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音楽聴きに、冬の小旅行。

昨日、千葉県の旭市にある、千葉県東総文化会館で、「東総フレッシュコンサート」を聴いて来ました。

千葉県の旭市は、12年前の東日本大震災で、津波の被害が出た街でもあります。以前から気になってはいたのですが、訪れる折がこれまでなかったのです。

実はこのホールで、過去に2回ほどベートーヴェンの「第九」のコンサートが企画されたことがあります。指揮が最愛のマエストロ・山下一史で、オーケストラは千葉交響楽団でしたから、勿論私はそのたびに参加しようとしてきました。

けれど、コロナ騒動のあおりを受けて、それらはすべて中止。その後、ここでの「第九」のコンサートの情報はありません。私の推測ですが、このホールでも、山下さんの指揮で、という要望があって、スケジュールの都合がつかないので、実現しないんじゃないかな、と考えたりしています。

地方でクラシックのコンサートを開催する際、やはり、集客は大事です。その際、”客が呼べる”演奏家を招きたいのは、当然のことでしょう。もちろん、札幌とか仙台とか名古屋とか、あるいは大阪、京都あたりですと、いくらか冒険も可能でしょうが(この辺りの都市には、すべてプロのオーケストラがいますのでね)、千葉の中心部からかなり離れた街では、そうもいかないでしょうね。

山下さんはヨーロッパでの修行を終えて、日本に戻られてから、ずっと地方のプロのオーケストラのシェフを歴任されています。それだけに、あちこちで彼を愛する場所があるらしいのですね。

岩手県に気仙地方というところがあるそうですが、ここでは数年に1回「第九」のコンサートを開催しているそうです。その際主催者からは、「指揮は、山下さんで!」という要望が必ず出るのだそうです。オーケストラは仙台フィルハーモニー管弦楽団です。

私が観る限り、千葉でもあちこちで「山下さんの指揮ならば!」という街があるようです。君津市がそうですし、八千代市などもそうらしいです。そして今回の旭市も、その一つなのでしょう。実際、私がチケットを申し込んだときは、ホールの方が「チケットなら、まだまだたくさん・・・」とおっしゃっていたのに、この日、8割は埋まっていましたから。

私の住む松戸市からは、電車を乗り継いで、片道ほぼ2時間。JR総武本線の銚子行きに乗って、終点の銚子駅の一つ手前が旭駅です。君津に毎年行きますので、JR内房線には何度も乗っていますが、総武本線に乗るのは初めてでした。

山下&千葉響のコンサートのために出かけるわけですが、初めての路線の電車に乗って、初めての街に行くって言うのは、いつもドキドキします。私はいわゆる”鉄”ではないのですが、やはり、こうした小旅行は楽しいですね。

この路線の街は、農業が産業として盛んな土地らしくて、稲刈りが済んだ田んぼを車窓から随分観ました。暖かい快晴の日和で、農作業している方々も眼にしました。のんびりした車窓の風景に、睡魔が襲ってきても良さそうなのですが、何故か眠れませんでした。ワクワクもしているけれど、知らない土地に一人でいることで、やはり緊張もしていたんでしょうね。

無事、電車の長旅を終えて、旭駅に到着。駅舎の外に出ると、何処かで観たような風景です。事前にいただいていたコンサートのチラシにある地図を頼りに、歩き始めました。駅から徒歩15分、と、ホールのHPにもチラシにも明記してあります。君津での苦い経験を思えば、迷ったとしても、充分間に合うはずの時間に到着していたので(開演が午後3時。駅に着いたのは12時40分過ぎ)、「大丈夫、大丈夫!」と自分に言い聞かせて、ね。

結果的に、予想以上に順調にたどり着けました。途中で迷ったのですが、近くにいた女性に道を尋ねたら、方向的に全然問題なかったことがわかって、大いに安堵したものです。しかもその方はとても親切な方で、私が建物を間違えそうになった時、後ろから、「そっちじゃなくて、左ですよ!」と教えてくださったんですね。途中まで進む方向が同じだったみたいです。

ホールの場所を確認した後、開場まで40分以上あったので、のどが渇いた私はコンビニでミルクティーをゲット。開場までどうしようかと思っていたら、ホールのロビーには入っていいというので、中に入って、椅子に座って本を読んでいました。なかなか優雅な待ち時間でした。

「あんた、肝心のコンサートはどうだったのよ?」

そんな声も聴こえてきそうです。コンサートの中身は、夏に千葉の中心部で行われる(!)「若い芽のαコンサート」という、千葉県にゆかりのある若い音楽家を応援する目的のコンサートに近かった。地元の有望な若い演奏家にオーケストラと共演するチャンスを提供する、という趣旨だったようですね。

マリンバ・声楽・ピアノ。それぞれの楽器の演奏家が、山下&千葉響と共演したのでした。マリンバの若い方の演奏が、表情豊かで面白かったですね。

ピアノは私も大好きなチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲 第1番」でした。ピアニストは實川風(じつかわかおる)さん。この方だけは、数年前ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」の演奏で聴いたことがあるんですが(もちろん、指揮は山下さん)、その時は物足りなかったのです。ですから、今回期待してなかったんですね。

ただ。彼のテクニックうんぬんより、ピアノの音がひどかった。久しぶりに聴くチャイコフスキーだったとしても、私が覚えているメロディではなかった音、妙な狂いを感じさせる音があちこちにありました。實川さんも苦戦しているように、私の眼には映りました。それでも、彼はこの大曲を弾き切りました。その真摯さに打たれたものです。

加えて、山下&千葉響のフォローが半端ではなかったですね。私はこのチャイコフスキーで、ピアノがオーケストラに負けている演奏を初めて聴きました。それでも、苦戦する若きピアニストをしっかり支えて居る姿に、改めて胸打たれたものでした(もっとも、終演後駅で偶然、コンサートマスターの神谷未穂さんをはじめとして、千葉響の楽団員の方々にお会いして、この点確認したのですが、彼女たちは”気づかなかった!”と言ってましたけれどね)。

今回の追っかけ旅行(?)は、コンサートが主目的ではあったのですが、結果として、旭市に行くことが大事だった、ということになりそうです。それでも、私は後悔はしてません。冬の気持ちよい日に、小旅行ができたのは幸せなことには違いないんですから。本も読めましたしね。

ただ、次があるかなぁ、と考えると・・・、それにはう~んかもしれません。まぁ、山下&千葉響ならば、やはり行くとは思うんですけれどね。

今週は気温が乱高下するとやら。皆様、くれぐれもご自愛くださいませm(__)m💕💛

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