ぼん

・墓に参ってまいった。

・相変わらず滑稽な儀礼である。昔はバカバカしいな〜と忌み嫌っていたが、近ごろは割と愉しむようになった。

・日当たりのいい、ふかふかの芝生に覆われた墓苑。この季節は暑くてかわいそうだ。かわいそうなのは石なのか骨なのかようわからんけど。

・母は石に向かって「お父さん、暑いけど頑張ってね〜」と、柄杓で掬った水とともに優しく声をかけていた。「何を頑張んねん、こちとらとっくに死んどるわい。」と石にアテレコしたら母はケタケタと笑ってくれた。

・母はふだん、第3だか第4だかのもはやビールとも呼べない謎の泡を我慢して飲んでるくせに、味覚などとうに失った父の骨には本物のビールを毎年供える。500mlのキリンラガーを。さっさと1人現世から逃げたくせにこんなに大切に弔われて、実にいいご身分である。遺された母は毎日歯を食いしばって生きているのに。このクソ親父が。

・それでもこんなに暑くてかわいそうと思ってしまう自分も可笑しい。ただの石だっつの。とうに死んでるっつの。頭ではわかっているのにね。

・祖父の墓にも手を合わせてきた。私の記憶にあるじーちゃんはいっつも黙ってニコニコしてる温和な人だけど、若い頃はパチンコで負けて泥酔しては妻子をぶん殴るクソ野郎だったらしい。ばーちゃんやおかんは当然悪く言うけど、私は全然嫌いじゃない。まぁ自分が殴られてないからだろう。殴られてたら大嫌いだったに違いない。

・身内では悪者として語られるじーちゃんだが、私は単に弱くてかわいそうな人だと密かに思ってる。若い頃も、シラフのじーちゃんは全然喋らない温和な人であったそうだ。米粒みたいな島に生まれ育って慎ましく暮らしてたのに、上昇志向の強いばーちゃんに勝手に本土の働き口を決められたのだ。慣れない都会の仕事や暮らしにストレス溜まって当然である。酒に逃げて妻子を暴力で制圧するしかなかったのだろうと想像する。

・確かに最低のクズかもしれないが、じーちゃん1人がなにもかも悪いとも私には思えない。子供の未来を思い、先細っていくだけの島から出たばーちゃんは立派だとは思うが、じーちゃんの気持ちは置き去りだったのではないだろうか。

・しかしそんなことを口に出せばみんないい気はしないだろう。ばーちゃんが英雄という筋書きで、一族の物語は既に出来上がっているのだ。もう死んだ、もはや人でないなにかより、今生きてる人間を大切にした方がよい。然るに黙っておくが吉。

・今更ながらパリオリンピックの開会式を見た。母が録画してたので。

・開会式って初めて見たかも。なっげーのね。途中飽きてかなり辛かったけどなぜか頑張って2倍速で最後まで見た。

・フランス、やっぱり変な国だな〜。でもそういうとこが割と好き。いや、好きは言い過ぎかも。嫌いじゃない、といったところ。

・留学時にフランス人の女の子がめちゃくちゃ褒めていたセリーヌ・ディオンが最後に歌ってた。とてもよかった。

・その子曰く、カナダの仏語圏出身のセリーヌ・ディオンのフランス語はかなり訛ってるらしい。最初フランスでは全く認められず泣かず飛ばずだったが、英語の歌が世界的にヒットした後フランス語のアルバムを出したらそれもヒット。彼女がすごいのは、英語も訛っていることだ。母国語じゃないから。つまりどちらの言語でも訛っているという二重のハンデを背負いながら、最終的にはどちらでも認められるという偉業を成し遂げたからすごいのだ!と、そのフレンチガールはかなり興奮した様子で語っていた。

・当時彼女にフランス語のアルバム借りて聞いたら確かに訛ってるな〜と感じた(フランス語まで富山弁だと笑われた私に言われたくないと思うけど)。でもオリンピックの歌聞いても訛ってるとかわかんなかった。彼女が訛りを矯正したのか私の耳がなまったのかわからんけど、とにかくとても美しかった。正直レディーガガより数億倍よかった。なんでガガ様はアメリカ人なのに引っ張り出されたんだろう??フランス語話者じゃないのに。ちょっとかわいそうですらあった。

・あとは、ジダンがかっこよかったな〜とかレミゼの歌よかったな〜とかあっさい感想しか思い浮かびません。1番の感想は、長い!!かな。4時間は飽きるって。私だけ??

・日記なので突然話変わるけど

富山市の給食もアルミパックだったが!??と思って記事の写真見たら、微妙に違う。四角いアルミなのは一緒だけどもっと立派なカンカンだった。富山もアルミごと炊いてたんだろうか…。調べても出てこなかったが、富山県はアルミ会社多いからかもしれない。


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