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フワリと吹き抜けたのだった

いつのまにか、この時間でもずいぶんと明るい。
ゆっくりと前をゆく車のテールランプが、夕日をあびてキラキラと輝いた。
もう季節は初夏をつげている。

車内に流れるボブ・ディラン。
「ライク・ア・ローリング・ストーン」のサビを、鼻歌まじりに口ずさむ。

世の中がこんな時でも、空はキレイに暮れてゆく。
そしてディランは心に沁みるのだ。

ふと、前の車内を見ると、永ちゃんがマイクを握りしめている。
矢沢永吉の映像がモニターに映し出されていた。
ディランの音楽に合わせて、永ちゃんがマイクを握る。
シュールだ。
その時、たしかに夏の風がフワリと吹き抜けたのだった。

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