見出し画像

夕方ツバメ

夕方、チビコが「ママ遊ぼう!おい!ヒデヨシ!勝負だっ!」という。
「なあ〜んだよお〜!オレは負けね〜のよ〜!」と私は答える(笑)ドラネコのダミ声で。

ヒデヨシというのは漫画アタゴウルに登場するものすごいドラネコだ。私達はヒデヨシや友達のテンプラになりきる遊びが大好きで、チビコが2歳くらいの頃からやりまくっているのだ。

…なんて、実際はそんな書き方じゃ甘い。私達は正直言って「彼らとして暮らしてきた」って言ったほうがいいかもしれない。
チビコはオリジナルキャラクター、「フクニャン」で。私がヒデヨシとテンプラとタクマと唐揚げ丸さんとヒデマルをやる。一人5役!もしくはもっと。

そのごっこ遊びのまま、歯磨きもお風呂もガヤガヤやってきたし、庭で冒険もやり込んだが、なんといってもドライブが凄かった。神奈川から山形までの道中、ヒデヨシとフクニャンが私の帽子を奪い合って戦ったのだ。マジであの時は脳みそがショートしそうだった!!



山形のアタゴウル猫目時計😍


チビコが幼稚園に行くようになって、私が“彼らとして生きてる”時間は半分以下位に減った。それでも何年もの間、濃いジュースみたいに物語とお互いを混ぜて飲み合って生きてしまった、この匂いも養分も、私達から一生消えない気がしている。

二人が超おばあちゃんと若いおばあちゃんになって、一緒におまんじゅうを食べるような時でも、私はボケちゃっててもきっとフクニャンが大好きだろう。


チビコはきょうもナチュラルに「おい、ヒデヨシ!!」
と私の中のヒデヨシを呼ぶ。立派な5歳の漁師の子猫フクニャンとして。
私も立派なドラネコとして
「オレは今タコを泥棒に行くから忙しいんだヨ〜」と答え
「おい泥棒はやめろ。タコならやるぜ。」
とフクニャンは超クールに見えないタコを投げる。
「おまえすげえな〜!!ムシャムシャ。」
とヒデヨシがタコを食べていると
「ヒデヨシまたフクニャンにタコもらったのか?」
とテンプラ達が笑ってやって来る。


現実の他者達って、それぞれ勝手に話してくれるのでなんて楽なんだっ!と、他者の有り難みが骨身に沁みてわかった。そして、仲間でワイワイってやっぱり最高だな、って。
、、、この流れでわかるのもなんだけど。(笑)

ヒデヨシとテンプラ😍

朝チビコが
「夕方ツバメで結んで」
と言った。夕方ツバメ?

これか〜っ!

これでしょ〜?!って、夕焼け色のツバメヘアゴムで髪を結んだチビコはケラケラ喜んで、庭の大きい丸太の上へと走り、ツバメポーズで飛んだ。何度も。

バアバが顔を出し「そろそろバス来るよ〜、荷物取っておいで〜」と言った。その瞬間、渡辺直美がビヨンセになるように、チビの目付きが変わり
「おい。お前が行け。」
とスーパーとんでもない感じで私に言ったもんで、バアバが「お母さんになんて事を言うの〜〜っっっ!」って絶叫した(笑)

「違うよヒデヨシだよ!」
「いまの多分フクニャンです!」

と我々は口々に言った(笑)なにがなにやら。

この記事が参加している募集