どうしてもイキった感じになる

最近変な時間に眠ってしまうことがよくある。夕方から寝始めて、たいてい22時とか23時に目が覚める。今から風呂、、、無理、、、とそのまま朝まで寝てしまうこともあるけど、昨夜はシャワーのために早起きするほうが無理と思い、心を無にして起き上がってそのまま風呂場に直行した。この一連の流れで風呂に入ることに成功するには一切の感情を捨てて、ひたすら一瞬で心を無にするしかないということに最近気づいた。そもそもわたしは風呂に入るという行為があまり好きではない。毎日風呂入るのマジで面倒くさい。うちのおじいちゃんは「毎日入っとったらカサカサになってしまう」から、2日にいっぺんしか入浴しないらしい。罪悪感なしに風呂に入らなくていいなんてうらやましくてしょうがない。


そんなわたしも昨夜は風呂チャレンジに成功し、中途半端に眠気の覚めた状態でベッドに寝転がっていた。数時間前に観たグレタ・ガーウィグ版『若草物語』のトレイラーを観たり、レビューを眺めたりして余韻に浸っていたか、YouTubeでお気に入りのプロゲーマーの動画を観て、そろそろ寝ようかという時にインスタのストーリーにコメントがついた。


普段ほぼやりとりしたことのない、同じ大学にいたひとつ下の女の子からだった。彼女のふきだしの中には、「(わたし)さんって今何してるんですか?」みたいなことが書かれていた。なんとなく重い話になりそうな予感がして、「今?ベッドに寝転がってるけど、そういうことではないよね?笑」という精一杯の小ボケクッションをはさみ、「違います笑」という返信を見て、うわなんか今の自分Twitterにいるキモおっさんみたいだな、やばいなと思った。改めて本来の質問に「フリーターです」と答え、いちおう「留学したくてお金貯めてる」と付け加えた。就活・就職に関する悩みがあるのだろうと予想はついた。聞いてみると、大学卒業→就職という暗黙の何かに疑問をもっていて、そういった風潮に「のれてないマン」と自称していた。

続けて、「(卒業してフリーターになることを選んだ)わたしに対するまわりの反応が気になる」というメッセージが来た。このときよく意味がわからなかった「まわり」が具体的に誰のことなのか尋ねてみると、彼女の言う「まわり」とは、「同じタイミングで卒業し、ふつうに就職していく同級生たち」であるらしかった。わたしも在学中彼女と同じように卒業後について悩んではいたものの、「まわり」って、そういうこと?ええ〜、、、って思った。あと同時に「あれ?今もしかして結構失礼な質問されちゃってない?笑」と思った。彼女の心配は、大卒でフリーターになったら友達にバカにされるんじゃないかとか、かげでコソコソうわさされるんじゃないかとか、そういうことなんだろう。彼女なりの大卒というプライドも関係するのかもしれない。もし間違ってたら申し訳ないけど、わたしなりの解釈の結果はこうだった。つまりこの質問は「まわりの目気にならなかったんですか?」と同義っぽくて、主語変えただけでだいぶ失礼な感じになる。わたしが偏屈なだけなのか。なんか失礼だな(笑)とは思ったけどムカつきも怒りもなく、「比較的気の許せた数人には話したけど、もともと大学に友達少なかったから、わからない」とだけ答えた。もっと素直に答えるなら「知らない」だし、「気にしてなかった」になってしまう。実際、その気の許せた数人に話したときの反応を全然おぼえてない。


それから数ターンのやりとりで彼女は、意思強くてすごいですねとか、やりたいことやるのがいちばんですよねとか言っていたけど、なんかとてもそうじゃない感があった。「まわりの目を気にしない」と「意思が強い」って、なんの関係もないやないか。昨日観た『若草物語』で、主人公のジョーが自分の気持ちや望みに素直に生きていて、自分自身もその生き方を信じているように見えても、「なぜかわからないけど孤独だ」と母親に告白していたように、意思が強くても別に不安からは逃れられない。「まわりの目」と言うけれど、他人と比べて自分は劣っているとか優れているとか、ジャッジしたくなるのは自分だ。きみの不安は、誰かからのジャッジに見せかけて、ほんとは自分から自分へのジャッジなんやねと、へなちょこ新米フリーターであるわたしは、昨日のやりとりで咄嗟にそんなことをうまく伝えられなかった。こうして言葉で伝えたらただのイキった人になるだけのような気がするし、そしたらやっぱり大卒フリーターなんてろくなもんじゃないなって思わせてしまって、わたしが彼女の中に偏った大卒フリーター像を作ってしまうおそれもある。最悪人生に関わる。てかそもそもだいぶ失礼な質問なので、無視したらよかったのだろうか。いっそ『若草物語』を観てくださいとだけ伝えればよかったのだろうか。それはそれでかなりイキってる気がする。

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