調査では、2018年から2019年にかけて、調査票の作成漏れ、送付漏れ(確認漏れ)による「報告漏れ」が発覚している。再集計による修正を反映しているデータとしていないデータがあるので要確認
→参考:厚生労働省"人口動態統計(確定数)の概況" https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html
→参考:"人口動態調査"「政府統計の総合窓口(e-Stat)」https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450011&tstat=000001028897
※人口総数に関するデータとして、「国勢調査」(5年に1回公表)、最新の国勢調査の確定値から人口を足し引きする「人口推計」(毎月公表)、住民票に基づく「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」(毎年公表)が挙げられる。国勢調査は届出に関係なく、調査員が地域を回って確認した各世帯に調査票を配布するので、実態に近い数字。単身赴任等、短期間の引っ越しでは住民票を移さない人もいるので、住民基本台帳人口は実態からややずれる。「人口推計」は「人口動態調査」の結果も参考にしている
②設立背景
1898年に「戸籍法」が制定されたのを受けて、1899年から調査
③管轄
厚生労働省
④調査時期
・1月1日~12月31日(年度ではなく年!)
市区町村⇒保健所:届出を受けたらすぐに調査票を作成して送付
保健所⇒都道府県:調査票を審査・照会して、届出があった月の翌月25日までに送付
都道府県⇒厚生労働省:調査票を審査・照会して、届出があった月の翌々月(保健所から調査票を受け取った月の翌月)5日までに送付
⑤発表時期
人口動態統計速報…毎月公表。調査月から2か月遅れ
人口動態統計月報…毎月公表。調査月から5か月遅れ
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人口動態統計月報年計…調査年の翌年6月上旬、毎年公表
人口動態統計年報…調査年の翌年9月、毎年公表。「人口動態統計月報年計」から3か月遅れ
⑥調査対象
届出られた全ての出生・死亡・婚姻・離婚・死産
⑦調査項目
・調査票は①出生票、②死亡票、③婚姻票、④離婚票、⑤死産票の5種類
出生票…出生の年月日、場所、体重、両親の氏名・年齢等(サンプル)
死亡票…死亡者の生年月日、住所、死亡の年月日等(サンプル)
婚姻票…夫婦の生年月、夫の住所、初婚か再婚か等(サンプル)
離婚票…夫婦の生年月、住所、離婚の種類等
死産票…死産の年月日、場所、両親の年齢等(サンプル)
※サンプルは「政府統計の総合窓口(e-Stat)」で確認できたもの。必ずしも最新とは限らない
⑧調査方法
・届出(出生届・死亡届・婚姻届・離婚届・死産届)を受けた市区町村長が人口動態調査票を作成し、保健所長に送付
・保健所長は「前月以前の出生・死亡・死産のうち、前月15日~当月14日の間に届け出られたもの」、「前月中に届け出られた婚姻・離婚」をまとめて、当月25日までに都道府県知事に送付
・都道府県知事は保健所から調査票を受け取った月の翌月5日までに厚生労働大臣に送付
・厚生労働省政策統括官が集計
・調査票はオンラインで送付(人口動態調査オンライン報告システム)
⑨活用
・総務省が「人口推計」を算出する際、人口動態調査の出生児数、死亡者数を参照
・厚生労働省が「生命表」を作成する際、人口動態調査の死亡数・出生数を参照
・その他
⑩その他メモ
・自然動態=出生児数-死亡者数
⑪参考資料
・総務省統計局"人口推計" https://www.stat.go.jp/data/jinsui/index.html
・厚生労働省"人口動態調査" https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html
・厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)「人口動態調査について」(2020年10月1日)https://www.soumu.go.jp/main_content/000709363.pdf
・厚生労働省"生命表(加工統計)" https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/list54-57.html
・広島県"統計についてよくある質問と答え" https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/21/qanda.html
・青森県"統計によって人口は変わるの?―人口統計のいろいろ―"「青森県のことがよくわかる統計トピックス」(2016年6月)https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kikaku/tokei/files/H28.6.topics.pdf