官公省庁の調査:特定サービス産業動態統計調査_20220727

①概要

一般統計調査なので回答者に報告義務なし(回収率7割程度※2018年平均)
・特定のサービス産業の売上高上位企業有意抽出(資料等を基に、調査者が代表性があると判断した標本を抽出する方法)。カバー率は売上高ベースで7割程度
毎月実施
・タイムラグはあるが、経済センサスや経済構造実態調査の方が確度は高い。これらの公表前で最新データが欲しいとき、あるいは月々の変化を見たいときに特定サービス産業動態統計調査を利用
→以前は特定サービス産業実態調査とセットで確認していたが、現在は経済構造実態調査に統合され、廃止に。代わりに経済構造実態調査(乙調査)を利用していたが、2022年調査からこちらも廃止されるのでどうしたものか…
・年間データが出そろう前に市場推計しなければならないことも多い。この場合、何月の売上高が前年同月比●%に上がった/下がったという傾向を見ることが未調査時期=近い将来の予測に役立つ。特定サービス産業動態統計調査の利用頻度は意外に高い

②設立年(背景)

・1987年12月分から物品賃貸業(リース)、物品賃貸業(レンタル)、情報サービス業、広告業を調査
・1993年10月分からクレジットカード業、エンジニアリング業を調査
・2000年1月分から映画館、劇場・興行場、興行団、ゴルフ場、ゴルフ練習場、ボウリング場、遊園地・テーマパーク、パチンコホール、葬儀場、結婚式場業、外国語会話教室、カルチャーセンター、フィットネスクラブを調査
・2004年1月分から学習塾を調査
・2008年7月分からインターネット附随サービス業、映像情報制作・配給業、音楽ソフト制作業、新聞業、出版業、ポストプロダクション業、デザイン業、機械設計業、環境計量証明業、自動車賃貸業、機械等修理業を調査
※2014年12月分で映像情報制作・配給業、音楽ソフト制作業、新聞業、出版業、ポストプロダクション業、デザイン業、機械等修理業、映画館、劇場・興行場、興行団、カルチャーセンターの調査終了

③管轄

経済産業省
(民間委託先:日経リサーチ)

④調査時期

・毎月実施
・毎年1月中旬に調査票配布→毎月、月間・月末データを記載→調査月の翌月20日までに提出

⑤発表時期

毎月上旬に速報公表毎月中旬に確報公表
2か月遅れ(例:4月データは6月上旬に公表)
・確報公表時に年単位の「長期データ」を更新

⑥調査対象

・業種によって全国を対象とするものと特定の地域を対象とするものがある
・業種によって企業を対象とするものと事業所を対象とするものがある
・以下、2022年3月時点の分類
<全国×企業>
物品賃貸業(リース)、物品賃貸業(レンタル)、情報サービス業、広告業、クレジットカード業、エンジニアリング業、パチンコホール、葬儀業、乾坤式場業、外国語会話教室、フィットネスクラブ、学習塾、インターネット附随サービス業、機械設計業、環境計量証明業、自動車賃貸業
<全国×事業所>
遊園地・テーマパーク
<特定の地域×事業所>
ゴルフ場、ゴルフ練習場、ボウリング場
※特定の地域=北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県
※同一企業が複数事業所を営むことが多い。事業所単位の調査では、同一企業の他事業所分のデータは記載しない

⑦調査項目

企業または事業所の名称、所在地、従業者数、月間利用者/入場者数等、業務種類別売上高/契約高 ほか

⑧調査方法

有意抽出による標本調査
・経済センサス(活動調査)や業界団体の資料を基に、年間売上高ベース7割程度をカバーする売上上位企業・事業所を抽出
・抽出した企業・事業所に調査票を郵送配布。提出は郵送またはオンライン
・提出された調査票は経済産業省調査統計システム「STATS」で集計
・調査票の記入に不備がある場合/記入内容に矛盾がある場合は、報告者に照会し、訂正
・集計時に未到着のデータがある場合、その企業の前月値・前年同月値を用いて推計。推計データを含めた集計結果を公表
※有意抽出で標本誤差(母集団と標本のズレ)を計算できない点がこの統計調査の懸念点

⑨活用

・景気動向の判断材料(GDP速報等に利用)
・第3次産業活動指数の基礎資料
・政策策定の基礎資料

⑩その他メモ

・報告数値の変更、調査対象の変更等で過去データとの連続性が途絶えることがある。こうした場合も、便宜的に過去データと比較できるよう、リンク係数が公表されている(経済産業省→特定サービス産業動態統計調査→調査の結果→リンク係数と使い方の説明)
過去のデータをリンク係数で割ると過去データを調整できる
・統計表一覧で公表されているデータの内、
実数部分はリンク係数不使用
伸び率はリンク係数で調整済み
ーーー
・大手企業の決算書を入手して、特定サービス産業動態統計調査と突き合わせると、調査対象について大体の見当がつく

⑪参考資料

・経済産業省"経済産業省所管全統計調査等一覧" https://www.meti.go.jp/statistics/ichiran/index.html
・経済産業省"特定サービス産業動態統計調査" https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/index.html
・経済産業省大臣官房調査統計グループ「令和3年度経済産業省調査統計システムサービス調達仕様書(案)」(2019年)https://www.meti.go.jp/information_2/downloadfiles/kokuji20200903-5.pdf
・総務省統計局"標本調査とは?"「統計学習の指導のために(先生向け)」https://www.stat.go.jp/teacher/survey.html
・日経リサーチ"「特定サービス産業動態統計調査」に関するお知らせ"(2017年4月3日)https://www.nikkei-r.co.jp/news/information/id=6408
・日経リサーチ"母集団" https://www.nikkei-r.co.jp/glossary/id=1662
・日経リサーチ"無作為抽出"https://www.nikkei-r.co.jp/glossary/id=1663
・三重県"【Hello!とうけい】Vol.262 統計表の見方 ~リンク係数って何?~"(2021年1月27日) https://www.pref.mie.lg.jp/DATABOX/000244507_00001.htm