見出し画像

フットサル連盟(Fリーグ、女子Fリーグ)に対する業務改善の申し入れについて

私はずっと死にたかった。

本日、一般財団法人日本フットサル連盟(2022年3月末日までのFリーグ、日本女子フットサルリーグを含む)に対し、代理人弁護士を通じて業務改善の申し入れを行いました。

なぜ、このような申し入れを行うに至ったのか、これから順を追ってお話しさせていただきます。

はじめに

当初はこの手記で、実名や立場を公表する予定でいました。ですが、私はフットサルという競技やフットサルに関わる仕事が好きで、きちんと環境が整えばこの先も働き続けたいと思っています。仕事を続けながら環境の改善を目指すために、現時点では実名を明かすことができません。ただ、後述する内容に性別が深く関わってくるため、私が女性であることは公表します。

また、手記の内容から私が誰であるか分かる方もいらっしゃるかもしれませんが、質問をいただいたり、個人名を挙げられたりしても、肯定も否定もいたしません。ただ、まったくの他人の名前が挙がるなど周囲に迷惑が及ぶことは避けたいので、SNS等で憶測で発言をされないよう、ご理解いただければと思います。

※このあと、ハラスメントやストレス性障害、女性特有の体調についてなどデリケートな話題をつづります。同じような体験をされた方にとっては読み進めるのがつらい表現があるかと思いますので、その際はページを閉じてください。


1.申し入れのきっかけ

最初のきっかけは、当時Fリーグ事務局の責任者に当たる立場だったA氏との必要書類をめぐるトラブルや、A氏から受けたセクハラ発言でした。A氏のさらに上の立場に当たるB氏に相談したところ、「Aが謝罪したいと言っている」と言われ、3人で顔を合わせる場が設けられました。

A氏は日常的に女性の年齢や見た目、結婚、子どもの有無などに触れる発言をしていましたが、私への発言は勉強会の打ち上げの際の「〇〇さんの下の毛ってさ~」という非常に直接的で屈辱的なものであり、「ついうっかり」「認識が甘かった」で済むようなものではありません。A氏は私に対する発言について「覚えていない」と言いましたが、B氏は「酔っぱらっていても、悪気はなくても、言ってはいけない言葉がある。“覚えていない”は言い訳にならない」とはっきりと言ってくれました。そして、「しっかりと対処する」という言葉のとおり、役員の方々にも報告し、A氏と私が業務上顔を合わせることのないように配慮もしてくれました。その上で、A氏は処分を受けました。

処分が下されて終わった話をなぜここで蒸し返すのか。それにはふたつの理由があります。ひとつは退職したA氏が「相手(私)の勘違いや落ち度だ」というような発言をしていると、共通の知人などを通して耳に入ってきたこと。もうひとつは、この件に直接関係のない外部の仕事関係の方から「セクハラくらい許してあげなよ~」と、とても軽い感じで言われたことがあります。その方と直接話をする関係は、B氏しか思い当たりません。B氏は「役員には報告するが、他の職員などには詳細は話さない」と確かに言っていました。そのB氏が、親身になって相談に乗ってくれたにも関わらず、無関係の人間に話していたり、笑い話のように扱っていたりした可能性があるということです。

その後は、他人と会うたびに「この人も知っているのでは」「そんなことぐらいと笑っているのでは」と疑心暗鬼になってしまい、たびたび体調を崩すようになりました。食欲不振やフラッシュバックによる吐き気、嘔吐、睡眠障害、めまいなどがあり、適応障害の診断を受けて現在も通院を続けています。

そのころの私は確かに仕事を休みがちで、迷惑をかけていたと思います。ですが、その原因を作ったのは連盟の職員です。そして、このままでは心身ともに疲弊してしまうと考え、A氏の発言が耳に入ってしまうことや役員以外の方がセクハラについて知っていたことを伝えた上でB氏に「休職をしたい」と申し出ましたが、人手不足だという理由で却下されました。


2.フットサル連盟の労働環境

私が体調を崩し休職を却下されるような状況に陥る数年前にも、ある職員が突然出勤できなくなったのちに退職したことがあります。その方もB氏に退職の意思を伝えたにも関わらず承諾してもらえず、しばらくして出勤できなくなってしまいました。

複数の職員が、毎日深夜まで働いてタクシーに相乗りして帰ったり、大会前になると始発で帰ってシャワーを浴びてまた出勤したり、そういった働き方をしていました。そのような勤務時間をきちんと申告していれば人手不足であることは明らかになったと思いますが、一度A氏に「ここまでしないと回らないということが数字で明らかになればBさんも理解してくれるのではないか」と言うと「みんな出勤簿上は見込み残業の時間までしか働いていないことにしてるから」との返答でした。(出勤簿はそれぞれが手入力をするのでいくらでも誤魔化すことができます)

