XANAビルダーはもっと良くなるはず
はじめに
まず、断っておきたいのは、これは、私(と相方)の個人的な考えであって、決して他のXANAビルダー職人の方々の意見を聞いたり、まとめたりした訳では無い。
なので、当然異なる考えもあると思うし、これはあくまで、ビルダーを触っている一ザナリアンのレポートとして読んでほしい。
個人的には、一人のビルダー職人の思考をかなり忠実に言語化できたと思うので、かなり長くなるが、ちょっとした読み物として楽しんで頂けるのではないかと思う。
全部読むのは大変かもしれないけど、今はAIがあるので、読んでる暇ない~という方はサクッとAIにまとめてもらえばいいはず?
(忙しい人のために、別途ダイジェスト版でも作るかな)
今のXANAビルダーはストレスフル?
今(2023年7月3日現在)のXANAビルダーはお世辞にも使いやすいとは言えない。いや、むしろ使いにくいと言ってもいいかもしれない。
先週末、相方とワイン飲みながら、なぜか、この話になり、意外と面白い案が出てきたので、これはフィードバックした方がいいなと思い、メモを取っておいた内容を基に、ちょっと考えを書いていこうと思う。
相方は、マインクラフトが大好きで、色んなワールドを作っているのだが、その延長で、XANAビルダーも触ってもらい、過去に色々なワールド作成を手伝ってもらった。
イケハヤさんとXANAのコラボ企画、CryptoNinja ワールドチャレンジでも、応募作品「無限屋敷」が、最終16作品に選出され、光栄なことに、イケハヤさん所有のワールドに載せて頂いている(のか?)。
ただ、そんな相方によると、マインクラフトは作ってて楽しいのだが、XANAビルダーでは作るのにストレスを感じるらしい。
「ビルダーがアップデートされて、こんなことができるようになったみたいだよ」とか言っても何故かいつも開いているのはマインクラフトである。何故だと聞いても「だってマインクラフトのほうが楽しいから。。」としか返ってこない。
でもそれは一体何故なのか。具体的に言葉にするとどういうことなのか。ストレスがあるというなら何がストレスなのか。
それは・・・
ここからは有料になります。(うそ)
まず一言で言うと?
マインクラフトでも、XANAビルダーでも、始める前にまず作る物のイメージをあたためる。こういう世界観で、明るい/ふわっとした/こわい/しゃきっとしたイメージで、こいういう色合いと素材がメインで、とかいうふうに。そしてある程度、ベースとして使う素材の候補を決めてから始める。
マインクラフトでこれをやると、出来ないこともあるけれど、だいたい最初の予定通り進めていくことが出来る。作りが単純なだけに、細かい調整は出来ないが、スピード感を持って大枠のものを作ることがかなりの確率で出来る。
一方、XANAビルダーでは、かなり初期の段階で頓挫してしまうことが多い。そして、その段階を乗り越えてかなり頑張ったとしても、相当な時間がかかってしまうことになる。それがわかるので、やり遂げようと言うモチベーションをかき集めるのが大変なのである。
もちろん、マインクラフトとXANAビルダーを単純に比較することに意味はないのかもしれない。ユーザーが使う目的も、提供者が用意している機能の目的も違う。ただ、突き詰めて見れば、何かヒントとなる事もあるかもしれない。
たくさんあるのに素材が足りない
XANAビルダーで、例えばレンガ造りの家を作ろうと素材を探してみると、壁、柱、入口のようなもの、はあるが、床、階段、屋根、がない。じゃあコンクリートのような家にするかと探してみるとこれも、壁(何故か三角)だけで、床、階段、屋根、ドアがない。じゃあ木の家は、これは忍者カテゴリに結構あるけど、階段はない。
つまり、ないものを他の何かでなんとか補わないと統一感のある家一つ完成させることが出来ない。簡単な忍者屋敷を作った時は、一つの家に少なくとも1時間はかかったという感じだ。
他の色や素材で出来た、ドア、床、装飾、などはたくさんあるが、それらはオプションでしかない。まずはレンガならレンガ、木なら木、で一つの家を作れるべきで、それが出来て始めて、このドアをこう変えようとか、この装飾を足そうとか、といった余裕が出来る。
