PPVVシリーズの勝手に前提としている考察
ここまで書いておいて蘭具雪也についての解釈を書くの忘れてたよ〜!解釈というよりも解説を目指して書いたものだったので……
☆九泉はなぜ母親の幻を見るか(=なぜ植え付けられた偽物の記憶が「母親」なのか)
アポローンからの神託のを受け取る古代の巫女から名付けられたシビュラシステム。「彼女」がひとりの潜在犯の記憶を書き換え、あたらしい人物として産んだのが「九泉晴人」である。いや、「産んだ」が正しい表現かは分からないが、ともかくシビュラシステムは女性の要素を持つので父親ではなく母親になるのだ。
幻の母親が問いかける。「人間らしさとは、自分らしさとは」。シビュラは人工監視官育成計画を通して、ぐるぐる思考してもクリアなままな監視官を、シビュラを成長させてくれる常守朱の廉価版を手に入れたかったのではないか。なーんて思ってた時期もありましたが、PPVVは「朱様」扱いはしない、常守朱を蚊帳の外に置き続ける作品だから、思考データ収集&記憶にフォーカスしたメンタル治療の実用化実験と考えるのが無難かも。
母親の問いはシビュラからの「思考しろ」という九泉に課せられた役目の現れ。それ故「シビュラは本当に正しいの?」なんてきわどい質問も投げてくる。九泉は自分の正義の為に社会混乱を招いたりしないからね・・・・・・(遠い目)。本当にやばい時はシビュラがストップかけれるでしょ、誰かさんと違って。
まぁ、ざっくりいえば、「幻の母親=シビュラシステムが透けた存在」だろうということです。だから3で実の母親を殺したことになったこと、その時すでに「九泉晴人」という名前だったことが納得いっていないというか、安直~~~~!!の気持ち。「九泉晴人」ってシビュラによる記憶改竄後の人生を意味するメタ的な名前だからね・・・・・・。廃棄区画時代には成立しない名前・・・・・・・・・・・・。
☆PPVV監視官の「人工監視官育成計画」でのねらい
(計画の観察主体ではなかった斎記冬真を除く)
(神宮寺司)
神宮寺の監視官就任が人工監視官育成計画のきっかけになった・・・・・・は公演順的にかなりメタいが、”生まれた環境がどうであれ”健康かつ強固な精神の持ち主であれば監視官の職務を果たせることをシビュラに示した存在ではあるはず・・・・・・。正義感が強すぎてNNDの越権捜査に踏み込み、潜入先で色相悪化なので、元々ちゃんと監視官適正は持っていた。NNDでも釘谷と賽を従えるリーダーシップと光宗に報告する中間管理職感発揮してたから・・・・・・・・・・・・
嘉納火炉
人工監視官育成計画被験者その1。適切な能力がない者(執行官)に肩書き(監視官)を与えたら、能力を身につけるか、能力がある人と同じように行動できるかを観察するため。モロにスタンフォード監獄実験ですね。元々格闘術やってたから体は出来上がってるし、正義感というよりも義務感とプライドの高さで業務遂行力はありすぎるくらいだから執行官適正はある。ただ、壊滅的なくらいにリーダーシップがない。廃棄区画時代に、九泉と海堂は若者たちのリーダーだったし、神宮寺も廃棄区画の仲間を「同胞」認識してるけれど・・・・・・嘉納、大城以外の同世代(?)と交流していたのか?していないと思います。本来の嘉納火炉にはリーダーシップはなく、無印で発揮していたリーダーシップはおそらく神宮寺由来(後述)
九泉晴人
3のパンフの「人工監視官育成計画」の記述通りの、「本来であれば監視官適正がない平凡な人間に『優秀で』『品行方正で』『厳しい教育を受けたエリート』という虚偽の記憶を植え付けることで色相・犯罪係数はどうなるのかを検証する実験」の対象。ただ、3では元々強すぎる正義感の持ち主とされていたので、「平凡な人間」としてはカウントできないような気がする。無印ベースで2人の人工監視官育成計画被験者を比較すると、九泉は内側から発動したマニュアルによって「監視官」の行動をとる者、嘉納は外側からの賞賛や圧力によって「監視官」の行動をとる者・・・・・・かな。
海堂自我
ごめん、3パンフの人工監視官育成計画の説明は明らかに海堂だわ。嘉納は記憶の改竄はされてないからその説明に該当しないし、九泉も九泉で「植え付けられた記憶」自体は、エリートとして適切な環境で育てられたというよりは、能力をフルで使ってエリートの地位まで這い上がってきた設定だと思う(無印パンフ人物紹介の「複雑な環境で育ったが、シビュラシステムの適正審査のおかげで”監視官”という立派な仕事に就くことができた」)。かといって、海堂も元々凡人だったかと言われるとかなりう~~んな気持ち。九泉ベースの改良型・・・・・・いや、最終章で新型出されても意味わかんなくなるからな(メタ)。
私はてっきり嘉納が「おまえは監視官だ」と思いこまされるようになったこと(嘉納の監視官就任&犯罪係数の改竄)から人工監視官育成計画がスタートした、と思っているけれど、公式解釈は違う?九泉の偽の記憶からスタート扱い?
