最愛のマエストロは、赤玉土だったと気づいた話ーーーコンサートレポート(前篇)

こんばんは♬
先週の土曜日、つまり5月11日の午後。ほぼ2か月半ぶりに、コンサートに行ってきました。

会場は文京シビックホールの大ホール。現代日本のサクソフォーン奏者の代表的な存在・須川展也さんの、デビュー40周年をお祝いするリサイタルでした。

須川さんは、私の最愛のマエストロ・山下一史さんとは30年以上のお付き合いだそうです。そうした間柄からか、山下さんが千葉交響楽団の音楽監督に就任されて、2度須川さんをゲストとして呼ばれたのです。

私はお名前こそ存じ上げていたものの、須川さんの演奏を聴いたことはありませんでした。けれど、初めての須川さんの音色で聴いた、ロシアの作曲家・グラズノフの「サクソフォーン協奏曲」に、すっかり惹き込まれてしまいました。艶やかでありながら、とても暖かい音色。演奏している作品への敬意と愛情が感じられる真摯な態度。加えて、山下&千葉響、そして、聴き手への感謝と愛情が伝わってくる、生き生きとした表情。それらをすべてひっくるめて、私は須川さんに一目ぼれしてしまったのでした。

こののち、何度か須川さんのリサイタルに行こうかなと思いはしたものの、山下さん指揮のコンサートを追いかけるのに忙しいこともあって(ほかにも、追いかけている演奏家もいますしね)、なかなかチャンスがありませんでした。

それが今回、なんと! 須川さんのリサイタルに山下さんが出演されるという情報が来て、大喜びで参加を決めたのでした。1回のリサイタルで2度おいしい! って感じですからね(^^;

開演は午後2時。初めて文京シビックホールに来ましたが、実にきれいで響きの良いホールです。稼働率の高い人気のホールなのも、納得です。

リサイタルは2部制。前半は、須川さんと公私のパートナーのピアニスト・小柳美奈子さんとの共演もあり、トリオを組んでいるベースの井上陽介さんさんとの共演でした。

「あれ? トリオなのに、2人なの?」

詳しい方なら疑問に思われたことでしょう。実は、井上さんともう一人、ギタリストの渡辺香津美(わたなべかずみ)さんが参加されるはずでした。それが、渡辺さんは現在病気療養中とのことでご出演が叶わなかったのですね。渡辺さんにも興味が出ていたので、残念でしたが(回復を心より、お祈りいたしますm(__)m)。

さて。パートナーの小柳さんとの「ロンドンデリーの歌」から、コンサートは始まりました。これは、本来アイルランド民謡ですが、石川亮太さんがアレンジされた作品だそうです。

この曲の須川さんのサックスの一音を聴いた時、涙腺が緩んだのでした。暖かいけれど、もの悲しさも秘めた音色に、須川さん・小柳さんの世界への祈りを聴いたような、音楽を誰もが楽しめる世界になるようにとの祈りが込められている気がしたからです。優しいけれど、強さも含みこんだ芯のある音色。それは、聴く者の魂に深くしみとおって来る力を持っています。

小柳さんのピアノも、呼吸が合っていて須川さんを支えて居るだけではなく、ちゃんとご自分の思いをも表現してらっしゃるように私は聴きました。絶妙というしかありません。

この後、トルコの現代の作曲家・ファジル・サイの「組曲~アルト・サクソフォンとピアノのための」が演奏されたんですが。いやはや、その多彩さと言ったら!! トルコ風アイスを連想させるらせんのイメージで作品は始まったのですが、闇であったり夜の風景だったり、そうかと思えば、輝かしい光もあります。そのあまりの多彩さにくらくらしつつも、お二人の絶妙な演奏に、酔いしれたのでした。

この後が、ベースの井上陽介さんとのセッション。基本がジャズの性格の作品たちでしたが、これを聴いた時、「私が好きなジャズは、こういう演奏なんだ!」と確信したものでした。おしゃれでいるけれど、聴き手を選ばない寛容さと気さくさがあります。明るいし粋だし、聴いていて文句なく楽しいんです。身体が自然に反応して、ウキウキしてきます。井上さんと須川さんとの掛け合いや即興演奏もあって、楽譜はあるけれど、お二人とも観てませんでしたね。

ベース(コントラバス)の多様さは、別の演奏家から教わっていたのですが、井上さんのスタイルにも、私は一目ぼれでした。柔軟だし懐が深い。ベースの低音は大好きですが、いやはや、井上さんの音色は色気もあるし、素敵です。楽しそうでお茶目な要素もあって、私は何度も笑いを誘われたものでした。

前半のラストは、チック・コリアの「スペイン」。ここには小柳さんが加わったのですが、いやはやその演奏のすごいこと!!! ラジオでチック・コリア自身の演奏で聴いて、何時かライヴで聴いてみたいと思ったほど気にいった作品ですが(残念ながら、コリアは先年、亡くなってしまいましたが(>_<))、この3人での演奏の迫力たるや・・・・・!!!

呼吸が合っていて、お互いをわかっている者同士の、けれど、まったく遠慮容赦ない”果し合い”のようなエネルギーがほとばしっていましたねぇ。それでいて、聴く者はその演奏を心から楽しめるんですよね。圧倒的な演奏を楽しんだ後、休憩でしたが、全身がほてっていた私です。


予定では、最後まで書くつもりでしたが、時間の都合もあって前後編にします。

ここまでお読みくださったあなたに、心から感謝を捧げますm(__)m💕💛
ありがとうございますm(__)m💕💛

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