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酷暑の夜に、”清冽な音の風”に吹かれてきました

暑中お見舞い申し上げますm(__)m💕💛

一昨日の夜、つまり、7月31日の夜、千葉県千葉市にある、千葉銀行本店3F大ホールで、山下一史指揮の千葉交響楽団のコンサートを聴いてきました。

これは、昨年から始まったシリーズコンサートなんです。千葉県の経済界の有志が作った「千葉交響楽団を応援する会」が、県と共同主催する形で企画したものです。「千葉交響楽団 プレミアムコンサート」と銘打つだけあり、客席数も350席程度と極めて小規模。
昨年は8月4日に開催されたのでしたが、チケットは3日ほどで完売したそうです。山下さんがバロック音楽を指揮されるというので、聴きたかったのですが、都合がついたときにはすでに遅しでした。
今年は、運よく間に合いました。それでも、私が申し込んだ翌日には、”完売御礼”でしたから、本当にラッキーでしたね。

さて。今年のプログラムは、シューベルトの最後の交響曲「未完成」をオープニングに据え、前半のメインはレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲」。そうしてメインが、ベートーヴェンの第2番のシンフォニー。

個人的な感想を申し上げるなら、「この暑い時期に、このプログラムは重くないっすか? マエストロ・・・・・(>_<)」。

そうは思いつつ、山下さんの指揮を聴くのは、実に2か月半ぶりでしたし、酷暑の中、私に力を与えてくださる存在ですから、楽しみにしていました。

そうして! やはり、最愛のマエストロは、私の期待を裏切らなかったのですね。

オープニングのシューベルトは、冒頭から、”千葉響の低音”を存分に聴かせてくださいました。350席とこじんまりとしたホールながら、響きは相当いいんですね。地の底からずんずん身体に響き渡ってくる、チェロとコントラバス。いろんなオーケストラいますが、私は千葉響の弦楽セクションの低音の響きは、日本でもトップクラスだと思っています。私自身が好きだというのもあるのかもしれませんが、この響きに慣れてから、たいていのオーケストラで物足りなさを感じます。最愛のオーケストラ・仙台フィルハーモニー管弦楽団ですらそうなんです。

酷暑で疲れ切っている心身に、千葉響の低音は心地よく響いてきて、緊張も疲れもほぐれてゆきます。この「未完成」は文字通り、シューベルトが完成することがなかった作品で、2楽章しかありません。ただ、この2つの楽章がとても対照的なんです。
重低音から始まる第1楽章は、彼が敬愛してやまなかったベートーヴェンの影も感じられる要素がありますが、第2楽章は生き生きとしていて、生命力にあふれています。おそらく山下さんが解説でおっしゃっていた”シューベルトの歌心”も、そのあたりを指すのだろうと愚考したりしました。

前半のメインのレスピーギの作品は、割と有名で人気もあります。私自身詳しくないながら「たぶん、あれだろうな」と予想していたら、その通りでした。
美しく物悲し気に始まるものの、全体を通して優雅です。タイトルにもある通り、本来はリュートと言うギターの前身の古楽器が使われるのですが、今回はチェロがその役割を果たしていました(そういうヴァージョンも多いようです)。
この作品は、弦楽器セクションだけでの演奏です。しかも、チェロパート以外は、すべて”立奏”と言って、皆さん立って演奏されたんですね(コントラバスは、もともと立ってますが(^^;)。室内楽でそういうスタイルを観たこともあるのですが、指揮者もいるうえでのこの形は初めてでしたので、実に新鮮でした。
私は、今回チェロが代役を務めたリュートの部分の演奏を聴くと、常に雨音を連想します。ピッチカートと言って、指で演奏するので”ポンポンポン”という弾ける音に聴こえますが、それが静かな雨音のように聴こえてくるのです。昨今の激しい雨風に慣れているとはいえ、やはりしとしと優しく降る雨は、心を鎮め、落ち着かせてくれます。そうした優しさを、演奏から聴きとったのでした。

そうして、休憩後の、ベートーヴェン。

山下さんの指揮でのベートーヴェンは、結構聴くチャンスが多いのですが、今回の2番は初めてです(1番は、昨年のこのシリーズコンサートのメインでした)。私がプログラムから”重さ”を感じたのも、ベートーヴェンがあったからなんですが。

とんでもなかったです。こんなに若々しくて瑞々しい作品を、”あの”ベートーヴェンが書いていたなんて!!!!! シューベルトのような軽やかさこそありませんが、キラキラしていて、聴いていて実に楽しいのですね。

山下さんと千葉響の方々も、作品の演奏を心から楽しんでらっしゃるのが、表情からも明白ですし、なにより音の明るさだったり勢いの良さが際立っています。ベートーヴェンの代名詞のように言われる”苦悩”の影は、みじんもありません。内心あっけにとられつつも、気がついたら、演奏から爽やかで気持ちの良い、高原のような風と空気を受け取って、すっかり元気になっていたのでした。

今回はいつものコンサートマスターの神谷未穂さんではなく、山下さんには盟友でもある存在の森下幸路さんが、ゲスト出演されていました。森下さんは、山下さんがシェフをお務めの大阪交響楽団でもコンサートマスターを務めてらっしゃる方で、千葉響にもよくゲスト出演されています。この森下さんが、山下さんの意を汲んで、ほかの方々にも伝えてらっしゃるようで、本当に隅々まで意思疎通ができていた演奏だったように、私は聴きました。千葉響は、私が観る限り、山下さんとのコンビネーションもよくて、仲がいい集団のように感じられますが、それがさらにレヴェルアップした気もします。

このコンサートでは、山下さんが3回、お話をするという大変なサービスぶりでした。作品の解説はもちろんですが、アンコール曲のシベリウスの「アンダンテ・フェスティヴォ」の解釈までなさるのには、少なからず驚いたものです。
そうして。そのお話の中で、来年度で任期が切れる千葉響の音楽監督を、どうやらもう少し続ける意向があるような言葉を私は聴きました。私の聞き取りが正しいかどうかは、来年の今頃判明することでしょう。

ともあれ、2か月半ぶりのコンサートで、エネルギーを充填していただきました。山下&千葉響とは、また10月までお預けなのですが、本来山下一史ファンの私、千葉響を離れての山下さんを聴きにまいります。今度の日曜日が、それです。そのことについては、また来週レポートいたします。

酷暑が少し収まった気もしますが、高温は続いています。皆様、どうぞくれぐれもご自愛くださいませm(__)m💕💛

ここまでお付き合いくださったあなたに、心から感謝いたしますm(__)m💕💛

ありがとうございますm(__)m💕💛

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