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時計のシェアリングビジネスからいろいろと考えてみた

みなさま、こんにちは。
柄にもなく連投していきたいと思います。

今日は、今話題の破綻した時計のシェアリングサービスから思考を深掘りしてみたいと思います。

まず、今回時計のシェアリングサービスに時計を預け、未だ手元にその時計が戻られていないユーザーの方々にいち早くその時計が戻ることをお祈りいたします。

騒動となった時計シェアリングサービス

今回騒動となった時計のシェアリングサービスは既に多くのマスメディア等で報道されていると思いますが、仕組みとしては、時計を預け、時計を借りる人からレンタル料を徴収し、それを時計を預けた方に返すというものです。

時計を預ける人からすると、時計を何本も所有し、普段使用していない場合、家に置いておくよりも貸し出して手数料(擬似的金利)を手にすることができるというメリットがありました。

借りる人(今回の騒動では本当に借りていた人が果たしているのか、という問題はありますが、借りた人がいるとして)は高額な時計の料金を支払わずに、一定の利用料を払うことで、高級時計を一定期間身につけることができるというメリットがありました。

騒動の渦中にある企業は、そのマッチングをすることで、仲介手数料を徴収するというメリットがありました。

コレクタブルアセットにはインカムゲインがないという課題

今回、本当の時計好きは時計を他人に預けたりしないなどの意見はありますが、昨今のマーケット状況等を鑑み、投資的観点で以後述べていきます。

時計をはじめとするコレクタブルアセットへの投資には、一般的な金融商品と異なり、配当などのインカムゲインが発生せず、売却によるキャピタルゲインのみを狙うという形になります。

コレクタブルアセットのインカムゲインとして語られるものとして、株式や債券と違い、保有期間中にそのアセット自体を楽しむことができるというものがあります。時計はその際たるもので、実際に身に付け楽しむことができます。

当然、時計のコレクションを眺めることに最大の喜びを感じるという方も一定数いらっしゃいますが、普通は腕に身に付け、外出して、時間を確認してという一連のプロセスの中に時計を保有する魅力があると考えます。

新品で、完璧な状態で保管するという場合を除くと、時計好きでも時計を投資的観点で有している方も、数本単位であれば、定期的に身に付け、喜びと他者からの賞賛を浴び、値上がりもしていればハッピーということであったと思います。

ただ、趣味が高じて、あるいは、投資熱が高まって多くの時計を所有した場合は大変です。人間には残念ながら腕が2本しかなく、多くは片手にしか時計を付けないということと、相反して多くの時計があると、当然ですが余剰となる時計が発生するこというが挙げられます。

そうした時に家で眠っている時計があれば、何かしらインカムゲインが生まれないかと人は思うわけですが、そこで今回のような時計のシェアリングサービス(実質的にはレンディング)に需要が生まれることとなったと思います。

コレクタブルアセットのレンディングについて

時計/シェアリングといった検索ワードで一番上に出てきた業者さんをみていましたが、ここは完全に自社で在庫を有し、それを個人に対して貸し出すというビジネスモデルのようです。

今回のようなマッチング(機能していたかどうかは不明)ではなく、自社できちんと顧客を精査し、貸し出しているということがわかります。

コレクタブルアセットにインカムゲインを生む方法としては、レンディングくらいしか思いつかないのですが、そのハードルは非常に高いと言えます。
カードやワインなどは、借りてどうするんだという話になりますし、スニーカーなどは履かれようものなら価値が大幅に下がる可能性があります。
その中でも、時計は、実際に身につけることができますし、その価値は高く、また素材的にもステンレススチールの場合状態の劣化リスクも他のコレクタブルアセットよりも低いと考えられますので、まぁトップクラスにレンディングに向いている商品だとは言えます。

その中で、レンディングをビジネスとして成立させるためには、借り手の存在が重要になります。
先ほど述べたように、状態の劣化が起きやすようなアセットクラスや、借りているだけの状態に手数料を払う人がいないものは、レンディングとして成立しませんし、ヴィンテージワインを撮影に使ったりしたとしても、広義のB向けビジネスも安定的に利息が入ってくるビジネスとは言えません。

そう考えると必然的にC向けに借り手を募集することになります。その場合、今回の騒動でいろいろと言われているように、第三者に貸し出した場合、どういう使い方をされるかわからないですし、どういう状態で保管されているか、中身をいじっていないかなどリスク量が多すぎるように感じます。また、当然ですが、回収リスクも生じます。

手立てとして、借り手に身分証を課すなどが一般的ではあると思いますが、仮に返却後しばらくして内面での不具合が判明し、そのユーザーを捕捉できないとどうするんだという問題も生じるかなと感じます。

ということで、借り手の獲得(存在)と、借り手の信用(信頼)という2つの大きな課題に直面することがわかりました。

レンディングを成立するためには?

では、どうすればそうした課題を解決し、レンディングビジネスを成立させることができるかを考えていきます。
課題は明確です。借り手の獲得と信用です。

信用という観点から言えば解決策は簡単なものがあります。それは知っている人にしか貸さないということです。
知っている人であれば、当然ですが、どんな人かわかっていますし、何かあればツテを辿ることができます。
同様に、借り手の数を極力絞るという選択肢もありそうです。リスクの接地面を減らすという手法です。
しかし、いずれの手法も課題の一つ目の借り手の獲得と相反する概念になってしまいます。

借り手の獲得は非常に難しいですね。そもそもコレクタブルアセットの中で、レンディングに適したアセットクラスが少ないですし、ピンポイントでその商品を身に付けたい、そしてそれに相応のフィーを払うという層が一体どこまでいるのかという話になってしまいます。

課題は明確なのですが、解決策がうまいこと浮かびません。
もしかしたら長考するといいアイデアが浮かぶかもしれませんが、私の基本理念は「Think Long Think Wrong」なので、たぶんなかなかないんだと思います。

タレブの考えが正しいのかも?

ナシーム・ニコラス・タレブというトレーダー兼思想家をみなさまご存知でしょうか?
彼の鋭い視点からの考察で、世界中にファンいるのですが、彼の著作の中で「身銭を切れ」というものがあります。

超簡略化すると、同じリスクを取りなさいという話なのですが、例えば飲食店で顧客に提供する素材や調理とまかないのそれが異なると、作り手が誠実に作るインセンティブが減るというようなお話です。
たしかに、顧客に提供するものをまかないとして食べるのであれば、作り手は自身が食中毒やまずいものを食べたくないので、おいしく作るはずです。
まぁ、そんな話です。

今回考察していることも全くもって同じ話でして、結局借り手と貸し手のリスクにあまりに大きな差があるため、諸問題が発生することになります。
そうであれば、同じリスクを取る者同士で使い合いなさいよという話になります。
これがレンディングビジネスがフィットする条件に一番近いのかなと感じます。

それってリゾートの共同所有と同じですね。
長々と書きましたが、すでにきちんと存在していました。
おしまい

Altable(https://altable.jp/)では、コレクタブルアセットの情報を発信していますので、ぜひアクセスしていただけると幸いです!

良い週末をお過ごしくださいませ!




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