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総合能力と現在地

Bリーグ14節 茨城ロボッツvs秋田ノーザンハピネッツ

今節、GAME1では秋田がリバウンドで圧倒し,ターンオーバーを連発した茨城に快勝。チームは2連勝となりまたもや上昇気流に乗る形に。
GAME2ではスタメンを変えてきた茨城が3Pやリバウンドで粘り,何度もリードチェンジがあった展開に。
その中で後半にリバウンドを高確率で取り,セカンドチャンスにつなげた秋田が茨城を引き離して3連勝。そしてこの日、前十字靱帯損傷の大怪我から1年経った田口選手が3Pを5/10決める活躍もした。
田口選手は、信州戦でふくらはぎを負傷し,3試合離脱していたが,その後大阪戦で復帰。パフォーマンスが上がらず、ターンオーバーの連発や,パスミス、シュートセレクションの悪さなどが目立っていた。それが、この試合では「シュートをシンプルに打つこと」に徹底し、それが成功。見事に勝利の立役者となった。


チームはバイウィーク明け、絶好調で,9勝1敗。この連勝も含めて現在3連勝中だ。信州から移籍してきた熊谷選手もチームにフィットしてきて、良いパフォーマンスを見せている。そんな中、バイウィーク前、チームでコンスタントに得点を取り,安定したプレーを見せていた長谷川暢選手のパフォーマンスが落ちている。大阪、群馬、茨城と連戦の疲れもあるのか,身体のキレが今ひとつでシュートセレクションも良くない。3Pをブロックされたり、レイアップも決まらず,フローターショットに関してはエアボールにすらなってしまう。序盤、40%を超えていた3Pもここ数試合は,確率が落ちている。ディフェンスに関しては、もともとのポテンシャルが高いのでそこまでの不調は見られないが、以前のようなスティールもなかなか見ることが出来ない。

全中優勝、MVP、能代工業のキャプテンを務め,早稲田大学ではリーグアシスト王にもなった選手であり、上背はないが、持ち前の得点能力とアグレッシブなドリブルが魅力の総合能力の高い選手である。

その長谷川選手が茨城戦GAME2ではプレイタイムを大きく減らした。
セカンドユニットで1Qで出ると、すぐさま,ドライブからのキックアウトで田口選手へアシストをする。その後3Pを自身も打つが入らず。そのプレーの直後、前田顕蔵HCはルーキーの小栗選手を呼んだ。
コートに立って2分のことだった。
小栗選手はルーキーのPG。3Pが得意な選手ではあるが、ディフェンス能力は今の秋田の選手の中では正直力不足は否めない。接戦や強豪相手の試合で出場する機会はほぼなく、PTも2分ほど。そんな小栗選手は前節の水曜ゲームの群馬戦で3Pを2本決めた。群馬の選手達が大量失点で気持ちが切れてしまい、ノープレッシャーでの3Pだったが見事に決めた。そして、この試合で長谷川選手は幾度となくあったシュートチャンスを全て外した。

前田HCは小栗選手を使う決断をした。そして、それは2Q、3Qでも同じく小栗選手を出した。そして長谷川選手はPTをもらうこと無く試合は進み、点差が開いた4Q残り2分で出場機会を得た。
ベンチでは声を出したり,手を叩いたり,自分が出来ることをやっていたのだろうが、その表情からは悔しさ、情けなさが見て取れた。試合に勝って笑顔が溢れる選手の中で,いつものようにファンに頭を下げ,手を振りコートを去る姿に喜びは無かった。

SNSでは「何故,出ない?」と話題に。
秋田のブースターはバスケに精通している人が多く、「このパフォーマンスじゃ小栗の方が良い」「長谷川はフローターばかりだ」との意見が多かった。

クラブが配信しているコーチ目線の分析では「アキのプレータイムが伸びた。そして、ノボルのプレータイムがすごく減りました。でも、これは悪いことではない。彼が,何をしたら良いか,考えるきっかけとなる」と書いてあった。

能代工業復活の中心人物だった長谷川暢。勝てなかった早稲田をインカレ6位まで押し上げた選手。熱い想いを持ったプレーヤーで足を使ったディフェンスは秋田を象徴する選手の1人。

熊谷航というライバルでもあるPGがガードとしての視野の広さ、パススキル、クイックネスでチームを引っ張るなら、長谷川暢はどんなプレーでプレータイムを勝ち取り,チームを勝利に導くのか。

シュートのセンスや、ドライブの力強さ、ディフェンス能力、カバーリングの範囲など総合能力は高い。そして、なにより、1つのスティールで会場を沸かすことが出来る。単独でバックコートバイオレーションを取ることが出来る唯一無二の人。ディフェンスでこれだけ魅了できる選手はそうそういないだろうと思う。

現在地はどこだろう。
年内最後の試合は、FE名古屋。昨年まで一緒にプレーした川嶋選手との対戦。
ここで彼の現在地を示して欲しい。チーム内の競争に勝ち、そして、昨年までポジションを争った川嶋選手に自分の現在地を見せる。

非常に楽しみな試合。逆境に打ち勝つ彼が見れると信じて。

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