一方マインクラフトでは、ほぼ全ての木の素材で、壁、柱、床、階段、屋根、柵、ができる。ほぼすべての石の素材で、壁、柱、床、階段、屋根、柵ができる。そしてその組み合わせで大抵のことが出来てしまう。基本的な家を一つ作り上げるという作業は数分もあれば可能だ。
なお、いったん家が出来てしまえば、内装を装飾するにはXANAビルダーのほうが素材も多く楽しめる。マインクラフトは細かい素材がないのでこれはほとんど何も出来なくて楽しくない。
ただ、今は、XANAビルダーで家を一つ作り上げる、ということの難易度が滅茶苦茶高いのが問題だと思う。
素材のサイズが統一されてない
XANAビルダーで、家を作ろうとして、まず壁をおいて、その横に別の種類の壁を置く。すると高さが違う。ドアを置く、違う種類の壁を置く、どれも高さが違ったり幅が違ったりする。
するとどうするか。座標指定で高さを何倍に変更、幅を何倍に変更、とする。しかも素材のサイズが小数点以下二位まで指定可能なので、自由度が高いという意味ではいいが、このレベルまでサイズがまちまちの壁や床や柱などを配置して、それぞれがきっちりとおさまるように計算しなくてはならない。二階建てにしようとしたらその複雑さはさらに大変なものになる。階段の一段はどのサイズにしてそれを何個連ねると1階分になるのか、その場合長さはどれぐらいになるのか。なんだかもうクタクタになってしまう。
しかも拡大しても柄が変にならないような素材であれば良いが、格子柄やレンガなどは拡大するとその模様まで変わってしまうので拡大が出来ない。こういう拡大が出来ない素材は、必要なものが1つでも欠けていればお手上げである。
一方、マインクラフトではどうなるかというと、あの世界では、全てのオブジェクトが1x1のサイズに統一され、ワールドの1マスも1x1なので、基本的にポンと置いたところに、そのまま配置される。それを重ねていくだけでいい。めちゃくちゃ直感的なのである。
マインクラフトは、デザインの世界で、自分の頭の中にある3Dの形をダンプアウトするのに使われたりしているらしい。これは、規格が1x1で、ワールドも同じサイズなので、緻密さが求められるところでもきちんと計算できるし、そこにズレが生じない。
恐らく、これはレゴでも同じことが言える。あれも、全て規格が統一されているため、壮大な世界を設計書通りに実現することができる。あちらは、1x1以外のサイズのものもあるが、最小単位が全て統一されているので、計算しやすいのである。
解決策として、基本的な素材のリストとそのサイズを規格化し、今後新しい素材を追加するときには必ずそれらを網羅したものを出すようにしてはどうだろうか。
素材の幅(奥行?)は0.2などの小数点以下になることがあるだろうが、せめて横と高さは整数の倍数で出来るとかなり使いやすいのではないかと思う。
また規格化する際には、何人かが別々の家を作り、その規格でちゃんと機能することを確認するとよりベストだと思う。これは作り込む前の割りと早期の段階でやっておくべき確認作業である。
あるいは、マインクラフトと同じように、1x1のサイズ、もしくはその倍数の基本オブジェクトを別途一式揃えてみてもいいのではないか。検討しなければならないことは多いだろうが、ユーザーとしては使いやすい部品が増えるのはうれしい。
ただ、これがうまく機能するためには、以下に述べる置きやすさが前提条件となる。
素材をテンポ良く揃えて置けない
XANAビルダーでオブジェクトを置くと、マウスの指す地点に置かれる。座標は小数点以下二位まで指定可能なので、逆に言うと、X:1、Z:1に置きたくても少しでもマウスがずれていれば、X:1.02、Z:0.98のようになってしまう。
少しのずれなど気にしなければいいと言えばいいのだが、やはり座標を指定してきっちり揃えたくなってしまったりする。そうするとその手間は半端ない。複数選択して同時に値を変更したり、コピペをうまく使ったりもできるが、それでも出来ることには限りがある。地道な作業だ。
