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【えーすり*考察】卯木千景が背負うモノについて少し考えてみた

こんにちは、あるいははじめまして。
活字が好きな鳥類こと、ぺんぎんでございます。

活字好きは活字好きなんですが、マンガやゲームも同じくらい好きなので、口上を変えた方が良いかもと思う今日この頃です。

はてさて、今日のトピックはこちら
イケメン役者育成ゲーム『A3!春組のおじいちゃん、卯木千景について考えていこうと思います!
特に、彼の背負うものについて、ですね。

千景さんには、あーんな秘密やこーんな秘密があります。
そして、正直なところ、千景さんは本編で解決(?)できてなくね(?)っていうところが、いくつかある気がしています。
(ぺんぎんがガチャ運なさすぎて引けてないだけか? もしかして、今年も月末まで焦らしてくれた推しのおかげで引けなかったBDカードのバクステとかで話してたりします?! 欲しいんだよ!? でも4月って鬼畜すぎません!4月だけお誕生日3人ってなーに!?)

というわけで(?)、そんな感じでやっていきます!
前提にも至ってないこの時点で、ぐだぐだです。
この先に関してはお察しください(読者任せスタイル)(だいたい括弧内を読まなければ、オタクテンションは読まなくて済みます

本記事には、ACT2以降のメインストーリー及びイベントストーリーのネタバレが含まれます。未読のお方はご注意ください。
また、若干ですが宗教的内容を含みますので、アレルギーのある方はブラウザバックをおすすめします。

なお本記事は、ただのえーすりオタクの戯言を書き散らした雑記となります。

言ってしまえば、エンタメです。
そのあたりをご理解いただけた方のみ、お進みください。

A3!とは(布教タイム含む)

リベル・エンタテインメントが提供する、イケメン役者を育成するソシャゲです。(とはいっても、あの子たちは勝手に育つ

東京郊外の街、天鵞絨(ビロード)町。
この町には『ピロード・ウェイ』と呼ばれる通りがあり、多くの劇団が拠点にする劇団員の聖地となっている。

突然届いた一通の手紙を頼りにこの地に降り立ったあなた。
元舞台役者のあなたが出会ったのは――……

借金まみれ!
お客ゼロ!
劇団員たった1名!

かつての栄光を失ったボロ劇団!
ひょんなことからその劇団を立て直すことになったあなたは、劇団の主宰兼『総監督』を任されることになって──……?
アプリゲーム『A3!』公式HP(2022年8月15日閲覧)より

ボロ劇団ことMANKAIカンパニーは、プレイヤー=監督の父親が友人と立ち上げた劇団。
MANKAIカンパニーは春夏秋冬を冠する4つのユニットで構成されています。ACT1時点では各5人ずつが所属していますが、借金を返済し終え、金銭的に余裕ができてからは、各6人ずつ(ひとりずつ増えた)が所属するようになります。
6×4=24人(ここにさらに、劇団員の家族や友人、裏方の人なども加わる)もキャラクターがいるので、絶対に推しができます!

というわけで、
プレイしたことない方は是非、ダウンロードしてみてください!

(ここからは布教タイム)

また、ノベライズ化、コミカライズ化、2.5次元舞台化、アニメ化もしています。
ゲームは面倒でできないという方でも、他の媒体から始められますよ!
(コミカライズだけ、一迅社HPでうまく見つけられませんでした)



はい、本編はここからです↓

卯木千景とは?

なんとか1000万円の借金を返済したMANKAIカンパニーに、追加で入団した劇団員のひとり。
なので、ルーキーズのひとりですね。
会社の後輩である、茅ヶ崎至のお誘いで入団し、春組所属となります。
寮の部屋は、至さんと同室の103号室。
ちなみに至さんも千景さんも夜が遅いタイプの人間。
この部屋ってきっと、不夜城ならぬ不夜室ですよね。

ではまず、基本情報から確認していきましょう!

基本データ(ACT2時点)

年齢:26歳
身長:183cm
誕生日:4月15日
血液型:A型
職業:一流商社マン
モチーフフラワー:すずらん
趣味:スパイス作り
CV:羽多野渉
アプリゲーム『A3!』公式HP(2022年8月14日閲覧)より

『A3!』はサザエさん方式ではないので、メインストーリーが進めば、時間も進みます。なので、ACT3になると千景さんもひとつ年をとって、27歳になりますね。
ACT4の制作も決定しているので、今から楽しみです!

