イベント事例:三社祭

① 概要

・土師真中知・桧前浜成・桧前武成、3柱の神様→「三社」
・正式名称は「浅草神社例大祭」
・毎年5月、3日間開催
本社神輿は3基(一之宮・二之宮・三之宮)、このほか氏子44町※の町内神輿が約100基
・祭りの流れ
<前日>
一之宮に土師真中知、二之宮に桧前浜成、三之宮に桧前武成の神霊を移す「神輿神霊入れの儀」
<初日>
「大行列」(お囃子屋台、鳶頭木遣り、浅草の各舞、芸妓連の手古舞、組踊り等)の後、田楽舞「神事びんざさら舞」奉納
<中日>
「例大祭式典」の後、「町内神輿連合渡御」
<最終日>
境内から本社神輿を担ぎだす「宮出し」
→本社神輿3基が氏子44町の東部・西部・南部3エリアに分かれて渡御
→本社神輿を境内に戻す「宮入り」
→神霊を神殿に戻す「神輿御霊返しの儀」
・通常中日に行われる「例大祭式典」が最も大切な神事で、コロナ禍でも毎年斎行された

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・2020年は緊急事態宣言発令を受けて、開催時期を5月から10月にずらし、開催期間も3日間から2日間に短縮(10月17日・18日)。本社神輿・町内神輿いずれも、担いでの渡御は中止。ただし、本社神輿1基(一之宮)だけはトラックに乗せ、ルート非公表・スピード速めで氏子44町を巡った

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・2021年は開催時期を5月に戻したが、前年同様2日間の縮小開催(5月15日・16日開催)。2日目は本社神輿1基(一之宮)を台車に乗せて氏子44町を巡る予定だったが、祭り直前に決まった緊急事態宣言延長を受けて中止

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・2022年も2日間(5月21日・22日)の縮小開催だが、選ばれた氏子「氏子執行員」約300人(1基当たり約100人)が本社神輿3基を担いで「宮出し」、そのあとは神輿を台車に乗せて、3基共に同ルートで氏子44町を巡った。一部町会では「子ども神輿」も復活させた
・氏子執行員には
①ワクチン3回接種済み/5月19日以降のPCR検査で陰性
②不織布マスクの上に指定の布マスク着用=二重マスク
③直前の検温にクリア
④手指のアルコール消毒
が求められた

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2020年~2022年の開催状況

氏子=自分の住んでいる地域の氏神を信仰する人々。浅草神社の氏子は計44町。対して崇敬者=自分が住んでいる地域とは別の地域の神様を信仰する人々
※2022年の三社祭に関する新聞・テレビの報道を見ると、「担ぎ手」が「神輿を担ぐ人」の意味で使用されている(例:「担ぎ手の氏子」「担ぎ手を氏子に限定」)。ただ、三社祭関連のサイトを見ると、「担ぎ手」=氏子以外で神輿を担ぐ人として、「氏子」と明確に区別されていることが多い。本来、神輿は氏子が担ぐものだが、氏子の減少で外部の「担ぎ手」の助けが必要になったケースが、三社祭に限らず全国で発生している。「氏子」と「担ぎ手」の関係性には微妙なところもある。ともかく、「担ぎ手」との表現を見つけたら、どちらの意味で使われているのか注意が必要

※氏子44町は東部・西部・南部に分けられる
<東部>12町
浅五会、浅草馬三町会、田町聖横町会、浅草馬二町会、浅草象三町会、聖天町会、浅草三丁目象一町会、浅草象潟町会、猿若町会、花川戸二丁目町会、花川戸一丁目町会、浅草馬一町会
<西部>16町
浅草町二町会、浅草町清三睦、浅草町一町会、堤町会、千草町会、浅草千和町会、千束二丁目西町会、千束二丁目光月町会、千束一丁目南町会、浅草中町会、浅草三丁目東町会、浅草二丁目町会、浅草芝崎町西町会、浅草芝崎町東町会、浅草芝崎町中町会、西浅草三丁目北部町会
<南部>16町
浅草寿町四丁目町会、西浅草一丁目町会、浅草寿町二丁目町会、浅草寿町一丁目町会、浅草寿町三丁目東町会、駒形町会、雷門西部町会、雷門田原町会、雷門東部町会、雷門中部町会、仲見世町会、浅草中央町会、浅草西町会、浅草一丁目三栄町会、浅草公園町会、浅草東町会

※2020年東京の緊急事態宣言発令状況:
2020年4月7日~2020年5月6日
→2020年5月31日まで延長
→2020年5月25日早めに解除

※2021年東京の緊急事態宣言発令状況:
<1回目>
2021年1月8日~2021年2月7日
→2021年3月7日まで延長
→2021年3月21日まで延長
→2021年3月21日予定通り解除
<2回目>
2021年4月25日~2021年5月11日
→2021年5月31日まで延長
→2021年6月20日まで延長
→2021年6月20日予定通り解除
<3回目>
2021年7月12日~2021年8月22日
→2021年8月31日まで延長
→2021年9月12日まで延長
→2021年9月30日まで延長
→2021年9月30日予定通り解除

② 主催

浅草神社奉賛会

③ 会場

浅草神社とその氏子44町

④ 初回開催年月日

1312年
(当時は「三社祭」ではなく、船に神輿を乗せて隅田川を進む「舟祭」)

⑤ 開催時期・期間

毎年5月の第3金曜日~日曜日まで3日間開催
※近年は新型コロナウイルス流行でイレギュラー開催

⑥ 参加料

なし

⑦ 収入

氏子町会の協賛金(自治体からの補助金なし)

⑧ 費用

公式発表なし
※警備は町会の自主警備。祭り当日、担当者は「警備半纏」を着用。5月上旬頃に開かれる「三社祭警備全体会議」には町会長、青年部長、警察、消防、鉄道ほか関係団体が参加
※2022年三社祭における警察の警備体制は、5月24日、東京で開催されたクアッド首脳会合に影響を受けた→参考:永井大輔・永橋和之"伝統の三社祭 直前まで苦悩、3年ぶりの神輿に弾む掛け声"「産経新聞」(2022年5月23日、10:00)https://www.sankei.com/article/20220523-BA3Q66FEARODXMXPSKCWFDLOXE/
※最終日は交通規制あり

⑨ 参加者数

・観光庁資料によると、2018年の来場者数は約195万人
・浅草神社奉賛会HPによると、2022年の人出は約60万人

⑩ その他メモ


⑪ 参考資料

・浅草神社"三社祭" https://www.asakusajinja.jp/sanjamatsuri/
・浅草神社奉賛会"三社祭公式情報" http://www.sanjasama.jp/index.html
・内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室"基本的対処方針に基づく対応"「新型コロナウイルス感染症対策」https://corona.go.jp/emergency/
・国土交通省観光庁観光資源課「お祭りの訪日外国人への開放に向けたナレッジ集~参考資料~」(2019年3月)https://www.mlit.go.jp/common/001279563.pdf
・浅草寺"三社祭" https://www.senso-ji.jp/annual_event/11.html
・東京新聞"三社祭で3年ぶり 神輿担いで宮出し神事 曳台に載り、浅草を巡行"(2022年5月22日9:01)https://www.tokyo-np.co.jp/article/178720
・ニッポンドットコム"氏子、宮頭、宮出し……9つのキーワードで見る三社祭2012"(2012年7月2日)https://www.nippon.com/ja/views/b01205/