【マッチレビュー】SoftBank CUP 2023 東京大会 8/19 日本 vs スロベニア GAME1


スターター

・日本

・スロベニア
6.PG アレクセイ・ニコリッチ
10.C マイク・トビー
15.SG ゴレゴル・フロバト
32.SG ビネ・プレプリッチ
77.SF ルカ・ドンチッチ 

試合展開とポイント

1Q

両チーム共にハーフコートマンツーマン。日本は富永、吉井の3pt、馬場のアタックで得点を積み上げる。

対するスロベニア。序盤のシュートタッチは今ひとつだったが、オフェンスリバウンドからセカンドチャンス、サードチャンスを得ると、積極的なリムアタックで優位に試合を進める。

日本はこの試合においても、オフェンスでの得点期待値の高いプレー選択は徹底。終盤にはエヴァンスの3ptも決まり、リードはされながらも21-26の5点差でスロベニアに食らいつく。

2Q

2Qも序盤も、お互いにハーフコートマンツーマンを敷いた両チーム。日本は河村が3ptを決めれば、スロベニアはファストブレークからディメッツ、ブラジッチのセカンドユニットが決め返し、主導権を渡さない。

スロベニアはオールコートマンツーマンで前線からプレスをかけ、日本のオフェンスで時間を使わせる狙いへ切り替える。一方の日本もハーフコートでは3-2ゾーンに切り替え、ウイングの位置をケアながらリバウンドを抑えに行きたい所であったが、ドンチッチのコーナースリーを中心にコートを広く使ったオフェンスでこれに対処。

クォーター中盤からはオールコートマンツーマンも仕掛けた日本。これが功を奏し一時は32-33の1点差まで迫る事に。しかしながらスロベニアは慌てずエースのドンチッチがダブルチームをかわしながらボールを運ぶと、ブラジッチが3ptを沈める。ハーフコートオフェンスでもトップオブザキーからグラスが打ち抜くなど、あっさりとリードを取り戻していく。

食らいつきたい日本。5outのオフェンスでスロベニアのディフェンスを広げると、馬場、ホーキンソンがインサイドの空いたスペースを代わる代わる攻め2ptずつ得点をもぎ取っていくものの、ディフェンスにおいてはドンチッチ起点のスピーディーなスロベニアのオフェンスに対し後手に回ることに。

終盤のランに成功したスロベニアが、36-50の14点リードで後半へ。

3Q

追い上げたい日本は、後半から2-2-1オールコートゾーンプレスを仕掛けていくものの、スロベニアは幅を取った3メンで落ち着いてボールを運ぶ。引き続きドンチッチを起点として、キックアウトとエクストラパスを次々と繰り出し、3ptとペイント内から効果的に攻め、日本のお株を奪うかのような得点期待値の高いオフェンスを展開する。

一方の日本は3ptの精度が上がらず、馬場、吉井、比江島らウイング陣のリムアタックで2ptずつ得点は積み上げるものの、ディフェンスにおいては上記のようなスロベニアの高速でのパス回しにに対処しきれず、点差は逆に広がる事になる。

攻守共にペースを取り戻せなかった日本に対し、終始主導権を握り続けたスロベニアはこのクォーターで14-27と圧倒。50-77の27点差で最終クォーターへ。

4Q

厳しい点差となりつつも、本戦に向けて最終クォーターでしっかりと修正をしたい日本。この試合でチーム最多の13得点を決めた馬場の3ptとダンクや、河村とホーキンソンのコンビプレーで外と中からオフェンスを展開していく。

しかしながらスロベニアのエースはその上を行く。冷静ながらも積極性を失わず、泥臭くファールをもぎ取りフリースローを沈めると、巧みなステップでペネトレイトから決めるなど、手を緩めることなく集中を継続。ドンチッチを起点としながらも、ニコリッチ、ドラギッチがこれに続き、スロベニアはさらに点差を広げていくことに。

残り4分の場面ではホーキンソンが自らの連続ブロックから、ファストブレークでダブルクラッチを決めるなど、格上相手にチャレンジし続けた日本。スロベニアも強化試合ながらドラギッチのステップイン、ブラジッチの3ptで最後まで貪欲にオフェンスを展開。ワールドカップ前最後の強化試合は68-103でスロベニアに軍配が上がった。

ボックススコア

総評、雑感

スロベニアが力の差を見せつけた試合。日本としては3ptの確率が21.7%(10/46)と頼みの長距離砲が沈黙したことは痛かったが、それ以上に103失点とディフェンスで苦しむこととなった。

日本としてはオールコートでのマンツーマン、ゾーンプレス、ハーフコートでの3-2ゾーンなど、これまで取り組んできたチームディフェンスの手札は出し切ったように見えたが、23得点を叩き出したドンチッチを筆頭に、スロベニアの個々の持つ高いオフェンス力がその上を行った印象。

個人的な感想を言うと、フランス戦に引き続き、ボールマンに対してヘルプには行けているが、展開された際のリカバーが間に合わない場面が多かったように感じた。ローカルなアジアでの試合では非常に良く効いていた印象のダブルチームも、仕掛けどころのタイミングの見極めと、突破された際のセーフティの対策は、強豪国相手のインテンシティが高い試合ではより一層高く求められるのではないだろうか。

2023ワールドカップ前の強化試合の日程は、これでひと段落。厳しい日程の中、中一日のスケジュールで続けて強化試合を戦って来たこともあり、選手たちの疲労も相当に蓄積しているはずだ。ここでしっかりとリカバリーに取り組み、8/25の本戦へ向けて納得の最終調整をして欲しいと思う。

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