はい。
ここまでが表の設定。
メインストーリー第5幕「めざめる月」で、プレイヤーである監督さんを軟禁してから、彼の裏の顔が見えてきます。

「……あいつはかつて、俺と同じ組織に所属していた。」
「それなのに、あいつは組織を裏切り、今ここで一般人としてのうのうと暮らしている。俺はそれが許せない。」
「俺は、あいつに復讐するためだけに、MANKAIカンパニーに入ったんだ。」
「あいつのせいで、俺は……唯一無二の家族を失った。」
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第20話「出られない部屋」より千景の台詞を引用
なお途中のプレイヤー=監督の台詞の省略はぺんぎんによる

それは、千景さんがとある組織のエージェントであるということ。
記憶喪失になっていたところを劇団に拾われた御影密も、かつて千景さんと同じ組織に所属していたことがわかります。
そしてなんらかの理由から、当初のふたりは決裂しています。千景さんははっきりと、密さんの復讐のために入団したと言っています。

この記事でストーリーを追うつもりはないので、簡単にさらりと書いてしまいます。
千景さんが密さんを恨むようになったのは、ふたりの大切な家族であった、オーガストという人の死にありました。
とある人物に嵌められ、エージェントとして任務中であった密さんとオーガストは危機的な状況に陥り、オーガストは帰らぬ人に。
密さんはオーガストが自死薬と称して渡していた、記憶を失う薬を飲んで、記憶喪失となってしまいます。
そのあと、千景さんはふたりを信じたかったけれども組織から問い詰められるうちに、密さんを恨むようになった……ということです。

このあたりの話は、イベントストーリーの第6回ミックス公演「Scarlet Mirror」で詳しく描かれています。(まあ、先に言ってしまえば黒幕っぽい人を捕らえられたわけです
未読の方は是非! 読んでください!

ちなみにぺんぎんはこのミックス公演(劇中劇)、めちゃくちゃ好きです。
もともとミステリーが好きで、シャーロックホームズも好きということが少なからず作用しているんですが、何よりもふたりで銃を向けあうシーン、最高じゃないですか!?
シャーロックとモリアーティが表裏一体っていうのが、好みど真ん中です。
密さんは女装もするし!(万里のVDカードのバクステでもしてた気がするなぁ)
それにキャスティングも良すぎる。月下組に兵頭兄弟って、何ですか、そのけしからんのは!?ってなりました。(公演曲、どっちもクオリティ高すぎてビビり散らかしました
しかもあのブラコン兄弟を対立させるんですよ!?
脚本の中での兄弟の立ち位置について、十座と九門それぞれから真逆のことを言われていた綴くんはちょっと気の毒でしたけどね。かわいいよ、推し。

そういえば、秋組旗揚げ公演『なんて素敵にピカレスク』のときのランスキーって、まんま十座ですよね。いくつか共通点はあると思うんですが(あげ始めたらキリがない)、特に、病気の弟を想うというあたりが!ね!
九門が調子悪いとき、十座はずっとランスキーのようにしていたんでしょうね……。
ACT1のとき、九門に会ったことなかっただろうに、なんでそんな脚本をかけたのか教えてください、皆木先生……。

話が逸れました。
本題は兵頭兄弟ではなく、千景さんです。

ともあれ、結局のところ、密さんが記憶を取り戻したことで千景さんは自身の間違いに気づき、劇団に謝罪に行きます。
そしてもう一度、春組のみんなと稽古をし、初日の舞台に立ってから劇団を去ろうとしたところで、我らが春組リーダー咲也にコイン勝負を仕掛けられて引き留められる……、という感じです。
その後、無事に千景さんは春組の6人目の団員として収まります。

でも、それでちゃんちゃん♪とは行っていないんじゃないかな~と思っています。
千景さんは、自身の素性のことも、過去のことも、秘密も、何も、話していないので

荷物を持ってもらった密と自分で抱えた千景

千景さんと密さんは、ほとんど真逆の性質を持っています。

千景さんは辛い物が好き(味覚がおかしいレベル)なのに対して、密さんはマシュマロをはじめとした甘い物好き
千景さんは人がいると寝られない(絶対起きるだろという状態で舞台で寝てたけど)のに対して、密さんはどこでも寝てしまってに「板の上では寝るな」と言われてしまうレベル。

とはいっても、過去をともにしているせいか、ふたりにはどことなく似ているところもあります。(「家族」だったわけですし)

これについては、ゲーム内でも言及があります。

九門「密さんと千景さんも似てると思うけど。
密「……どこが?」
千景「こいつと?」
九門「うまく言えないけど、そういうところとか!」
『A3!』公演イベントストーリー「第6回ミックス公演 Scarlet Mirror」第7話より引用
なお太字はぺんぎんによる
綴「2人とも甘党と辛党で正反対なのに、やっぱり似た者同士ですよね
『A3!』公演イベントストーリー「第6回ミックス公演 Scarlet Mirror」EPより引用
なお太字はぺんぎんによる
ここで「やっぱり」と発言する綴くんはさすが脚本家ですね


