入院備忘録 退院まで

入院備忘録

■1日目
病室に入れるのは13時からだが、PCR検査を受けるため朝の9時過ぎには病院着。

てっきりPCR検査のみかと思っていたが、胸部のレントゲンも再度実施。
PCR検査は鼻の奥に綿棒を入れるタイプだったため、鼻奥の違和感が暫く抜けないがそこまで痛くないのでなんとかなった。
…と言うよりもインフルエンザの検査とほぼ一緒である。ちょっと耐えれば終わる。

どれもこれもあっという間に終わるので、結局暇潰しを頑張るしかない。
3時間程、院内併設のカフェに居座っても良いものだろうか。
でもなぁ、ここ以外にそんな居る場所が無い。
しかもPCR検査をしてしまったもんだから、病院の外には出られないのだ。
まぁカフェの立地上、かなり入口近くではあるが私自身は外に出ていないのだからセーフだと思いたい。

昨晩タオルだの下着類だの諸々をパッキングしたら案外な量があった為、久々にスーツケースをクローゼット奥から引っ張り出した。
パジャマや身の回りの細々系に関しては有料レンタルを有り難く使わせて頂こうと思う。兎にも角にも荷物が少ないに越したことはない。

少しネットを覗けば幾らでも先人達の経験談が読めるのは本当に便利である。
もちろん個人・入院先の病院によって細かい所は違うだろうが、入院初心者の私としては粗方、大凡が分かれば良いのだ。
なんとなーく流れが見えるだけでも大分不安要素は減る、と思っている。

余談だが私は完全に夜型の生活リズムが合うタイプなので、こう言った朝イチ集合的な時は大体寝ずに行く事が多い。
更には自室以外での就寝となれば絶対に眠れないので、少しでも泥の様に眠れる要素を作っておかねばならない。
几帳面・神経質とは違うが、環境が変わると途端に眠れなくて困る。
それが例え旅先でも、友人の家でも、誰かが自室に泊まりに来ても、自室と認識した場所で独りきりでなければ熟睡は出来ないのだ。
全くもって面倒である。

安定剤や入眠導入剤的な物は貰えるのだろうか。最悪それらの力を借りる事になりそうだ。
眠れない眠れないと散々上で書いたが、同じ空間に人が居ると駄目というだけで、基本的にはロングスリーパーだし途中覚醒もほぼ無い。
20代前半は眠剤にお世話になった時期もあったが、もう10年以上使っていないから久方振りに飲めば多少は効くだろう。

無事PCR検査も陰性で突破し、何とか時間を潰して病室に関する案内を受ける。
保険証等の提出・体調確認・差額部屋代に係る確認書類などを経てやっとお世話になる病室へ。
4人部屋は私を含め満室。
部屋自体は綺麗で結構パーソナルスペースも広め。
棚もあり良い感じではある。
他お三方は皆、私よりも年配の様。看護師さんが私以外の3人を順繰りに飛び回っている。
いやはや、ちょっと大変なお部屋に来ちゃったか。
リハビリや処置や色々な音と声がする。

麻酔科にて手術時の全身麻酔に係る説明を受け、その後 内分泌科の先生から手術説明があり同意書諸々のサインをして初日は終了。
病室に着いてからは暇を持て余す暇さえ無かった。

入院食が思いの外 美味しい。しかも事前申告すればメニューが選べるときた、いやはや嬉しい誤算である。

散々眠れないと書き散らした割に、徹夜効果か数時間は眠れた。
数時間眠り、数時間時間を潰し、また数時間眠る。

同室の患者さん対応の物音で起きる。
患者さんも看護師さんも大変そうだ。なるべく迷惑を掛けぬようにせねば。


■2日目
この日はひたすらに寝ていた。
何もしていないのにやたら眠かった。三食を有難く平らげ、合間はほぼ眠っていた。

術後暫くは入浴出来ないので、忘れずにシャワーを浴びる。
シャワー室は予約制ではなかったので気が向いたときに行けて助かった。

手術に関して殆ど心配というか不安を言わなかったせいか、手術前日でも安定剤の有無は聞かれず。

因みに手術が朝イチ予定では無かったため、この日は21時から絶食、0時以降は絶飲食だった。
病室の温度設定が快適だったため特別苦も無く過ごす。
ソワソワはしたが、初日同様小刻みな睡眠を取った。

それにしても流石私、間が悪い。
遅れていた生理がこの日に来たため、手術当日は生理2日目という最悪なコンディションとなる。


■3日目(手術当日)

