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勝利と成功の条件について

 偶然にも私がどこかで使っているのと同じ名前ですが、米国の資産家・Ray Dalio氏の著作「Principles」を、最近仕事のため半分読んで……断念しました。
 600ページを超える超大作を本人が30分でまとめたアニメーション動画を見つけてしまったのです。よって、後半は動画を見て満足してしまったのでした。
 本書は、Dalio氏が一度投資で大失敗をしてから学んだことをまとめたもの。その概念や教訓は、とても当たり前なことが並べられているものの、私の別の体験も踏まえ、人は意外と本の通りに行動が起こせていないのだと気づきました。もし、興味があればご覧ください。

PRINCIPLES FOR SUCCESS IN 30 MINUTES IN 8 EPISODES(日本語字幕)
https://www.youtube.com/user/Bridgewater/featured

 彼は、失敗から学び、恐れず、再チャレンジし、資産家に戻るのですが、彼の学びの1つと、私の最近の出来事が奇妙にもリンクしていたのでお話します。(相変わらず、前置き長くてすみません)

該当する学びはこちら。

 成功には2つの大きな障壁がある。
 1つは己のエゴ、1つは自分では見えないところ(死角)
 それらを乗り越え補うためには、自らの失敗や弱いところや自分では
 見えないところを見て報告・指摘してくれる仲間が必要である。

動画6にあたる部分で、上記の日本語はざっくりと私がまとめたものであることをご理解ください。
 この章を読んでいたのが先週のバレンタインデー前後のことでした。読んでいるときは、「何を普通のことを」と思ったのですが、それが行動に起こせないのを感じたのは今週の前半、人狼ゲームに参加したときのことです。


ここで、人狼ゲームについて少し解説を。
ルールは、アプリやカード、地域独自のものなど古今東西様々ですが、共通して言えるのは、人間(市民/村民)の中に昼は人に化けて夜に人を襲う狼(人狼)が単・複数おり、昼の時間帯に話し合いで怪しい人間を追い出しましょうというものです。狼を全員追放できれば人間の勝利、狼と人間が同数になった場合は狼の勝利となります。もっと詳細に知りたい方はこちらをどうぞ。

舞台『人狼ザ・ライブプレイングシアター(人狼TLPT)』
http://7th-castle.com/jinrou/rule.php


 私は会社の先輩に誘われて、昨年の夏ごろから不定期に初心者の方が集まる会に参加しています。その会の主旨は「人狼ゲームを沢山の人に楽しんでもらい広めること」。そこには、主催者さんのお人柄と会の主旨に賛同されてか、人狼ゲーム界隈では名の知れた玄人プレーヤーさんも数人参加されています。私のような初心者プレーヤーを導きサポートしてくださるので、おかげでこちらも毎回とても楽しく遊べています。
 毎回15,6人集まる中で、今回が5回目の参加ということもあり、半分近くは一度プレイした方々でした。初めてお会いした残り半分の方々も、私が参加できなかった会に居た方もいれば、人狼経験者だけどこの会は初めてという方もいて、スーツの方もいればモデルのような方もいたりと、集まる人のバックグラウンドが様々なところも、このゲームと会の魅力だったりします。老若男女楽しめるゲームなんです。

本来は。

これが、今回は本当に面白くなくて(笑)
 結果からお伝えすると、私は途中から人間観察をはじめてしまい、人狼ゲームに集中できず村陣営(私はその時人間だったので味方)を最終局番まで追い込むピンチを招いてしまいました。その観察対象というのが、今回初めてお会いしたAさんという玄人プレーヤーです。
 この方、最近負け続きで今日は勝ちたい!と自己紹介で仰られていたんですが、ゲームがスタートするや否や、わりと強い言葉を周りに向けるので、ご本人の主張がなかなか頭に入ってこないのです。また、少ないなりに私が経験した人狼ゲームと普段の仕事で関わる方を見ていて、「絶対◯◯だから」「それは絶対におかしい」など「絶対」という言葉を前に出し過ぎる人は思考が浅いか論理的でないことが多く、人狼ゲームの場合だと、周りに相手にされなくなることが多いのです。そして、「絶対ってどうして言い切れるんですか?」という問いに、感覚論や「絶対は絶対」などと返すと、もう話は進みません。
ゲームもビジネスもそうですが、判断を多少なりとセンスや勘に頼ることはあります。言葉では説明できないけど、自分の中にある「何となく」が当たることは、私自身も度々経験しています。ただ、他人を説得する場合には、よっぽどの信頼関係でもない限り「なんとなく」では相手の心は動かせないのです。
 人狼ゲームというゲームの戦い方のポイントは、如何に自分の唱える説が正しく勝利への道筋だと、大勢に信じ込ませるかにあります。簡単に言ってしまえば、多数決ゲームです。人が語る真実であれ、人狼が語る嘘であれ、それがマジョリティ票を獲得できればゲームの勝者が決まります。
 
 では、Aさんはどうだったのでしょうか。まず、攻撃的な言葉の中に「絶対」という言葉が繰り返されました。そして、「絶対」と語られる推理の中に私の持っている情報と矛盾する点があり、「でもそれだと●●ですよね、どうして絶対と言えるんですか?」と問うと、「どう考えても絶対でしょ。むしろfunnyさんは何で分からないんですか?」と会話が進みませんでした。こうなると、私はAさんを信じられなくなります。さらにゲームは進み、他の方の意見も聞きながら消去法で可能性を潰していくと、Aさんは人間、Aさんと対抗するBさんは狼だという結論が私の中で出ました。ただ、私も本能なのか大人げないだけなのか、Aさんには賛同したくない!という気持ちが働いてしまい、上でお伝えしたピンチを招いたのです。

 こうも集中できないのでは他の参加者に迷惑だと思い、そのゲームをもって退散しましたが、帰り道にPrincipalsで読んだことを思い出したのです。今回の出来事はつまりこういうことだったのではないかと。


 エゴ:「絶対」という言葉、感覚
 死角:「どうして絶対と言えるのか?」の問いに答えられない部分
    →この問いをする人は、自分の死角が見えている可能性が高い



 あと、Ray Dalio氏は仲間が必要だと言いましたが、その時に一番厄介で面倒なのは「感情」なのでしょう。Aさんは、高圧的な態度で相手の「感情」を逆なでし、自分の話を聞いて貰えない状況を作ってしましました。私は、自分の「感情」をコントロールできず目的と真実を見失ってしまいました。人狼ゲームのように特に短く限られた時間の中では、論理的に話すのと同じくらいに、いかに双方の感情の支配権を取れるかで仲間の増やし方は変わり、勝敗に大きく影響するのです。
 恐らくこれは、普段の会社での出来事やビジネスでの判断でも同じことが言えるのではないでしょうか。勝利・成功を収めるためには仲間が必要、そのための仲間作りには引き込みたい相手にも自分に対しても、感情の制御が必要なのです。
 実は味方同士だったAさんと私ですが、お互い人狼に勝って自分に負けたゲームだったのでした。


 大学院に通う関係で、当分この会には参加できなくなりますが、最後は嫌な思いをしつつも、しっかり学んで終わることができました。相手を説得し、相手を引き込む力を付けるのに、人狼ゲームは意外といいトレーニングになります。会社で開催されるリーダー研修も、人狼ゲームを取り入れてみればいいのにな…なんて。


長文を最後まで読んでいただきありがとうございました。

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