とはいいつつ、やはり真逆に書かれている部分がまだまだあります
それも重要な部分で。

それは選択

一般人として生きることを決めた密さんと、そんな彼のことを組織から隠しつつ、エージェントとして活動し続けていくことにした千景さん

劇団の活動をしてあんなに顔さらしているのに、密さんは大丈夫なのかな。一応、千景さんが身分をでっちあげるって言っていたけど

それだけではなく……

密さんは自らが過去に犯した罪を詳らかに語るとまではいかなくても告白し、そして冬組のみんなに、一緒に持ってもらうことを選択しました。

密「……眠れば、千景の居場所を思い出せるかもしれない。でも、許されないオレの罪まで思い出してしまうかもしれない。……それが、怖い。
「だから眠れなかったってことか。」
その罪は、どの程度の重さかな?
密「?」
東「五人で背負えば、ちょうどいいくらいかな。
一緒に引き受けるよ。だから、怖がらないで。
丞「こうなりゃ、一蓮托生だ。馬車馬になるのと、どっちが怖い?」
密「馬車馬はヤダ……。」
丞「だったら思い出せ。俺たちはそれがどんなものでも受け止める。
密「……ありがとう。」
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第22話「インソムニア」より冬組の台詞を引用
なお太字はぺんぎんによる
「……オレの家族、オーガストはここで亡くなったんだ。最期にオレを逃がしてくれた。」
「オレは子供の頃からずっとひとりぼっちで生きてきた。それを拾ってくれたのは、オーガストだった。」
生きていく術も『家族』の温もりも、全部オーガストが教えてくれた。
「誰よりも大切な家族だったのに、オレは守れなかった。「ありがとう」も「さよなら」も伝えられなかった。」
オーガストがオレに望んだのが、過去を捨てて新しい人生を生きること……。何にも縛られることなく、『御影密』として生きることができたら、みんなにもすべて話せると思った。」
「もう素性を隠したりする必要はないから。」
でも、どうしても『ディセンバー』でいた過去を捨てられなかった。そこに『家族』がいたから。オレにとって、『ディセンバー』でいた過去も『過去』との思い出も、全部つながっていて、捨てられない。忘れられない。
今、みんなが認めてくれるオレの芝居は、過去があったからで、『御影密』という名前をくれたのもオーガストだ。全部過去が今につながっていて、切り取ることなんてできなかった。
「オレは……過去を捨てずに過去も含めて『御影密』になる。
『A3!』公演イベントストーリー「新生冬組第6回公演 Risky Game」第8話より密さんの台詞を引用
なお太字はぺんぎんによる
密「これからちょっと出かけようと思ってて。」
誉「おや、用事があったのかい。」
密「すごく大事な用事。詳しくは言えないけど……。行ってくるって、伝えておきたくて。
東「そう……。」
密「過去への決着……パート2。」
丞「なんだそれ。パートいくつまであるんだ。」
ガイ「まだ続きそうだな。」
密「これで最後。絶対に帰ってくるから……これ、預かってて。」
誉「って、この前の限定マシュマロかね?」
密「大事に食べてたから、まだあと14個も残ってる。」
東「ふふ、数えてるんだ。」
密「アリスはつまみ食いしないで。」
誉「そんなことしないよ。キミではあるまいし。ともあれ、預かっておくよ。気を付けて行きたまえ。
東「ちゃんと帰ってくるんだよ。
丞「公演初日ももうすぐだしな。主演がいなきゃ始まらないだろう。」
ガイ「ダーツ大会も御影がいなければ勝てない。」
紬「みんな待ってるから。いってらっしゃい。
密「いってきます。
『A3!』公演イベントストーリー「第6回ミックス公演 Scarlet Mirror」第8話より引用
なお太字はぺんぎんによる

だからこそ、自身の過去に決着をつけに行く際、(ルーキーズのガイさんも含めた)冬組全員に「いってきます」と言ってから出かけます
(誉さんが最初に密くんに返答してくれるのが、めちゃくちゃ好き)
(紬さんの言葉が、本当に密くんのことを信頼しているんだなってわかるのが好き)

