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7日目 平和島の冷蔵倉庫 退屈な夜、足りないコンテナ

皆さんこんにちは。前回は笑いの生まれた夜に関する記事を書きました。今回また倉庫の夜勤に行ってきましたので、その記事を投稿します。

前回行ったのは先週金曜日6日でした。土日を挟んだ月曜日の9日は日中予定があったので、また夜勤に入ろうと思い電話をかけました。

今回もあっさり入れました。今回は女性の方が受付で、普通に名前や年齢を聞かれました。ここ最近は名前を告げただけで「あ、古川さんね」と覚えられていたので、そうでなかった事が逆に意外に感じました。

いつものように18:00に事務所へ行き、交通費をもらい、平和島へ。この日は昼食が遅く、それほど空腹では無かったのでラーメンとライスはやめることにしました。平和島の夜勤で初めてラーメンとライスの輪廻から抜け出す事となりました。

何かサクッとした軽めのものを食べようと思い、平和島駅の改札を出てすぐ目の前にあさひという立ち食いそば屋があったので、そこでそばを食べる事にしました。

券売機制のお店だったのですが「きつねそば」「天玉そば」などごく普通のメニューのボタンに混じって「平和島そば」というボタンがありました。「平和島そば」...。気になりました。券売機には平和島そばの説明や写真は付いてませんでした。平和島ならではのそばはどのようなそばなのでしょう。平和島そばを頼む事にしました。

こちらが平和島そばになります。海苔とわかめがたっぷりトッピングされたそばでした。僕の勝手な思い込みですが、こういったオリジナルのそばには何かしらの揚げ物がトッピングされるものと思っていたので、出て来た平和島そばに結構面食らってしまいました。

「あ、揚げ物、入ってないのか...」と思いました。揚げ物が1つ入っているくらいのそばがその時の空腹度合いにはちょうど良かったので、海苔とわかめだけのそばはヘルシー過ぎるように感じてしまいました。

しかし、食べ始めたら、わかめにごま油のタレのようなものがかけられていて、それがそばとマッチングしていて美味しかったです。おつゆも濃すぎず、だしがきいている感じでいいお味でした。

食べ終えて店を出て倉庫に向かう途中で、平和島が湾に面した土地であるから、海藻である海苔とわかめをトッピングしたそばを平和島そばとして出していたんだと気付きました。しっかりとコンセプトに基づいたそばだったのです。

この日もまた橋の途中からの写真を撮りました。もう完全に見慣れた光景です。

平和島のラスベガス、BIG FUNの写真も撮りました。写真を撮るのが下手で霞んでいますが、逆に僕が抱いているBIG FUNに対する儚いイメージをよく表せている気がします。

倉庫に到着し、受付で待っていました。19:30集合で、大体そのぐらいの時間帯になると日雇いが集まって点呼を取る管理者の方が来るのですが、19:30になっても誰も来ず、20:00になっても誰も来ませんでした。

20:00を10分ほど過ぎた頃通りがかったレギュラーの方から「今日は21:00からだと思います。それまでロッカールームで休んでいて下さい。」と言われたので21:00までロッカールームで休みました。

何回か来るようになって分かって来たのですがレギュラーの遅番は21:00から業務開始で僕達日雇いが20:00から入っているのは、日勤のコンテナ作業の残り等があればそれを手伝う為のようです。それらが終わった後、遅番の人達の積み替え作業を手伝います。コンテナは基本的に日勤の作業のようです。思えば夜遅い時間にコンテナをした記憶はありませんでした。

そのような訳で、この日は手伝うべき日勤の仕事が無かったので僕は21:00からの業務になったのだと思います。

この日も日雇いは僕1人でした。他の日雇いの人達はどこに行ってしまったのでしょうか。たまたま一緒になっていないだけなのかもしれませんが、日雇いはこのようにメンバーが物凄く流動的で、それは心地好くもあり寂しくもあります。一期一会という概念の塊、それが日雇いなのだと思います。

