Kの部屋#98.5 夢を背負う男

※スラムダンクの続きを勝手に考えてみる、Kの部屋ブログに勝手に話を付け足してみるブログです。本家の世界観とストーリーを崩さず、シンプルに話を付け足させて頂きました。ご了承くださいませ。

※本編とのつながりを分かりやすくするため、#98の文頭と文末でKの部屋の表現をそのまま引用しております。


湘北 87
海南 89

2点差で湘北ボール。

残り8秒。

「さあああ!!!!湘北最後の攻撃だ!!!」

「2点差!!残り8秒!!!」


宮城が叫ぶ。

「行くぞおおおおおお!!!!!!!」

「オウ!!!!!!」

湘北の5人が走る。

海南の5人は守備を固める。


残り5秒、

湘北がフロントコートに入った。

ビッ!!!

宮城がボールを放る。

「最後はアンタに任せた!!」

ボールは三井へ。


「最後は三井だ!!!!」

「3年の三井で勝負!!!!」

「三井......!!!!」
赤木と木暮が立ち上がる。


二人はこの瞬間、偶然にもあの夏の同じ出来事を回想した。

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夏のIH、愛和学院に敗戦後、
神奈川へ帰るために黙々と身支度を進める、湘北高校3年生部屋。

作業の音だけが部屋を支配していた。

「三井、木暮、ちょっといいか」

赤木は緊張感のある声で二人に声をかける。

「俺は、この夏で引退する。」


木暮はやっぱりという表情で一息。

三井の顔は曇ったまま。

三井「、、大学のスカウトは来てないのか?」


赤木は深呼吸して続ける。

「深体大からスカウトの話が来ていたが、今年の夏のIHでベスト8が入学の条件だったんだ。達成できなかった以上、スカウトの話は無しだ。それに、俺は湘北での自分の役目はもう終えたと思っている。夏で引退して、受験で自分の行きたい環境を選ぶ。」

沈黙がまた3年部屋を支配する。


木暮が口火を切る。
「、、俺も引退するよ。やれることはやれたと思ってるし、一時はどうなるかと思った湘北というチームが、もう自分の手には届かないところまで羽ばたいていったと感じたんだ。アイツらがいるなら安心して引退できるよ。」


三井は頭で理解はできたが、心では納得できていなかった。

「、、一緒に冬までやる道はないのか。俺は残るぞ。全国制覇が夢だったんじゃないのか?」

木暮「三井、、、」

赤木「フ、、まさかお前からそんな言葉が聞けるようになる日がくるとはな。」

三井「なんだと、、俺はお前らにも、安西先生にもまだ借りを返し切ってねえんだ。」


赤木「湘北は、いまや俺やお前がなんとかしなければいけないチームではなくなった。お前ひとりの力でここまでこれた訳でもない。三井、もう誰かの為にバスケをするな。お前のためだけにバスケをしろ。俺は、、」

赤木はふと、心の中の何かが溢れてしまいそうな気持ちに気づいた。

「む、安西先生に呼ばれてたのを忘れていた。すぐ戻ってる。」

木暮「わかったよ。(呼ばれてなんかないクセに)」


三井「クソ、あそこまで言われたら結論は変わんねえな。
あー結局お前らとは全国制覇できなかったな、、俺がずっとバスケ部にいれば、、」

木暮が遮る。
「お前はヒザを怪我していたんだ。治るのが少し長引いただけさ。
赤木はああ言ってたが、湘北がここまでこれたのはお前のおかげだよ。」

三井はふと冷静になった。

三井「木暮、、お前がいなけりゃ陵南に勝ててなかっただろうな。」


木暮「どうかな、あのパスが俺じゃなくてお前に渡っていたら、お前が難なく決めてたはずさ。でも、ありがとう、、、俺にとっては、、一生の自慢さ。お前とバスケができて良かったよ三井。全国制覇の夢はお前に託すよ。」

木暮の声は震えていた。

三井「木暮。。」

木暮は拳を差し出した。
三井も拳を差し出し、グータッチ。

木暮「、、、さて、俺は1年達を起こしに行ってこようかな、アイツら寝てるだろうから。」

三井「わかった。(それはマネージャーの仕事だろーに)」



赤木は行く当てもなく、宿の近くの公園に設置されていたバスケのゴールを見つめていた。

3年間の戦いが走馬灯のように駆け巡る。

達成感も後悔も、迷いもある。

背後から歩み寄る影。


木暮「やっぱり、ここだったか。お前は本能的にここにくると思ってたよ。」

赤木は振り返らない。
泣き顔を見られたくなかった。

木暮「赤木、、」

木暮は一呼吸おいて言葉を選んだ。

「中学から今までありがとう。いいバスケ人生だったよ。」


赤木は振り返らずにはいられなかった。

赤木「木暮、、、」

木暮「ハハ、初めて見たよお前のそんな顔。」


木暮は拳を差し出した。

赤木も笑って差し、拳をぶつけた。

木暮は拳をじっと見つめ、実感した。
これで自分の高校バスケは本当に終わったのだ。


木暮「全国制覇の夢はあいつらに託そうぜ。」

赤木「ああ、そうだな。」

赤木は、涙を拳で拭い、深呼吸し、いつもの顔に戻った。


「木暮、俺達は大学で全国制覇だ!」

木暮「ハハ、さぁどうかな、今度ばかりは考えさせてもらおうかな。」

ーーーーーーーーーーーーーー

木暮は心の底から叫んだ。

「決めてくれ三井!!」

同時に、赤木の咆哮が会場にこだまする。
赤木「三井!!!決めろ!!!三井!!!!!」

三井の耳には、赤木の声が通った。

三井 (何が誰かの為にバスケをするなだよ赤木。俺はお前とは違うんだ。
お前らの期待に応えさせろよ。期待を越えるのがスーパースター三井なんだよ。。。
バスケ以外で、バスケ以外で誰も俺に期待なんかしてくれねえんだ!!)


「三っちゃん!!!」

武石中組が身を乗り出す。

「ミッチー!!」

洋平たちも立ち上がる。

「三井さん!!!」

湘北ベンチが叫ぶ。

「決めろ!!」

コートの桜木と流川も叫ぶ。

キュッキュ!!!

「取らせん!!!!」

牧が来た。

神と2人で三井につく。

「牧!神!止めろ!!」

海南メンバーが叫ぶ。

三井、ニヤリ。

(最高の展開だぜ!!!)

本編へつづく。


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