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泥にまみれた雪に願いを
雪解けの頃、雪はその無垢な白さをすっかり失ってしまう
泥にまみれた汚れた雪は、皆から疎まれる存在でしかない。
そんな汚れた雪に、ぼくは不思議と少しの優しさを感じるのだ
それがまるで、冬の思い出の名残りみたいに感じるから
冬の間の色々な人たちの思い出が、今まさに消えつつある名残り
決して素敵な思い出ばかりではないだろう
毎日を懸命に暮らしてきた名残り
一人ひとりの冬の生活が、そこには確かにあったのだ
それを眺めていると、どうしようもなく、これからの日々が、今年の春が、幸せなものであるよう願わずにはおれない
後悔や悲しみが、ゆっくりとゆっくりと、春の足音とともに一緒に解けて行ってくれますように、と
人は希望なしには生きて行けない
その思いを汚れた雪解けにかさねるのだ
この雪が全て解けた時は、きっと何かが変わりはじめる
きっとよい春を迎えられる
きっとそうなる
そんな願いをこめて眺めるている
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