一方で千景さんは、自身の過去も、現在の「家族」を守ることも、その身で負うことを決めました
誰にも話していません。

咲也「どこに行くんですか?」
千景「ちょっと、姉の家にね。急にこのスーツケースを甥っ子に貸すことになったんだ。今日の夕方突然連絡が来て驚いたよ。今日のうちにに運ばないと、明日の便に間に合わないって――。」
咲也「ウソですよね。
千景「――。」
咲也「本当のこと、教えてください。」
千景「一番チョロいと思ってたら、肝心な時に見抜くんだな。
千景「俺はもうこの劇団にいる意味がない。だから去るだけだ。望み通り舞台には立ったし、もう十分だろう。それじゃ――。」
〔中略〕
千景「このまま続ければ、劇団全体の評価に傷がつく。迷惑をかけるだけだ。主演を交代した方がいい。稽古は他の組から代役をたててやってたんだろう? だったら、俺の代わりに舞台に立てるはずだ。」
咲也「公演のことだけじゃありません。わからないけど、今の千景さんを一人にしちゃいけない気がするんです。
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第28話「二分の一」より引用
なお太字はぺんぎんによる
千景「組織にはお前の存在を隠すつもりだ。全力でお前の自由な生活を守ってやる。オーガストが望んだように……。」
密「……。」
千景「この劇団の奴らにも、絶対に手出しはさせない。
密「……うん。」
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第34話「第二の人生」より引用
なお太字はぺんぎんによる
密「公演はどうするの。千景は劇団で役者として生きるって決めたはずだ。」
千景「そのために、危険は排除する。ここから先は俺の仕事で、役者・御影密は公演に集中しろ。」
密「千景だって役者だ。」
千景「俺は絶対に次は家族を守るって決めたんだ。
密「それはオレだって同じ。」
千景「俺とお前はもう立場が違う。」
密「違わない。」
千景「違うだろ。今のお前は、もう、”ディセンバー”じゃない。
『A3!』公演イベントストーリー「第6回ミックス公演 Scarlet Mirror」第4話より引用
なお太字はぺんぎんによる

ふたりの選択は、真逆ですよね。

印象になってしまいますが、全体的に千景さんの「選択」は自分の意思に依るものではなく、オーガストの願いだったり、劇団のためを思ってのことだったり、と「他」に依っているように思いますね。
あくまでイメージ。

こんな感じで、千景さんはまだ「エイプリル(組織のエージェント)であるから」という理由もあり、誰にも自身のことは言わず、「嘘だよ」なんて誤魔化しながら今に至っています。
(言っちゃったらだめだってわかってるけど、もう初代組とかも出てきたし、そろそろ荷物を下ろして良いよって誰か言ってあげてほしい)

結局、自分で全てを抱えてしまっているわけです。(ストーリー展開の都合上、プレイヤー=監督は知っていますが)
このあたり、千景さんが寮から出ていくときにわざわざスーツケースを持っていく描写が書かれている理由かな、と思います。(スーツケース=荷物)
彼はひとり、重荷を背負っているわけなので。

ここで何も持って行かずに部屋を出たら、至さんが「戻ってくる気なんてないくせに……」なんて思わないでしょう。
頭脳明晰な千景さんなら、持って行かない方が誤魔化せたのはわかっていたはずです。
(至さんがここで咲也に電話をかけるあたり、やっぱり咲也くんは「最初のひとり」で春組リーダーなんだなって思いますね)

というわけで(ここまでが前提)、このような「誰にも自身のことを打ち明けない」という選択をした千景さんは何を背負っていくのか、ということについて考えていきたいと思います。

ちなみにこの先、「そんなこと考えるか!?普通!?」っていう考察があると思います。ですが、いいですか?ぺんぎんはオタクです。オタクは正気じゃないことがほとんどです(ぺんぎんだけか?)
つまり、ここまでも、これからも正気の沙汰ではありません。
そのあたりもご承知の上、読み進めてくださいませ。

ちなみに前提時点で、6000字を超えています。ぜひ驚いてください。
こんなはずじゃなかった……。(当初は全部で5000字くらいの予定だった)

1st キャラソン《ペテン師の憂鬱》から見る卯木千景

「どうせ考察していくなら、ストーリー外のことからやりたい!」と思いましたが、A3!ってノベルゲームなので、ほとんどストーリーなんですよね。
なにかないかな~と考えていたら、そういえばかなりの楽曲数が配信されていたことを思い出したので、キャラソンから考察することにします!

115曲か……。(2022年4月時点)
そろそろ、音ゲーでも配信されるんですかね?(テニプリってどうなんだろう。900曲とかちらっと見た気がするけど)
もう、音ゲー作れるレベルの曲数な気がするんだよなぁ……
そうしたらそうしたで、音ゲーも好きなので嬉しいですね。

閑話休題。

千景さんの1st キャラソンは《ペテン師の憂鬱》(2nd は《SEEDS》)
作詞作曲は大石昌良さん。神やなぁ……
『A3!』だと、《MANKAI☆開花宣言》や《春夏秋冬☆Blooming!》などなども作曲されてますね!
どっちも大好きです!あとあと、テレビアニメのOP曲も大好きです。
途中で鳴る、劇場のブザー音が「らしく」て最高じゃないですか!?