「人手不足」を口にすることはご法度であり、大会の振り返りで私が「人手が足りなかった」と意見をしたときには、B氏から「それを言ったらおしまいだろう」「言い方に気をつけろ。そういうことを言っていると嫌われるぞ」と言われたこともありました。

離職率も高く、引継ぎもないままに業務に取り掛かることも多いので、もちろん効率は落ちます。毎日極限まで働いていれば、リフレッシュや疲労回復、体調管理に当てる時間もなく、ある職員からは業務での運転中に居眠り運転寸前で危なかった、とも聞きました。

寝不足で目が真っ赤だったり、咳が止まらず常に苦しそうにしていたり、食事を摂ると吐き気や胸やけが止まらなくなってしまったり、B氏から電話がかかってくると手が震えてしまう人や、大会前になると何度もものもらいになってしまう人、過呼吸を起こしてしまう人もいました。泣きながら相談を受けたり、ミスをしてしまったのでカバーをしてほしいと頼まれたりしたこともありました。


3. 個人の環境について

上述のような労働環境のなか、突然出勤できなくなった職員の分はさらに少ない人数で埋めることになります。誤解してほしくないのですが、辞めてしまった職員が本当にがんばっていたことを知っているので、自分の身を守るために去ったことは間違いではなかったし、責めるつもりもまったくありません。ですが、その当時、その業務を埋められるのは私だけだったので、本来契約している業務内容や日数以上に働かなくてはいけなくなりました。

ひどい時は何十日も連続で働きました。私はある程度働いた時間に忠実に記録をつけていましたが、それでも下手をしたら何十時間も連続で働くので一旦仕事を終えたことにしたり、実際より少ない時間を申告したり、休日出勤をしていても記録をつけなかったこともあります。

何度も、契約内容以上に働いていることや後任を入れてほしいことを訴えましたが、結局1年以上この状態は続きました。その間にA氏とのトラブルが起きました。

そのあと新しい職員も入り、少し楽になると思いましたが、人手不足自体が解消されたわけではないので過剰労働は続きました。ある週、通常業務に加え、新幹線での出張と飛行機での出張が続き、間の2日間で休みを取る予定でした。ですが、ある職員から急な仕事を頼まれ、1度目の出張のあと休み返上で徹夜で作業をし、そのまま2度目の出張に向かいました。2度目の出張の際に骨盤や股関節がひどく痛みましたが、「あれだけ無理なスケジュールだったから疲れが溜まっているんだ」と思っていました。そして、帰京後に妊娠が分かりましたが、数日後に流産をしてしまいました。

妊娠初期の流産は8~15%ほどの確率で起こり、その多くは染色体の異常であるため母体に原因はないと言われています。それでも、「あのときあんなに働いていなければ」、「徹夜をしたからかもしれない」と自分を責めました。「妊娠が分かったときに一瞬、仕事はどうしようと思ったからこの子はお腹に居続けてくれなかったのでは」と自分を責めて、責めて、責めました。

それでも仕事は休めませんでした。休んでしまったら他の人にしわ寄せがいくと痛いほど分かっていたし、B氏には絶対に流産のことを報告したくなかったからです。B氏から他の職員や関係者のごくプライベートな家庭環境や持病などの話を聞いてしまうことがありましたし、A氏からのセクハラを他人に話してしまった可能性も高かったので信用できませんでした。それで、出血も止まらないまま試合会場に通いました。そのときは追い詰められていて、そういった選択しかできませんでした。

その後、体が悲鳴をあげ風邪をひいてしまったのですが、ちょうど休日で病院に行けず、出勤日の朝にB氏に病院に行くと連絡したところ「体調管理はしっかりしてください」と返ってきました。いくら流産のことを知らないとはいえ、A氏とのことで体調を崩し休職をしたいと申し出ても却下され、無理なスケジュールのなかで締め切りに間に合わせるように仕事をしたことも知っていて、体調管理に当てる時間もないほど働いていたのに、です。

「急な仕事に対応した」という話をしましたが、「〇〇(仕事を依頼した職員)が急に頼んでくるのが嫌なんだろう」と個人の責任にされ、どうしてその人が急な依頼をしなくてはならなかったのか、その原因を改善しようとしていないことがはっきりと分かりました。ここで何かがぷつんと切れてしまいました。


4.フットサル連盟への内部通報

その後も夏季休暇を取得する職員に対し、B氏が「休み中も連絡は必ず取れるようにしておけ」と話しているところに居合わせるなど、このままの環境では心身ともに限界だと感じました。ただ、口頭で体調不良を伝えたところで個人の管理不足と言われてしまうことを考え、適応障害の診断書を提出しました。結果、1カ月休職ができることになりました。休んでしまうと他の人にしわ寄せがいってしまうことを危惧しましたが、B氏から「もし回らなかったとしても、人手不足などが周囲に分かってもらえるから心配してなくていい」と言われ、これ以上がんばることも難しかったので休みをもらうことにしました。

