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探求心を編んだ10着のニットに出会った話

今週もまた、素敵なブランドを見つけました。

今回は、2018FWにファーストシーズンを迎えるニットブランド「Nahyat(ナヤット)」です。

前日の夜、twitterに流れてきたWWDのインタビュー記事が気になって(この記事の最後にリンクを貼ります)、ブランドのウェブサイトを検索しました。

デザイナーは、1988年生まれ、ヨウジヤマモトでニットを担当されていた、依田聖彦(よだ まさひこ)さん。

波ひとつない水面みたいにクールなサイト画面から、デザインの新しい香りがぷんぷんします。

これは見逃せない、そう思ったらまっしぐら。深夜1時にも関わらず、私は受注会のコンタクトメールを作成しました。送る前にちらっと時間が気になったけど、朝起きてから見てくれますように、…送信!!

すると翌朝、ラッキーなことにすぐご対応いただけて、メールから9時間後に私はもう、受注会場のある南青山に到着していました。

丸々1時間、デザイナーの依田さんを借り切って、たくさんお話を聞かせてもらいました。

注目すべきは、素材のつくりこみにかけるその姿勢です。

はじめから着地点を決めすぎず、たどり着いたかたちがこれだと、そんな主旨のお話をされていました。

努力とか、情熱とか、がむしゃらとか、濁音がつくような汗くさいものを、依田さんからは感じません。

得たいものを求めながら、淡々と歩みを進めたらこうなった、そんな真っすぐでクリアな探求心を純粋に発揮できる人のようです。

その澄んだ空気は、〈Nahyat〉のニットにも十分表れていて、ニットなのに、どこかクール。

この球心の柄は、編み込みではなく、顔料(インク)と箔を用いた転写プリントです。
顔料のペタッとした固さが、ニットのほっこり感を抑えています。おかげで、晩秋の落ち葉を集めたような混じりけのあるカーキ系の色合いも、少し軽やかな印象に見えます。

前から二番目の、黒いエルボーパッチが付いたニットは、正確に言えば「編んでいない」ニットです。
まず、水溶性の素材で作ったリリヤンのような芯糸に、羊毛の繊維を吹き付けます。縮絨の工程で水につけるとその芯糸が溶け、羊毛がフェルト化。縮絨感はありつつも、空気を含んだ特異な軽さと、弾むような弾力が生み出されています。縮絨前と後では、重さが半分くらいになるそうです。

インドのシルクの布帛を切りっぱなしでアーガイル柄になるように縫いつけたニット。

同じパターンですが、杢グレーの方が、杢糸(ミックス糸)の特徴によりややふっくらしています。赤の方が、シワがくっきりと入って、鮮やかな稜線を描いています。

これは着ると少しシワが伸びるので、ウェブサイトの寸法よりやや大きく感じました。

全部で10型、全て1サイズのみ。日本のセレクトショップオリジナルのニットで例えると、だいたいメンズのMサイズくらいです。

お値段設定は、これまで私が見てきたものと比べると、通常の82%くらいではないでしょうか。受注生産でないと、価格はもっと上がると思います。

普通のニットには飽き足らず、ただ素材がいいだけではつまらない、そんなニットLOVERの脳を刺激するブランドだと思いました。

届くのが楽しみです…!



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