【スペシャル代車 ADV150】
先日、CB1100を家で倒してしまいまして、ハンドルに歪みが出てしまいました。ハンドルバーの交換をホンダ夢店にお願いしたら、1週間の入院💦
まぁ、代車がでるというので我慢我慢。夢店とのお付き合いはCB1100に乗り始めてからなので、もう10年目。車検などの代車は、かならずリード125かディオ110とお手軽スクーターでした。今回もそう思っていたら!
なんと、ADV150が用意されていました! レンタルバイク「Honda Go」のお下がりのようです。150だから高速乗れるし(ETC装着済)、かっこいいバイクなのでちょっとテンションアップ! というわけでインプレがてら峠道を走ってみました。
【デザイン】
PCXにアドベンチャーテイストを持ち込んだ外装は、とてもカッコいいですね。特にフロント周りはエッジが効いていて迫力もある。よく見るとライト周辺とサイレンサーぐらいしかアドベンチャーらしさはありませんが、全体としてよくまとまってます。質感も高くて、スタイリッシュです。
【PCX150との違い】
ADVは人気のPCX150がベース。エンジン・フレームは同じで、外装と足回りを変更しています。本家PCXは160ccにモデルチェンジしましたが、ADVは変更なし。
ホンダにはX-ADVというモデルがあって、NCシリーズをベースにした750ccのスクータースタイルのアドベンチャー。DCT仕様のATで、前後ホイールにはスポークタイプを採用しています。150はそのコンセプトを踏襲したものですね。
エンジンは149ccSOHC水冷シングルで15ps。車体はリア回りに専用スイングアームとショーワ製ツインショック。シート高795mmと高めで、車重は134kgとそこそこ。PCX150からホイールベースで10mm、最低地上高が30mm、シート高31mmプラス。PCXより大きくなっている気がしますが、車重は+2kg。燃料タンクは-0.1Lと僅かに減少。タイヤサイズは共通ですが、ブロックパターン採用でディメンションと合わせてオフロード志向にしています。
【エンジン】
代車で乗ったことがあるリード125がPCXと共通のエンジンでしたが、やはりパワーはそれなりで(11ps)、街中はともかく通勤ルートにある4車線の幹線道路では物足りないものでした。+25ccの差はどうだろうと走り出すと、なかなかどうして、良い加速。もちろんそれなりにアクセルは捻りますが、スムーズに速度を上げて流れをリードできます。
無理している感じがないのがいいですね。上り坂でもしっかりしています。この余裕があるエンジンフィールは疲れにくくていい。横浜市青葉区から秦野市まで国道246を走りましたが、とても楽チンでした。
普段リッターバイクに乗っていますが、さほど不満に思わない良いエンジンです。
【シャシー】
足元がフラットなタイプではなく、高いセンタートンネルをフレームが通ります。このフレームが高剛性でなかなかのもの。速度を上げてもヨレがなく、ビシッとしてます。ギャップにも強いし、ブレーキングでも挙動が落ち着いている。サスがよく動いて乗り心地がいいのは、フレーム効果が大きいように思います。
リアサスはショーワのリザーバタンク付きツインショック。ストロークが長く、動きもいいので乗り心地が抜群。これは凄いと思いました。PCXは乗ったことがないので比較できませんが、このストローク感は秀逸で、腰のあるシートともに通勤ユースでも相当に満足できます。
ブレーキは前後ディスク。ウェーブタイプのローターです。これも優秀で、しっかりしたストッピングパワーとコントロール性が両立されています。
【乗車感】
高めの幅広シート、足元は広いステップボードですから、足付きはCB1100以下です。CBだと両足かかとが少し浮く程度ですが、ADVは両足拇指球がやっと。軽いので不安はありませんが、気軽さに欠けます。
また、センタートンネルのせいで、スクーター特有の「ママチャリ乗り」ができず、後ろに足を跳ね上げてまたがることになります。シートが高いので、意外と乗り込みにくいですね。
乗り込んで走り出すとアイポイントが高くて快適です。倒し込みもしやすいし、足付きとトレードオフということです。
オフロード車のようなバーハンドルは乗りやすくていいですね。しかし液晶メーターは小さくて見づらい。スピード表示はいいのですが、時計や燃費、距離など細かい情報の字が細かいのです。その上には可動式のスクリーンが備わります。元の位置が低くサイズも小さいので、一番高くしても大した防風効果は期待できません。
センタートンネルが邪魔な足元ですが、前後には余裕があるので、状況に合わせて乗車姿勢を変えられるのはいいところ。特に前に出せるのはリラックスできていいです。
【走り】
一般道では十分な加速と優秀なシャシーによる落ち着いた乗り味で、市街地・郊外道路・バイパスいずれも文句なし。いろいろな速度域で走ってみましたが、60km/h弱で流れに乗るのがエンジンにもシャシーにも余裕があって気持ちいいです。