《ペテン師の憂鬱》に関しては、エグいくらい音があっちこっちへ跳躍する曲だな~って思った覚えがあります。
とはいえ、ブルライで観たとき(現地ではない)難なく歌いこなしていて、「さすがすぎる……」ってなりました。

2019年のブルライのセトリが誉さん→密さん→千景さんなのは、もう、「運営さんは監督たちのポイントを押さえてるな!?」ってなりました。
(2022年ブルライのセトリを忘れてしまったので、有識者の方、教えてください!!!!!!)
幕張公演も神戸公演も、どちらもこのセトリだったと思うので、ぜひ未視聴の方は撃ち抜かれてください!

歌詞の中に潜む「君」

まず注目するのは歌詞。
全歌詞を載せても良いんですが、ちょっと怖い存在がいるので、回避します。

このキャラソンの歌詞の中で繰り返し使われているのは、
・嘘
・騙す
・月
・君
あたりですね。

上3つの語は、嘘つきで、春組第4回公演『エメラルドのペテン師』にて主演を務めていて月下組のひとりである、千景さんだからこその語彙だろうなと思います

では「君」は?

となります。

そこで確認したいのは、「密か」という単語が組み込まれているということ。
ここでの「密か」は、変換ミスではありません!
形容動詞です。

とはいえ、もちろんこの「密か」は「御影密」にかけられているのは明らかです
つまり歌詞中で密の名前は明言している、ということになります。

このように考えてみると、千景さんが「君」と呼びかけるのは、ただひとりしかいません

オーガスト。
8月を冠する彼の人です。

ここで、ある1シーンを引用したいと思います。

千景「……大切だった。大事な大事な家族だった。俺たちの。
密「……うん。」
〔中略〕
千景「千秋楽の舞台の上で、オーガストと三人でいた頃のことを思い出した。あのとき、ようやく本当の意味であいつの死を受け入れることができた気がする。」
密「……。」
千景「……。」
千景「どうか……お節介で人の幸せばかり考える愛すべき俺たちのオーガストが、安らかな眠りにつけますように……。」
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第34話「第二の人生」より引用
なお太字はぺんぎんによる

拍子の変化が意味するもの

蛇足かもしれないんですが、この話に入るまえに、「拍子ってなんぞ?」という話からいたしましょう。(ご存知の方は飛ばして大丈夫です)

拍子というのは、曲のリズムの基本みたいなものです。
拍、というのは、固定した単位時間で打たれるもので、拍子はその集合体になります。2拍子は拍が2つ集まったもの、3拍子は拍が3つ集まったものです。
ちなみに4分の3拍子となった場合は、拍の単位時間が四分音符で、その四分音符が3つ集まってるよ~という表示になります。
……一応、わかりやすく説明できるように心がけたつもりですが、わかりにくかったらすみません。

細かいことは、こちらで読めます↓


はてさて、《ペテン師の憂鬱》は基本、4拍子でできています。
というか、ポップスはほぼ全部が4拍子です。(楽譜を見たら、2拍子みたいだったーみたいなものもありますが)

しかし途中で変化します。
千景さんがさまざまSOSを嘆いたあと、拍子が4拍子から3拍子になります
拍子が変わってから千景さんが何をするのと言えば、謎めいて、嘘を並べるんですね~(サビの最初)
ここでその詞を歌うのか~!
で、そのあとのラララで4拍子に戻る、という移り変わりを見せてくれます。
いや、綺麗な曲……
3拍子のところが、ワルツみたいなんですよね。おっしゃれ~!
自然と強起の音が長くなっているので、歌うだけでなく、ワルツを踊るにあたっても、ステップが踏みやすくなっているように聴こえます。
ブルライで今度歌うとき、踊ってくれないかなぁぁぁぁぁぁ!

ただ、ちょっと気になるところでもあります。
何かっていえば、3拍子です。
正直、三角くんのキャラソンだったら「わっかる~そうだよね! 3拍子になるよね~!」となるんですが(なんて言っても、「3」なので)、
千景さんの場合は「どうしてだろう?」っていう感想を持ちました。
ちなみに、三角くんのキャラソンは1st、2nd ともに、終始4拍子で作られています

というわけで、3拍子の意味を、音楽の面から考えていこうと思います。

実質的な意味からいえば、先述したように、「拍が3つ集まった状態」でしかありません。
しかし、オタクだけでなく人間というのは、何かの事象に意味を持ち込むものです。(この言い方していると、どこからか殴られそう)

3拍子というのは、その昔、完全なものとされていました。
というのは、3という数字は、キリスト教における三位一体の思想に繋がるからです。

ゆえに、昔の楽譜では3拍子は「〇」で示されていました。
「〇」は何も欠けていない、完全な図形だったからでしょう。
詳しいことを説明するのは正直面倒で、さらに昔の楽譜の画像を持ってくるのも面倒なので、ご興味がある方は下記のwebページを参照してください!(他人まかせスタイル)

ただ、聖フローラがミッション系であることを除き、『A3!』で宗教的な言及はされていません。
(あとは、2021年のクリスマスイベでの教会合唱団くらい?ぺんぎんがSRの綴くんと臣くんが引けなくて、延々とガチャを引いていたイベですね。そんでもって、SSR咲也くんが5枚くらい来た)

それは承知の上での考察です!