そもそも人工監視官育成計画の最終的なゴールとは?
「模造記憶で人格を形成することにより、犯罪係数や職業適正が変化するとすれば、それは画期的なメンタル治療となる!」
監視官適正を持つ人材を作って人員不足解消♪ではなく、精神的不調から人並みの生活を送ることができなくなった人々(一応潜在犯にカウントされる?)の治療の為の実験。PSYCHOーPASS世界では、現代よりも市民のストレス耐性が低くなった(世界恐慌から市民を守るためにシビュラがある意味過保護になりすぎた)ものの、それを対処するためのカウンセリングやセラピーも普及している(「メンタル美人」「ストレスダイエット」の流行もあるくらいなので、俗っぽい一面もあるのかもしれない)
既存のカウンセリング等々で改善が見られなかった場合の最終手段として、患者の「記憶」にアプローチする治療法の実験として、九泉と海堂の観察は行われていた(はず)。
じゃあ嘉納は?嘉納は記憶へのアプローチではなく、置かれた立場と提示される数値へのアプローチ(「具合悪いって思うから余計具合悪くなる」的な、「自分の犯罪係数が悪いことを認識することによってストレスがより高まる」無印の「こっちに銃むけんじゃねぇ!色相濁んだろ!」)だったので、これがシビュラの望んだ結果じゃなかったから、記憶方面に完全に計画をシフトさせた。嘉納が監視官になってすぐのNNDで脳味噌入れ替え実験してたから、記憶パターンも犯罪係数パターンも同時進行だったのかもしれないけれど(メタ)
☆色相と犯罪係数の測定(及び改竄)方法の違い
色相も犯罪係数も人間の脳波や脈拍等の生体反応を解析し、数値化している。本人の生体反応からその瞬間瞬間の精神状態の表層的な部分を視覚化したものが「色相」、「犯罪傾向」を数値化したものが「犯罪係数」である。色相はストレスチェックの目的で、民間で販売している体温計のような簡易スキャナーでも計測できるが、解析の演算処理負荷が(多分)高い&人のその後を左右する犯罪係数はシビュラシステム経由の定期測定やドミネーターでなければ計測できない。
官民問わず、スキャナーの種類が多岐に渡る色相においては、改竄するために弄ることができるのは、スキャナー側ではなく測定対象の人間のみとなる(手持ちの簡易スキャナーを改造して表示する数値をごまかしても、別のスキャナーで本当の数値がでてしまうため)。
犯罪係数においては、すべてのスキャナーがシビュラシステムを経由して数値を算出しているため、嘉納のようにシビュラ側で偽の数値(=解析結果)を出すこと(スキャナー側が誤魔化す)ことが可能である。また、アニメ無印のヘルメット暴動のように、他人の脳波や脈拍等の生体反応を自身の代わりに読み込ませることで、犯罪係数をコピーすることもできる。
まぁ、なにが言いたかったかというと2で斎記が確認した嘉納の「ライトグリーン」の色相は改竄されたものじゃないってことっすかね(??)シビュラ側で改竄しても、別の簡易スキャナーだと改竄された数値は出せないので・・・・・・どのくらいクリアカラーなのか相対的には分からないけれど・・・・・・(アニメ1話の大倉信夫が「フォレストグリーン」で高い攻撃性と強迫観念が予想されていた。色相のカテゴリ分けについてどの色がどんな性格とか書いてる資料あったっけ・・・・・・?手持ちのオフィプロ2には「幾つかの性格分類と対応する色が表示されています」とだけあるけれど・・・・・・)
☆NNDが行っていた実験とは
①「(潜在犯が)薬付けにされ、記憶の改竄なんて非人道的な実験を課せられている」
②「特別自治区なんて虚像だ。本当は脳味噌を入れ替えて別の人格を植え付けるためのイカれた工場」
投薬か外科手術か、手段ははっきりとしないものの、NNDが潜在犯を対象に記憶の換算実験を行い、データを収集していたことが分かる。この実験から派生したものが記憶の改竄による人工監視官育成計画だと思っているのですが・・・・・・。