高速道路はひと区間ほど乗ってみましたが、さすがに100km/hあたりは怖いですね。パワーも頭打ち。90km/hぐらいの巡航なら車体もビシッと収まって問題ないです。ただ余裕がない感じがして、あまり好きではありません。普段、CB1100で高トルクをいかして余裕ぶっこいてクルージングしているので、その感覚では当然厳しい評価になります。横浜青葉~厚木くらいなら、ATということもあって246のほうがいいと思いました。CBなら迷わず高速ですけど。
ワインディングは、ヤビツ峠を秦野側から越えてみました。狭隘でペースが遅い山道ですから、上りでも十分なパワーで、さほど不満はありません。タイトなコーナーもひょいひょい、ここでも高剛性シャーシが効いていて、荒れ気味の舗装のギャップや雨上がりで水が出たり砂が浮いていたりしても不安がありません。フロントタイヤが14インチと大きめなのと、リアも130と広めなのも効果的ですね。ヤビツのような「酷道」タイプのタイトな山道なら、間違いなくCBより安心ですし、速いかも。伊豆スカのようなペースの道だと物足りないでしょうが。ただ私自身がスクーターで峠というのが初めてで、倒し込むタイミングや体重移動などの感覚がフィットせず、そこは不安でした。
見た目はアドベンチャーらしくしていますが、キャストホイールから分かる通り、オンロードバイクです。ただ、ダートまでいかなくても荒れた路面には強いので、クロスオーバーと捉えるべきものでしょう。
【燃費】
特に燃費は意識せず150kmほど走って、燃費計表示が49km/Lほど。車重を考えれば優秀ですね。自宅周辺はアップダウンが多いので、44km/L前後になります。郊外道路のペースがよく伸びました。逆に高速は余裕のない回転域に入るので、それよりもやや悪化します。8Lのタンクですから、300km以上は余裕ということになります。
【ユーティリティ・装備】
原付きスクーターのような利便性はありませんが、やはり便利です。まずスマートキーが採用されていて、アクセスが容易なのがいいですね。スマートキーは一般のバイクにもどんどん採用してほしいです。
シート下ボックスはエンジンサイズを考えたら大きめですが、ちょっと幅が狭いかな? ヘルメットが入るような形状にしてありますが、頭の大きい私のXLサイズではジェットタイプすら入りません。
ハンドル左下には小型の収納ボックス。形状が悪く、あまり物が入りませんが、アクセサリソケットがあるので、スマホの充電くらいなら。
ヘッドライトはLEDで精悍なデザインがかっこいいです。明るさについては夜に乗っていないのでわかりません。
利便性の面で注意すべきは、150ccは軽2輪ですから街中の駐輪場に大きな制約があることです。原付二種までは駐輪場が豊富にありますが、それ以上のサイズだとかなり数が少なくなります。大型バイクなら諦めもつきますが、ほぼ原付二種サイズなのに駐車できないのはストレスかもしれません。
【まとめ・私だったら買うのか】
ここまでベタ褒めしていますが、結論として、私は欲しいと思うのか?
答えはNo! いや、ただなら貰うけども…。いや、スクーターとしての満足度は利便性含めて高いですよ。使い勝手や動力性能、品質の高さ、素晴らしいです。通勤用にスクーター欲しいと思っていたら、アリです。原付二種の枠を超えたことで余裕のあるパワーと、高速道路を利用できるということを考えると、タウンユースメインで、たまにちょっと遠くへ遊びに行きたいという使い方に最高です。
ただバイクとして考えると、やはりATのスクーターとマニュアルミッションのスタンダードなバイクには大きな違いがあるのです。これは優劣ではありません。個人的な感覚の問題です。
バイクはライフスタイル商品です。利便性とは別のところで評価されるものです。乗っていて楽しいかという点でいうと、跨って全身の感覚を使いながら運転し、かつクラッチとギアをガチャガチャ操作するのは、とても刺激的です。私程度の腕ではスムーズにいかないことも多いけど、それもまた楽しいし、たまにブレーキングからコーナー立ち上がりまできれいに決まると凄く気持ちいい。私はそこに大きな価値をおいているので、どんなに優秀でもADVには食指が動かないのです。CB1100だと、さらに脳を蕩かすエンジンフィールが加わりますから、10km程度の通勤であっても、断然バイクの方がいい。
繰り返しますがバイクとスクーターの優劣ではありません。別次元で評価するべきものですから。スクーターも楽しいよ、好きだよ、という方には安心して勧められるバイクだと思います。
リードやディオは正直楽しくもなく、利便性に特化した乗り物として割り切って利用しました。シャシー性能もギリ許容といったレベルでどうしてもCBと比べて不安が大きくなってしまいます。その点、ADVは乗って楽しいし、動力性能も問題ないものでした。だからこそ、バイクとの本質的違いに意識が向いてしまったように思います。
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