先ほど、《ペテン師の憂鬱》は4拍子→3拍子→4拍子で構成されていると書きました。
三拍子が「完全」でそれ以外が「不完全」だと考えると、つまり、このキャラソンは不完全→完全→不完全ということを示していると言い換えられます。

さらに言えば、3拍子から4拍子の戻るとき、「ラララ」と同じ音/声が鳴らされます。

これはベートーヴェンの《交響曲 第5番 ハ短調》 作品67――「運命」で知られる交響曲ですが、どことなく、この交響曲のチャチャチャチャーン♪を思い出させます。
真か偽かはわからないですが、これは「運命がドアを叩く音」として有名ですね。

ただ、これはこじつけ感が半端ないですし、妄想の域を出ません。
そういう可能性もあるかもしれませんが……!

では、キャラソン内での不完全や完全は何を意味しているのか?
このことについて考えるため、歌詞も併せて解釈してみたいと思います。

さきほど、歌詞の考察ところで密さんが登場していると書きました。
それから「君」=オーガストの存在も。
こういうゲームでは、「君」というのはプレイヤーを指すのが定石かもしれないんですが……)

結論から言うと、この千景さんのキャラソンは、全体を通して、「家族」のことを意味しているんじゃないか、思っています。

ある意味、ACT2における全体的なテーマは「家族」です。
夏組では、十座の弟である九門が入団。
秋組は、兄弟のように、親子のように左京さんと育った擬似家族の莇くんが入団。
冬組では、シトロンと家族ほどの関わりを持ったガイさんが入団。
そして、それぞれがなんらかの「家族」にまつわるエピソードを、メインストーリー中で語っています。

ここでもう一度、同じシーンを引用してみます。

千景「……大切だった。大事な大事な家族だった。俺たちの。
密「……うん。」
〔中略〕
千景「千秋楽の舞台の上で、オーガストと三人でいた頃のことを思い出した。あのとき、ようやく本当の意味であいつの死を受け入れることができた気がする。」
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第34話「第二の人生」より引用
なお太字はぺんぎんによる

(さっきよりちょっと短くしました。
別に、うつのが面倒になったからではないです)

ここまで読んでくださっている方々にとっては、書くまでもないことかもしれませんが、千景さんと密さんと「君」――つまりオーガスト――は「家族」でした。
それどころか、千景さんは「大事な大事な家族だった」と言っています。
念を押して、大事な、というほどの存在でした。

千景さんにとって、「家族」は大切なものです。もちろん、密さんにとっても。
彼らだけでなく、特に天涯孤独組からしたら、特別で、二度と失くしたくないものでしょう。
ただ天涯孤独組の中で、千景さんと密さんは、ずっと擬似家族の中にいました。
でもそれだって、擬似であって、偽物ではありません。

「たぶん、家族って血のつながりとかじゃなくて、心のつながりだと思う。
『A3!』公演イベントストーリー「第6回ミックス公演 Scarlet Mirror」第7話より十座の台詞を引用
なお太字はぺんぎんによる

というのは、『A3!』における「家族」というのは、十座が言うように、心のつながりだからです。

でもそれは、あの日に崩れてしまいます。
オーガストが死んだ日です。
そして、千景さんは自分でも思いがけない裏切りをしてしまったと嘆いています。

密「ずっと、独りにしてごめん。」
千景「……何を。」
密「……もしもオレがお前だったら、耐えられなかったと思う。……たった二人の家族を一気に失って、しかも悲しむことも許されずに憎まなくちゃいけなかったなんて……。」
千景「……――。」
千景「……俺は……どうすればいい。だった一人になった家族のお前を裏切ったのは、俺の方だった。
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第25話「あの日」より引用
なお太字はぺんぎんによる
「出張中にお前とあいつが任務中に死んだと聞かされた。しかも、お前が組織を裏切ったせいだと……。」
「最初は信じられなかった。組織から俺も尋問を受けて、お前たちの死を悼んで泣くこともできなかった。」
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第34話「第二の人生」よりエイプリルの台詞を引用