ですが、実際はやはり他の職員が大変な思いをすることになりました。経費の削減も常日頃から厳しく言われているので、名古屋での数日間の試合を終えた最終日の撤収後にそのまま車で出発し、東京まで帰るという行程が組まれていました。それを聞き、また居眠り運転のような危険が起こるかもしれない、私のように取り返しのつかないようなことが他の人に起きてほしくはない、と内部通報をすることを決意しました。

ただ、フットサル連盟には、内部通報制度やハラスメントの相談窓口などはありません。B氏より上の立場の方々は非常勤なので、身近に相談できる立場の方はいませんでした。そこで役員のC氏、D氏、E氏、F氏に宛てて、なぜ診断書を提出し休職するまでに至ったかの詳細をメールしました。1週間ほどしてC氏から返信があり、メールでのやりとりや面談が行われました。そこで私は「職員が今のような働き方をしていたら、設営で何かの下敷きになったり、車で事故を起こしてしまったり、何が起こるか分からない。物損などお金で解決できるようなことならまだしも、職員が命を落としてしまったり無関係の方を巻き込んで命を奪ってしまったりしたら取り返しがつかない」と訴え、「私が休んで終わりではなく、B氏の報告を通してではない現状を把握し、根本的な組織体制の改善をしてほしい」「私だけでなく他の職員も困っていることがあるはずなので、できれば全員との面談などを実施してほしい」と求めました。

ですが、結局職員に対する面談は行われなかったようですし、調査をしたかどうかの報告もなく、環境が改善することもありませんでした。さらにC氏は私から相談を受け面談することなどをB氏に話してしまったため、B氏から「Cさんに相談したんだから、あとはCさんとやって」と突き放す発言をされたり、メールなどの情報共有から外されたり、今まで何年も私が担当してきた業務を突然違う職員の担当に変えられたり、報復行為と思えるような対応をされました。B氏に「情報共有から外されて困っている」と直談判をしましたが、「あいつらが勝手にやっていることなのに、俺に責任を取れっていうのか」と逆に叱責を受けました。部下に責任転嫁をすることもおかしいですし、仮に職員が自主的に私を孤立させる行動をしたのだとしたらそれに対応するのがB氏の立場なので、どちらにしてもB氏の言動は適切だったとは思えません。実際に業務が回らず困るのは現場の職員なので、こっそり連絡や相談は来ていましたが。

連盟への内部通報はまったく意味がなかったので、このままではいけないと思った私はフットサル連盟の上位団体への内部通報を行いました。その際、とても親身になって話を聞いていただきました。「絶対にしてはいけないことだが、通報を逆恨みして報復行為をしてくることもある。そういったときは相談してください」と言われ、とても心強かったことを覚えています。ですが、その後にコロナ禍が訪れうまく調査が進まなかったこともあるのか、改めて問い合わせをした際に「B氏本人にもヒアリングをし、一部事実であると認められるが双方の認識の違いや意思疎通が十分ではなかったとの印象」との返答がありました。


5.業務改善の申し入れを公表した理由

上記のような経緯から、証言だけでは「受け取り方の違い」などで有耶無耶にされてしまうので、第三者から客観的に判断してもらうことが必要だと考えました。それから2年近くの時間をかけ、過去に遡って勤務記録やメールの送受信の記録、書類を揃え、契約や業務に関することなど大切な内容は必ずメールや録音で証拠を残し、それを基に代理人弁護士を立てて今回の申し入れを行っています。

申し入れとともに手記を公開した理由は、内部だけで処理をされてしまうことを避けるためです。これまできちんと連盟が調査をした形跡はなく、仮にされていたとしても最終的な報告もなく、改善にもつながっていません。昨年にはまた一人、突然出勤できなくなり休職の後に退職した職員がいます。私が環境の改善を訴えたときにきちんと向き合ってくれていれば、少なくともその方は辞めなくて済んだのでは、と思うと残念でなりません。

また、事実上はB氏の後任の責任者であったはずのG氏は「何も権限はない」「B氏の許可がないと進められない」と話をしていました。

とても局地的な話になりますが、たとえば今、Fリーグにはオフィシャルカメラマンがいません。ですが、画像はどうしても必要になります。B氏は「チームからもらえばいい」と言いますが、どうしてもタイムラグが起きてしまうことやチームが契約をしているカメラマンの画像を使用することによる権利関係など、様々な問題があります。周囲からすれば、携わっている人間の力量が足りていないと判断されるでしょうし、クラブやスポンサーからも何度も「発信や告知が少ない」と言われています。昨年はFリーグの15周年であり、ワールドカップイヤーでもある大切な一年でしたが、それでもカメラマンは不在で、プロのカメラマンが公式に撮影した画像は一枚もありません。一度は事実上の責任者であるG氏に「組織として広報やプロモーション、制作物に予算をかけない、重要視しないのであれば、それをクラブやスポンサーに説明してほしい。そういった方針であるのは組織の問題なので、個人の責任にするのは違う」と言いましたが、「B氏の許可が下りないから」の一点張りで回答は得られませんでした。