3で出てきた「調整」は①のやり方に該当する。②はPSYCHOーPASSシリーズが脳味噌を記憶をはじめとしたアイデンティティを司るもののモチーフとして用いているからだと考える。アニメ本編で登場した、シビュラ構成員が動かす義体も、同じ「役割」を演じていても、内部の脳味噌の人格によって異なる癖が出る(禾生壌宗を演じる藤間幸三郎にはルービックキューブをはじめとした手弄りの癖が出るし、禾生壌宗を演じる東金美沙子にはマニキュアを塗ったり爪を見つめる癖が出る)。これは元から義体運用のために生まれた人物である「禾生壌宗」にアイデンティティはほぼなく、脳ユニットの生前(?)の人格がそのまま透けるため、と考える。
もし、人格を持った脳ユニットが入る先が、脳ユニット搭載前提で作られた意図的に空っぽの義体ではなく、脳ユニットと別のアイデンティティを持った人間の肉体だとしたら?(これが②)
☆5人の研究員を殺したのは「誰」だ?
もとい、PPVV2キービジュアル中央の人物は「誰」だ、です。5人の研究員を軍刀で殺害した人物。
これは、精神錯乱状態に陥った嘉納火炉の肉体に神宮寺司が憑依するようになった、人格が混ざってしまった、だと思っています。
実際に研究所にいた研究員は5人、嘉納が切りつけた研究員キャストは12人(数え間違ってたらごめんなさい)。研究員が口々に罵倒しているには異様に口数が多い音声。錯乱状態を外から見つめるのではなく、錯乱状態に陥っている嘉納と嘉納視点の幻覚幻聴を観客と共有する演出。
飛び散った神宮寺の血肉を浴びた嘉納(3と違って血糊使ってないからはっきりしてないけど、浴びてて欲しい)。その不安定な精神に神宮寺の精神が混ざり込んだ。だから意味を為さないドミネーターではなく、神宮寺の持っていた軍刀に操られるかのように研究員を斬殺していく(アニメ無印の槙島聖護のカミソリ、GENESIS八尋和爾の日本刀のように銃口と対峙するヴィラン側は刃物を用いる)。それでも右手のドミネーターは離さない、己を見失わないためか。
ここで、神宮寺と嘉納の人格が混ざったために、これ以降、嘉納の「監視官らしい」リーダーシップとして、神宮寺のリーダーシップが顔を出すようになったという解釈をしています
「しかし、嘉納の方は問題ないでしょうか」
ここで光宗が憂慮しているのは、研究員殺しの罪についてではなく、嘉納の精神錯乱についてではないか。処罰しなくていいのかではなくて、人工監視官育成計画の中でこれからも嘉納から有効なサンプルデータを収集できるかどうか。
嘉納の「気が狂った元監視官の凶行により多大な犠牲(一般市民である研究員)を出してしまいました、そしてこちら側(監視官&執行官の殉職)にも」の台詞は、取り繕っているというよりも、嘉納自身が本当にそう認識しているのだと思う。研究員の遺族への報告も事件の記録も、元監視官ということを伏せて、「神宮寺が殺した」になっているはず。その直後に怒りで握られた拳は、禾生の「被害は”最小限で”くい止められたと言っていいだろう」に対するものであって・・・・・・(そもそも強行捜査に踏み切らなければ、人体実験は続いてもみんな死ななかったじゃん!はナシ!シビュラが全力で止めに入っても嘉納のプライドが勝ったので・・・・・・)。
「なに、これもシナリオの一部だ。予想の範囲内で良い働きをしてくれるだろう」
「しかし、今回の件でやはり監視官の慢性的不足が憂慮を生むということがはっきりした。そこで三係には予定していた執行官に加え、急遽新たな監視官を配属することが決まった。」
嘉納にまだ利用価値があるとしても、NND事件よりも価値は下がっているから、新たな人工監視官である九泉を「急遽」投入したのか。それとも立場や年齢が近い監視官二名体制の方が互いを牽制することで、強行捜査のような「やらかし」を阻止できるからなのか。
↑駄文を竜巻鮮風パワーで誤魔化す
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