失ってしまった。
裏切ってしまった。

だから、千景さんの中での「家族」は不完全になってしまった。

そう考えられます。

結局、曲は4拍子のまま終わります。
まだ、千景さんにとっての新しい「家族」=春組/MANKAIカンパニーは完全ではないのかもしれません

いや、この言い方は悪いですね。

千景さんは、オーガストも密さんも、春組もMANKAIカンパニーもなにもかも、自分が裏切ってしまった、とひどく後悔しています。
慟哭しています。

なので、自分が春組と、MANKAIカンパニーと、「完全な」家族になりきれていないと思っているのかもしれません。

それはきっと、他でもない自分のせいで。

咲也「オレたちにできることはありませんか?オレたちじゃ、千景さんの助にはなりませんか?みんな、千景さんのことを心配していますカントクも、至さんも――。」
千景「なんでキミたちがそんな風に思う必要がある。」
咲也「だってオレたち、家族じゃないですか。
千景「――。」
千景「……キミたちの家族には、なれない。一度裏切った俺に、その資格はない。
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第28話「二分の一」より引用
なお太字はぺんぎんによる


音型の中にある罪

何故、千景さんがあんなにも真剣に「家族を守る」と言っているにもかかわらず、ぺんぎんは不完全だとほざくのか。

それは、千景さんがいまだに独りで、罪を背負っているからです。

千景さんと密さんは、幾度となく、「罪」という単語を使っています。
これは主に過去のことでしょう。
組織での仕事のこと。
オーガストを喪ってしまったこと。自分たちが大切なオーガストを守れなかったこと。

ただ、千景さんはそれだけではない気がします。

「でも、コインの約束は守ろう。これ以上、罪を重ねる気はない。」
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第28話「二分の一」より卯木千景の台詞を引用
なお太字はぺんぎんによる


千景さんにとっての「罪」は、監督を軟禁したこと、劇団を潰そうとしたこと、密さんに復讐しようとしたこと――つまり、劇団のみんなに顔向けできないこと、ということだと読み取れます。
そうじゃなければ、「コインの約束」を破ったことくらい(と言ってはなんですが)で、罪なんて重い言葉は使わないはずです。

だって、千景さんは(密さんも)、もっと法に触れるような罪を多分に犯しているはずですから。

「ああ、謝罪の気持ちだけは本当だ。ちょっと詳しくは言えない事情があってね。」
『A3!』メインストーリー第5章 めざめる月 第33話「乾杯!」より卯木千景の台詞を引用


これは春組第4回公演の打ち上げでの発言。
監督さんを攫ってしまったこと、そして自分が稽古から離脱してしまったことを謝罪してから、「なんでこんなことをしたのか」と左京さんに問われ、千景さんは嘘で返します。
(まあ、本当のことは話せないよね……)

千景さんに真実を告げる意思はありません。
自分ですべてを背負っていく覚悟でいます。

密さんは冬組のみんなに背負ってもらうことを選択しました。
でも、千景さんは独りで背負いこむのです。

何を?

罪を。
十字架を。

サビメロディーの一部
これなら、じゃすらっくに怒られないかな……


これは《ペテン師の憂鬱》のサビ部分のメロディー(一部)です。
一応、聴きなおして確認はしたんですけど、間違っていたらこそっと教えてください……(スライディング土下座)

こんなの出されてもなんぞ!? という感じかもしれないんですが、注目していただきたいのは、各段のふたつ目の小節に登場する音型です。

お絵描きスキル低すぎて汚くなってしまった

これは十字架音型と言われるものです。
(歌詞で言うと、「謎めく」「本当の」のところ)

音楽は聴くものです。
ですが、聴くだけではわかりづらく、メッセージを伝えにくいことがあります。
というわけで、非聴覚的な手段として、特にバロックの音楽などでは特定の音型が固有の意味を担っていました
十字架音型もそのひとつです。
バロック、十字架、と聞いて、ぴんと来た方はいると思います。
そうです。
この十字架が現すのは主に、キリストの十字架です。

キリストは弟子であったユダに銀貨30枚で売られ、磔にされ、無実の罪で処刑されます。
キリストはゴルゴタの丘を、十字架を背負って、引きずって、登りました。自分を打ち付けるための十字架を、です。

この十字架が、音で表されると、正確に言えば楽譜上で表されると上記のようになります。

千景さんのキャラソンには、この十字架音型が何度も現れます。
その数は13回。
これはとても無視できる回数ではないです。
いくら核となるサビのモチーフとはいえ、かなり多いので。
さらに言えば、13は忌数です。

キリストを裏切ったユダが最後の晩餐でついた席が、13番目であった――
12人の神が祝宴を催していた時に、招かれざる13人目の客としてロキが乱入して、ラグナロクが勃発してしまった――