さらにオブジェクトをランド上(Y:0)に置くのは比較的やりやすいが、これがオブジェクトの上にオブジェクトを重ねようとしたり、何もない空中空間にオブジェクトを置こうとした場合、難易度は上がっていく。
ここに置いたはずなのに、角度を変えて見ると、あら不思議、どこかに行っちゃった!という経験をした人は少なからずいるはずだ。
一方、マインクラフトでは、全てが1x1の同一サイズなので、どの方向にもテンポよく積み上げていくことが可能だ。さらにオブジェクトを置く前にマウスの指す場所(つまり、設置される場所)が暗に強調されるので、置く場所を確認してから確実に置くことが出来る。
この違いは、かなり大きいと思う。創作するという作業を楽しめるかどうか、というのは、さくさくとテンポ良く作っていけるかどうかなのではないだろうか。
今のXANAビルダーではここが苦行のようになってしまっている。がんばって1つの作品を作り上げると、ビルダー触るのはしばらくいいかな、、となってしまう。
XANAビルダーは自由度が高すぎて逆に操作性が悪くなってしまっている気がする。そして、これらはどうしても相反してしまう事柄なのかもしれない。
解決策の案として、オブジェクトを最初に置く時には、XYZ軸が整数の場所に置かれる(つまり一番近い整数値の座標に自動補正される)、とするのはどうだろうか。そしていったん置いた後はこれまでと同じように自由に微調整出来るようにする。
そうすれば、横幅1のオブジェクトを横に連ねて置いて行く場合、さくさくとテンポ良く置けることになる。(上述のオブジェクトのサイズが統一されればという前提だが)
ビルダーをどう改善すればいいか?
ここで、改善案をまとめてみたい。
オブジェクトの素材セットを提供し、サイズも規格化する
オブジェクトの配置ルールを直感的にする
オブジェクトを探しやすくする
開発者の中でビルダーコンペを開催
では、以下順番に説明していく。
1. オブジェクトの素材セットを提供し、サイズも規格化する
まず、オブジェクトの中には、ワールドを作るにあたって、組み合わせの基本となる素材というべきオブジェクトと、そうでないオブジェクトが存在する。
素材オブジェクトとは、いくつか種類があるが、一番典型的なのは、家や建築物をつくるにあたってその部品となるもの、壁、柱、入口、ドア、屋根、床のようなものである。
それらの素材オブジェクトについては、それぞれのテーマごとに、必要な素材を一式揃えて、そのサイズも規格化して統一してほしい。
たとえば、レンガの家セットというテーマがあれば、レンガの壁や柱、屋根、床があり、それに合うような入り口やドアがあるといった具合だ。
大きなビルなどのように既に完成品として提供されているようなものは、サイズをあわせる必要はないと思う。ただ、道路や小道などは、建築物の延長となるため、素材オブジェクトとして取り扱い、規格化するものに含められていると使いやすい。
ランドの自然の起伏を作るためにも、土、草、石、砂、水面やコンクリートなどの規格化された素材がそろっていると便利だ。
基本素材を考えるにあたっては、マインクラフトが参考になるだろう。さらに拡張するにあたっては、レゴのビーチハウスセット、お城セット、宇宙セットとかそういう感じで、コンセプトを考えた上でそれに必要な素材のセットを提供していけば使いやすいはずである。
今までで統一感があったのは、忍者ワールド用に作られた素材セット。あれは忍者ワールドというコンセプトがあったからだと思うが、だからこそ、ユーザーとしては、使いやすかった。
2. オブジェクトの配置ルールを直感的にする
これは、上述の1のオブジェクトの規格を揃えることが前提。
そして、2つある。
3.1 オブジェクト配置時の座標補正
オブジェクトを配置する際に、整数値の座標に自動的に配置されるようにする。つまり、X:5.2, Y:1.3, Z:3.8じゃなくて、X:5, Y:1, Z:4に配置する。そこに既にオブジェクトがあれば、その横、もしくは上下の一番近い整数値の座標にずれる。
