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秋山黄色さんへ

いつの事だったかもう忘れたけど、たまたまYouTubeの広告で「ドロシー」を聴いた。
いっつもアホみたいな商品やらサービスのCMしか流してこない広告に、初めて頭を下げた。

そこからまた長い時が経って、ニュースで秋山さんの名前を見た。
個人的な感想にはなるけど、まぁ……率直に言って「いつかこういう事はやるだろうな」と思ってた。
だって音楽から溢れ出てるんだもの、暴力とか激しさ、とてもじゃないけど抑えきれない、街中のビルが崩れて倒れ込んでくるような爆発性。
秋山さんの人生について僕は、ネット越しに分かる事しか知らない。日々の暮らしとか昔の思い出とか、そもそもライブやりまくってるくせに一回も行った事がない(これは僕がライブというもの自体が苦手だからだけど)。
ジャンルは違うけど、同じ表現者として言える事があるとするなら、
「作品にしきれないで実生活のなかで害を出しちまったらダメだろ!!」ということ。
あとは普通に殴ったり蹴ったりするのはダメだ。暴力は対人関係を凍らせて粉々に砕くドライアイスみたいなもんだから。

そして、今回リリースされた「蛍」を聴いた。
曲を聴きながら、僕は何度もうなずいた。「うんうん」って。

上の段落で道徳の教科書みたいな文言を垂れ流したけど、僕だってそんな出来た人間じゃない。
何の温度もない心で最悪な言動をして孤立したり、大好きが大嫌いにひっくり返って人間関係を叩き斬ったり、勝手に辛くなって逃げ出したり、他人に飽きてポイ捨てしたり。悪行には枚挙に暇なし。人間の皮をかぶった虫ケラだ。
皆んなに責められまくって、無視されたりハブられたり。そんな目にも何度だって遭った。
精神的に殴られまくって、飯が食えなくなったりまっすぐ歩けなくなったり。
自分がいま立っているのか座っているのかも分からない、そんな気分になるんだそういう時は。
秋山さんもそんな日々を送ってたんだと思う。怒られすぎて後悔しすぎて反省しすぎると、人は何が何だか分からなくなる。猛省と開き直りを行ったり来たり、弁解と無抵抗と言い訳を三角食べして、しすぎてゲロをぶち撒ける。
そういう嵐の海を乗り越えて、乗り越えて新天地かと思いきやまた元の場所に立っていて。それでやっと歌にできたんじゃないだろうか。
「蛍」を聴いているとそんな気持ちになる。

秋山さん。あなたは十分苦しんで、そして何かを掴んだんだろうな。きっと。
兎にも角にも、こうやってまた音楽に戻ってきてくれて、作品を作ってくれて、僕は嬉しいです。
もっともっとあなたの事が知りたい。汚い心や気持ちだって、音に包めば耳に入ると思う。
なんにしろ、あなたの音と声が聴きたい。
そう思っています。

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