21:00に倉庫に入り、業務が始まります。まず最初に指示されたのは積み替え作業でした。フォークリフトの人が持ってくる段ボールに積まれたパレットを空パレットに積み替えるという作業をしました。いつも行っている作業です。

フォークリフトはこの間気さくに話してくれた若い男性がまた運転していて、積み替えをする2人も前回一緒だった2人でした。1人は50代半ば程の男性、もう1人は若い男性と同じ32歳の男性で2人ともメガネをかけています。

積み替えが終わると、シール貼りや、台車運び、また別の積み替えなど、前回など同じような作業を指示され、行いました。

何回も夜勤に入っている事で作業の流れも漠然と分かってくるようになってきました。それに応じてミスをした際の、指示を出す厳しい人からの「この前も言ったじゃん!」という叱責を受ける機会が増えてしまいました。

僕は初心者から脱している最中の日雇いの為、厳しい人の出す指示の内容を汲み取りきれない部分が出て来る事がたまにあります。その場合改めて聞き返した方が良いのですが、聞き返す事も叱責の火種になる可能性は高いのです。

基本的に指示は相手がフォークリフトに乗った状態で出され、指示を出したらすぐどこかにフォークリフトで行ってしまいます。そのフォークリフトを追いかけてわざわざ指示の内容の再確認をするのは相手からしたらとても愚鈍な人間に見える危険性は高くなります。

それによる叱責というリスクを回避するために、内容が十分に理解できてない状態でいわばギャンブルのような形で作業を行って、外れてしまった場合叱責を受けるという事になります。

日雇いとして一人前になればぐんと叱責の機会は減るはずなので、成長過程の洗礼として今は耐えようと思っています。

そのように叱責を受けながらもある程度夜勤のルーティンが見えてきて、業務に慣れていきました。慣れていくうちに僕の中で芽生えてきた感情がありました。

それは「退屈」でした。僕にとって全ての業務が新鮮なものでは無くなってきたのです。業務中にあくびをしてしまうこともしばしばありました。僕が退屈を感じてしまう、今のこの倉庫に足りていないものははっきりとしていました。

それはコンテナです。ぱっくりと口を開けたコンテナの中にぎっしりつまった冷凍チキンや冷蔵ポークが今の僕にはとても懐かしく感じられました。

コンテナ作業で息を切らし汗を流して必死で冷凍チキンを荷下ろしている時の、命を燃やしている感覚。それが今の僕には足りませんでした。

僕の生活サイクル上、入るのが多いのは夜勤です。夜勤の倉庫ではコンテナ作業は最初にはありますがメインではありません。積み替えや後はシール貼り、台車運び等の雑務です。

積み替えはある程度筋肉は使いますがコンテナ程の過酷さではありません。肉体的には夜勤の方が遥かに楽なので、バイトとしてはそちらの方が良いはずなのですが、今僕は無性にコンテナが懐かしく思えました。

自分の出しうる限りの力を使ってコンテナと格闘しているとき、僕は強く「生きている」と感じます。僕はあの汗だくになって荷下ろしするコンテナ作業に魅了されていたのだと気付きました。

自分でも相当おかしいとは思いますが、コンテナ作業によって自分が強くなっていくのは筋トレのような充実感があったのだと思います。そのような人間にとっては確かに夜勤は退屈に感じられても仕方ないかもしれません。

しかし、夜空いていれば夜勤に入るしか無いわけなので、僕はこの退屈な夜と折り合いをつけてやっていくしかありません。この日も細々とした雑務を終え、ゴミ集めを行い、終業となりました。この日はいつもより若干終業時間が押して、5:00少し前に帰る事になりました。

いつもはまだ夜が明けていないのですが、この日は夜が明けていました。朝焼けの倉庫街を橋の途中から振り替えって撮ってみました。朝焼けはどこでも美しいのだと思いました。

日勤はコンテナ状況によっては残業もあって、それで日給1万を越えるケースもあるらしいので、丸一日空いたらまた日勤にも入ってみようと思っています。本日の教訓はこちらになります。

「コンテナが懐かしく思える夜もある」

お付き合いありがとうございました。次回も是非お楽しみ下さい。

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