とうとう手術当日である。
レンタルした浴衣を羽織り、指定の着圧ソックスを履き、呼ばれるまでノンビリとしていた。
当初昼頃と言われていたが大幅に前倒しになり、看護師と共にアタフタと手術室へ向かう。

手術室は思いの外 広く、寒くて驚いた。
冷えたせいか手の甲の血管が中々出て来ず、看護師さんを苦戦させたがなんとか点滴用の針が刺さったようで安心。

看護師さん「今から麻酔を流します。手首辺りが冷たくなりますよ〜」

私「あ、なってきました」

このやりとり後、スコンと落ちたようで名前を呼ばれた時には全て終わっていた。
流石に病室ではなくまだ手術室だったが。

気管チューブを抜かれ、痛みの度合いを聞かれる。
チューブを抜かれた痛みも患部の痛みも結構キツかった。そしてかなり咳き込む。

ベッドに横たわったまま病室に運んで貰うが、麻酔明けの気持ち悪さでとてもじゃないが目は開けていられなかった。

痛み止めの点滴を追加して貰い、朦朧としたまま吐き気と闘った。
痰は出るが吐きはせず、ただ気管チューブのせいか血痰が続く。
患部というか喉と首元全体が痛く、緩く角度をつけた状態で横たわっていた。

カテーテルとドレーンは勿論付いており、寝返りなどは出来ない。
そもそも痛みで寝返りしようとも思わないが。

今まではあまり認識していなかったが、起き上がるのにも何をするにも首元というのは負荷が掛かるらしい。どう足掻いても痛む。

小刻みに意識を飛ばしながら患部の痛みと慣れぬ姿勢での痛みと闘う。
術後6時間は水分摂取が出来なかったが、痛みと咳に呻いていたのでそれどころではなかった。

水分摂取可能になってからは特別噎せ込みも無かったため、通常通りの水分摂取許可が下りた。

結局痛み止めの点滴は術後すぐの時だけで済んだ。
手足の痺れは最初こそ耐えていたが、何処までが耐えるラインか分からなくなったため看護師さんにお願いして緩和のための別の点滴を追加して貰う。やはり点滴だと効果が出るのが早い気がする。

定期的にメインの点滴交換に看護師さんが来てくれ、眠れぬ私に声を掛けてくれる。
ここの病棟の看護師さんは皆、優しい。


■4日目(術後1日目)

朝イチで採血。
中々採れず、またも看護師さんを苦戦させる。申し訳ない。
こちらとしては何より患部が痛むため、腕を数回刺されたとて特段痛くもないので存分に刺してくれと思った。

その後カテーテルが外れ、少し楽になる。
カテーテルを外す際も特に痛みは無し。
立ち上がっても目眩ふらつきも無かったため、直ぐに自力歩行可能だった。
点滴とドレーンの取り扱いを注意しながらトイレに行ったり水を買いに行ったり。

朝食が出たが流石に完食は出来ず。
お粥は本当に味がない。ゆかりのふりかけを追加して食べ進めた。

就寝時間を過ぎて、患部の痛みが中々に辛いためロキソニンを貰う。
少し痛みは引いたが、あまり変わらず。
また細切れに睡眠を取る。


■5日目(術後2日目)

昨日よりは喉の痛みはマシになったが、その代わりか患部が痛む。
手足の痺れの再発を懸念されて、手の甲の点滴針はついたまま。

患部の痛みは中々引かないので、頓服としてロキソニンを処方してもらう。
この日やっと退院日の話になり、とんとん拍子で翌日午前に退院する運びとなった。
術後の回復が順調だったらしい。助かる。

食事はお粥から通常食に戻り、この日も三食ちゃっかり完食した。

先生からOKを貰い、おっかなびっくりシャワーを浴びる。
患部に貼られたテープのお陰で特に滲みもせず、終了。

まだ完全に横にはなれず、患部の引き攣りをロキソニンで誤魔化しながらなんとか就寝。


■6日目(術後3日目)
朝一で退院手続きをする。費用は想定の範囲内だった。
部屋代・食事代を含め12万弱。レンタルした寝間着代は別請求らしい。
それもフルで使って5千円弱だった。ありがたい。
生憎の雨模様だったがタクシーを使い、特急を使い優雅に実家へ直行した。

次の診察はおおよそ1ヶ月後。それまで患部に貼られたテープはそのままらしい。
剥がれたりはしないのだろうか。
痛み止めは処方されたものの、5回分って少ないなぁ。絶対に足りないだろうな…。


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