MMTec,Inc.(MTC)
Fun.Do.Mental分析とは「応援者として楽しみつつ、投資活動を継続していくための、精神的安定をもたらす企業」分析という定義である。その内容は高校の教科書やSDGsなど独自の観点も含めた定性分析から始まり、独自の9マスの企業分析マトリクスによる定量分析を行う。この2つの観点から企業を分析し、企業の成長をより安心を持って楽しみながらリターンを獲得できる投資を目指す。
2019年1月上場の銘柄一覧と現在の状況まとめ
これらの企業のうち、2023年4月27日時点で上場し続けているのは、SXTC、MTC、MDJH、NFE。今回はそのうちMMTec,Inc.を取り上げる。
⭐︎は筆者の見解である。
定性分析
会社の概要
MMテックは中国のソフトウェア企業。中国の金融機関や証券市場向けに決算プラットフォームの開発を手がける。証券の登録・清算・取引、口座管理およびリスク管理などの証券取引関連サポートシステム、私募ファンド投資管理システム、タブレットユーザー向け証券取引アプリなどを提供する。本社所在地は北京。
⭐︎これはある投資サービスでMTCを検索したときに出てくる概要である。これはNasdaqにおけるMTCのページに記載されていることと一致している。ただ調べていくと、おそらく会社の業務内容が変化しているように感じた。そう考えた根拠としては、NasdaqのMTCのページに記載されている会社のウェブサイトが閉鎖されていて、ようやく見つけた会社の新しいHPであろうサイトに書かれている業務内容と異なっていたから。新しいHPであろうサイトは以下にURLを残しておく。
そして調べていくとHPに以下のような記載があった。以下はHPをGoogle翻訳したものである。
MMTEC, INC. (MTC) は、フルサービスの投資銀行および資産管理会社であり、2019 年に Nasdaq に上場しました。同社は主に投資銀行業務と資産管理業務に重点を置いており、顧客にワンストップでオールラウンドな金融サービスを提供しています。米国に上場している国内外の企業に対する伝統的なインキュベーションと投資に加えて、世界の機関投資家や個人投資家を引き付けて人民元建ての金融資産に投資するための HIFUND プラットフォームも立ち上げました。
⭐︎やはり企業としてのサービスが金融ソフトウェアの開発から投資銀行(Hai Securities)・資産運用管理(HIFUND)に変わっていた。
どんな商品・サービスで、どんな課題を解決している?
投資銀行(Hai Securities)
活躍する中小企業に焦点を当て、米国と香港へのIPO上場のためのワンストップソリューションを提供し、上場完了まで顧客をガイドする。
資産運用管理(HIFUND)
国内の証券および債券市場を外国投資に開放するという中国政府の公式スタンスに対応して業務がスタート。海外の機関投資家や個人投資家を中国市場に投資することを可能にする統合プラットフォームを提供している。
⭐︎中国国内に外資を呼び込むことを円滑にする役割を担っている企業であり、中国政府の意向に沿ったサービスである。言い換えれば、中国政府の方針が変われば大きく変わらざるを得ないというリスクは付きまとう?
高校の教科書とのつながり
地歴公民
地理探究の教科書の相対分布図の一つに中国における外資系企業投資額に関するものがある。MTCは投資銀行(Hai Securities)業務や資産運用管理(HIFUND)業務を通して、中国政府の「国内の証券および債券市場を外国投資に開放する」という姿勢に貢献しており、ひいてはこの分布図における外資系企業の投資額を増やすエンジン役を担っていると言える。
もっというと、中国政府「国内の証券および債券市場を外国投資に開放する」という姿勢は1978年から始まる改革開放政策によって外国からの投資を受け入れ始め、1993年には本格的に社会主義市場経済の導入されていることが起点になっている。中国政府は株式市場の外国人投資家と国内市場や中国国内の投資家を分離することにより、資本流出を抑制しながら外資流入をコントロールしてきた。具体的には外国人投資家が購入を制限されている「A株市場(人民元普通株)」と「B株市場(人民元特殊株)」の2つに分けているのだ。
そしてMTCは2015年に設立され、現在に至る。
どんな市場・セクターか+時価総額とチャート
セクターはFinancialであり、産業としては金融機関サービスとなる。時価総額は8300万$ほど。同業他社としてはモルガン・スタンレー(MS)やゴールドマンサックス(GS)であり、それぞれ時価総額は1400億$、1100億$となっていてその規模の違いが明確になっている。
⭐︎この規模の違いには上場してからの日の浅さもあるのだろうが、個人的には中国市場の世界への開放を謳っているが、やはり中国政府というカントリーリスクが意識されているのではないかと思う。株価も上場した時は4$でそこから40~100$あたりまで急騰。そこから約半年ほど株価が停滞し、その後約200$まで再急騰。しかしそこからは急速に株価が下落し、現在は1$ほどに落ち着いている。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)など
この企業のMMvであるのかどうかは定かではないが、HPの中で「中国と米国の市場アクセスを統合するための主要な金融機関としての地位を築く」という言葉が一番上部に掲げられていた。
⭐︎書かれている内容の性質上、これがこの企業のミッションに近しい性質を持っているのではないか、と思う。
創業者について
SXTCと同じく創業者についての調べがつかなかった。現在の会長兼CEOである人物が創業者なのか、HPに記載はなかった。ただ少なくともNasdaqのMTCのページにおいてCEOはジェン・ファンと記載があり、会社のHPの方はウェン・シャンドンとなっているので、経営陣がここ数年で変化していることが読み取れる。
⭐︎SXTCと同じであるが、この状況では、誰がどのようにMTCを引っ張っていきそうかと言うことを判断できない。今回も安心して投資するための根拠が得られなかった。やはりGoogle検索では中国を中心とした企業の情報を詳細に集めることは難しいのだろうか。
SDGsで考えると
⭐︎MTCは目標9の以下のターゲットに関係すると考える
9.3 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。
定量分析
⭐︎赤字であるため理論株価は算出できず、PERもマイナスになっている。売上高は急速に成長をしているものの、PSRを見ると株価が割高に大きく触れていることがわかる。また3つのCFを眺めてみても、企業の状態としてかなり佳境にあるということがわかる。
自分なりの結論
MTCは中小企業を上場に導く水先案内企業であり、中国政府の意向を強く反映した業務内容になっている。しかしそれはカントリーリスクと背中合わせである。またMVVも不明確であり、創業者についてもHPからは調べきれなかった。やはり安心材料に乏しい。
また数字上も安心材料がなく、CFを見るとかなり踏ん張りどころというように見える。また中小企業を上場に導くということで一見魅力的に見えるが、ハイリスクハイリターンであることを認識しないといけない。そして中国市場はすでにかなり発展してきたのにも関わらず、まだまだ利益が出ていない。また中国市場の成長自体も危ぶまれる、疑問視される部分がある以上、安心して投資ができるとは個人的には思えなかった。
※当記事執筆者は、掲載内容によって生じた損害に対する一切の責任を負いません。
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最終的な投資判断・決定は、ご自身の判断で。
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