13が忌み数とされる理由はさまざまですが、とりあえず、人々の中に「13=良くない数字」として刷り込まれているのは確かでしょう。

わざわざこの音型を、13回使うということに、不穏さを持たせようとした気がして仕方ありません。

そしてちょっとここで気にしたいのが、ミックス公演「Scarlet Mirror」で密さんが誉さんに預けたマシュマロの数

14個なんですよね。
つまり、密さんは忌数を抱えていません。もちろん、「今の」密さんという注釈はつきますが。

13と14。
たったの1の違いです。
ですが、たったいちの違いがひどく違う結果をもたらす場合があります。
たとえば、タロットカードでも見ていきましょう(それしか思いつかなかったとも言う)

13は「死神」のカード。
14は「節制」のカード。

タロットカードは正位置と逆位置で今がだいぶ変わりますが、とりあえず正位置で見てみると、
死神のカードが「強制終了、中止、破局、終焉、停止」
節制のカードは「循環、順調、調和、管理、淀みない」
になります。

明らかに節制のカードの方が良いですね。
(逆位置であれば、結果も反転します)


つまり、千景さんは十字架を背負っているのです。
しかも忌み数の13を掲げながら

それは自身の罪なのか、それともキリストのように無実の罪なのか、まだストーリーがすすんでいないので、はっきりとしたことはわかりません。

ですが、その十字架を下ろせたとき、千景さんはきちんと「完全な」家族になれるのかもしれないですね。

まとめ

卯木千景が何を背負っていくのか、について考えてきました。
一応、ここでの結論としては、「これまでの罪を、誰にも告白することなく、結局、十字架として背負っていく」ということにしたいと思います。

千景さんがいつか、春組やMANKAIカンパニーにその罪を告白して、その十字架を下ろせる日が来ることを、祈っています

ちなみにここまでで1万3000字を超えています。
当初の予定の倍以上書いているんですが、ぺんぎんは一体、何がしたいんでしょうか。

ちなみに本記事は綺麗にまとめようと思って、書き始めたわけではありません。
なので読みづらい点、論理の飛躍が見られる点などが多数あるかもしれません。今後、記事の改訂はしていくつもりですが、もしなにかありましたら、お知らせください。

厚かましいですが、コメントもお待ちしています!
ください!


以下からは番外編になります。
これまでの考察に直接関係あるわけではありませんが、ご興味があったら是非、読んでください。


キャラソンの音構成に見る「卯木千景」

さきほど提示した十字架音型ですが、それを構成する音がちょっと興味深かったので、見ていきたいなぁと思います。

縮尺間違えてでかくなった

この4つの音で構成されていました。
(調号じゃなくて臨時記号の方がわかりやすいので、ファにシャープをつけています)

このふたつの音は、それぞれ完全5度と呼ばれる距離が離れています。
5度というのは、音が5つ分離れているということ。完全というのは、その5度の中でもさらに、どれくらい音が離れているのかを表す指標みたいな感じです。

問題は、この完全5度というのが空虚5度とも呼ばれていることです。
ちなみにドとソが完全5度離れている音になるんですが、一緒に鳴らすと、「なんか響きが微妙?」ってなると思います。
それが空虚5度といわれる所以でございます。

真ん中がぽっかり空いていて、調という、音楽に大切な要素が見えないんです。
と、これは、この記事にとってはそこまで重要じゃないので、次に行きますね!

この空虚というもの、
卯木千景にぴったりなんです!

「卯木千景」という、オーガストがくれた名前に、というぴったりなんです。

卯木というのは、植物です。
卯という、白い花をつける木ですね。
ただ、この植物は中身が空洞なんです。これがどうにも空虚5度と、微妙に繋がっているような気がしています。

ちなみに、これこそ余談ですが、完全5度は、その昔、完璧な響きであるとされていました。
そのほかに完璧な響きとされていたのは、完全1度(というかこれに至っては同じ音)、完全4度完全8度(オクターヴ)です。
というのは、音楽は人のものではなく神のものであったからです。(聴くものとしての心地よさよりも、数比が重視されていました。)

そして、《ペテン師の憂鬱》の目立つ跳躍には、この完全4度、完全5度、完全8度がよく使われています。

特に意識されたわけではないかもしれないんですが、これから千景さんの過去が明らかになったとき、これが何かの伏線になったりするのかなと思っています。

あとがき

無事にこの記事は1万5千字を目前にしています。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

もしいつか、お会いできることがありましたら、そのときもあたたかい目で読んでいただけたらと思います。

今日、発表されたイベントでどうやら団内文芸部が繋がりそうだと気づいたので、頑張って(頑張れるかな)走りたいと思います……!!

P.S. イベント、頑張れませんでした。
(改稿:2022/11/19)

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