漫談「断チョコ」

僕、去年はめちゃくちゃツイてなかったんです。

色々と嫌なことも起こりました。

買ったばかりの靴でナポリタン踏むし

フォークは足首に刺さるし

店員には怒られるし。

ファミレスのテーブルで反復横跳びしてただけで

あんな目に遭うとはね。

それでどうにかして運気を上げたいなと思って

ポッ拳ガチ勢兼人気占い師の知り合いに相談したところ

何か自分が大切にしている物や、執着している物を1つ手放せば

一気に運気が上がると言われたんですよ。

「どれくらい上がるんですか？」と聞いたら

「もう、ヤバいっすよ」と言っていました。

そこで僕は、良い匂いがする便箋との2択で悩んだ末に

断チョコすることを決めました。

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全てで1位を獲得したチョコを、完全に断つことにしました。

僕は昔からチョコが大好きで、いつも大量に食べてたんですよ。

チョコが主食であり、米が行方不明でした。

「チョコを食べ過ぎると鼻血が出る」

なんて言いますが

「血だまりの中に鼻がある」

という状態まで行ったこともあります。

そんな物を手放すというのはもちろん簡単なことではなく

最初のうちは数々の禁断症状に悩まされました。

スガシカオがスシカカオに見えたり

カービィが森永製菓を吸い込んでいく幻覚を見たり

「君はチョコじゃない」という理由で婚約破棄したりしました。

これを全て、中学時代に手芸部で鍛え上げた根性で乗り越え

数か月の断チョコに成功。

ただ、特に運気が上がっているような実感はなくて

もう一度例の占い師に話を聞きに行ったんです。

「あのー、もう結構長いこと断チョコしてるんですけど

運気が上がってるのか、上がってないのか、よく分からないんですよ。

特に何か良いことが起こったわけでもないし…」

「いやいやいや、完全に上がってるじゃないですか！」

「え？」

「だってめちゃくちゃ痩せてるし、顔色も良くなってるし！」

断チョコの効果は、シンプルに食生活の改善という形で出ていました。

「いや、でもこれは運気が上がったとかじゃなくて…」

「いいなー！僕なんて朝から晩までゲームばっかりしてて運動不足だから、もうどんどん太って来ちゃって！」

たしかに前に会った時よりも少しふっくらしていて

元西武の一塁手みたいな体型になっていました。

「わー！そんなに運気上がって痩せるなら、僕も何か断ってみようかな！」

「だから、運気と内臓脂肪は全く関係ないですって…」

「よーし！僕もどうするか考えておきます！」

結局その日は何も解決されないまま解散したのですが

翌日の早朝に連絡が来まして

「どうしても痩せたくて占いを断った。断占いした。」

と興奮気味に報告されたんですよ。

ポッ拳やめて外出りゃいいのに、と思いましたね。