チームも限られた人数のなかで試合運営をしており、カメラマンからチームに画像が届き、それを選定し転送し・・・となると深夜や早朝にかかることもあれば、依頼した期日に間に合わず催促の連絡をしなくてはならないこともあります。そういったことでまた体調を崩した私は、現在私物であるカメラを使い、撮影をしています。ですが、それは契約内容に含まれていない業務であり、たとえボールが当たってカメラが故障しても補償はありません。また、組織としても権利や情報保護の観点から契約上の合意のない私物の記録媒体に保存しているのは好ましくない状況です。そちらについても何度もG氏に相談し、3月末には役員であり休職までの経緯等を報告したD氏、G氏との三者での面談でも触れましたが、契約書に記載がない業務であるにも関わらず、「今シーズンも続けてもらうしかない」そうです。

また、D氏も常勤ではないためほとんど顔を合わせることはありませんが、この面談でお会いした際に一言も「体調は大丈夫か」「B氏との関係は大丈夫か」等の言葉はありませんでした。G氏が同席していたとしても、ほんの少し声をかけることや、直接話すことが難しければメールなどをすることもできたはずです。

もし、このときにD氏が一言でも気にかけてくれていたら、そこで今も悩んでいることを伝えられていたら、申し入れはしても公表まではしなかった。踏みとどまれたと思います。ですが、それも叶いませんでした。


6.今後について

冒頭に書いたとおり、私はフットサルの仕事を続けていきたいと思っています。なぜなら、きちんと環境が整い、適切な組織運営をできるようになれば、もっとフットサルが、Fリーグや女子Fリーグが盛り上がり、チームや監督、選手の環境も改善すると思うからです。

Fリーグ、女子Fリーグはこの4月から新法人になりましたが、私がフットサル連盟時代に労働環境の改善を訴え、有耶無耶にした方たちが連盟にも新法人にも残っています。法人が変わったから無関係、では決してありません。

誰かの顔色を窺い、コロナ禍のせい、誰々のせい、と言い訳や責任転嫁をして、時には虚偽とも思えるような本意ではない発言や報告をする。そういったことが改善され、愛情や熱意を持って働き始めた人が志半ばで、時にはフットサルを嫌いになり去っていくこの環境をどうしても変えたいと思っています。これまで私は「まずは土台をしっかりしてほしい。今、必要なのは大物ゲストを呼ぶことでも派手なイベントをやることでもなく、まずは環境を整えること」といろいろな関係者に訴えてきました。ですが、環境を変えられる、少なくとも意見を言える立場であるにも関わらず、「Bさんだからしょうがない」「もう少しがんばって」「人手不足や予算不足は言い訳」「工夫すればお金をかけなくても何とかなる」と見過ごされてきました。そういった方たちにもしっかりと、現状の把握と調査、改善をお願いしたいです。

また、これまで私が相談した方はすべて男性です。Fリーグ、女子Fリーグは3月の「女子サッカーデー」で女性の活躍推進等のメッセージを出していましたが、現状とはかけ離れています。女性の大会や女性のリーグに携わってきた組織として、男性には話しづらい、または理解が難しい体調や結婚後のキャリア、妊娠や出産、セクシャルハラスメントについて相談できる体制を整えていただきたいと思います。私も実際に、自分が受けた発言や体調について話すときにとても躊躇しました。男性でも、女性でも、長く働いていても、新人でも、誰もが悩みを相談できる、そういった組織になってほしいと願っています。

そのために、何度も何度も死にたいと思いながら、このまま飛び降りてしまえば、飛び込んでしまえば楽になるという気持ちと戦いながら、時間をかけて証拠を集めました。私だけではなく、証言をしてくれる方や証拠の提出をしてくれる方の協力も得ています。

サッカー、フットサル界には、これからも一緒に働きたいと思うような素晴らしい方、お世話になった方、感謝している方がたくさんいます。無関係の職員やチームの方々、監督や選手に対しても、こういったネガティブな内容を公表しなくてはならないことをとても心苦しく思っています。ですが、こういったことをひた隠し、誰かの犠牲の上に成り立つ組織であってほしくはありません。これから先のフットサル界の未来には、私のように心身を蝕まれることなく、何よりも大切な命や健康が守られ、人権が尊重される環境で働く人が増えてほしいと切に願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?