これが実現すれば、壁をポンポンポンと置いた場合、きれいに横、もしくは縦に並ぶことになるはず。これができるだけで、かなりストレスは軽減され、やりやすくなるはず。
3.2 オブジェクト配置時の向きの補正
現在、どの方向を向いて置いても、オブジェクト自体は常に同じ向きを向いている。なので、置いた後に、回転させなければいけない。
これを、常に自分の正面に向いてオブジェクトが配置されるように変更する。そして、常に直角(つまり、ランドの正方形のいずれかの面と同じ向き)になるようにする。
つまり、配置と同時に、自分の正面を向くように、自動的に回転させるということである。もし、斜めから置いてしまった場合は、一番近い面を向いて配置されるように自動的に回転させるようにすれば、直感的になるはず。
これができれば、それこそ迷路なんて、めちゃくちゃ簡単に作れるようになるはず。もし、斜めにあえてしたい場合は、その後調整すればよい。
3. オブジェクトを探しやすくする
今のメニューは、自分のようにXANAビルダーのバージョンアップごとに何が増えてきたかわかってる人にはある程度わかりやすい(?)内容になっているが、万人にとって探しやすいか、と言うと全くもってそうなってはいない。
まとめる方向性はいくつかあると思うが、オブジェクトのテーマ、機能上の性質、サイズ、など検討して、うまく探しやすい構造にしてほしい。
そのためには、一度今のオブジェクトを全て洗い出して、不要なもの(全く使われていないもの)は一度消して(もしくは隠して)しまうということも必要かもしれない。これは利用統計データを見れば分かるはず。
この辺は、本当はゲーム業界から、UXデザイナー引っ張ってきて、一度きちんとレビューして、設計し直すことが出来ればベストだと思う。
4. 開発者の中でビルダーコンペを開催
ビルダーを開発している人たちの中で、自分達が作ったビルダーを使い、ガチなワールドを作った経験がある人はどのくらいいるのだろうか。適当に素材並べるくらいならもちろんテストでやったりするだろうが、その程度では、恐らく上で述べているような問題点に気が付かない。
そこでこれは改善案というか、提案であるが、社内コンペを開催して、一日開発作業をストップして、皆で集中して、それぞれワールド作成にガッツリ取り組んでもらってはどうだろうか。その際、上述した問題にぶち当たりそうなテーマを出し、賞金もちゃんと出す。
皆ガチでやるだろう。そして、そこで初めて、何かここやりにくいなとか、思ったようにできないなとか、あの素材どこにあんだよ、みたいな何らかの気付きがあるはずである。そして、この気付きこそが、最大の財産となるはず。
このクソ忙しい時期に開発を1日止めるのはかなりのチャレンジかもしれないが、長期的に考えれば、1日開発作業をストップさせる価値は十分にあるのではないだろうか。
まとめ
とりあえず、言いたかったのは、もっと操作を直感的にして、ストレスフリーにワールドを作成できるようになれば、もっと多くの人が集まってきやすくなると思うし、ほっといてもワールドを作り続ける人が出てくるはず、ということ。
ざっくりとしたワールドを作るだけであれば、今の状態でもまぁできなくもないけど、少し手の込んだワールドを目指すのであれば、やはりここは避けて通れないところではないかと思う。
今は皆、あるものを駆使して苦労して作っているけど、本来不要な時間を減らして、もっとクリエイティブ方面に時間を使えれば、もっと色々作ってみようと思えるし、何より作ってて楽しいと思えることが大事。
もちろん、今のXANAの開発体制が大変なことも理解しているが、それはあえて横に置いておいて、あくまでユーザーの視点で、現状の問題点と、こうすればもっと良いものになるのではないか、という内容をまとめたのが、本記事の趣旨となる。
このフィードバックが少しでもプロダクトの改善の役に立ち、そして様々な議論のきっかけとなれば幸いである。
あとがき
恐らく、ここまでたどり着いた人はほとんどいないと思うけど(笑)、もし最後まで読んでくださった方がいらしたら、ありがとうございます。
予想通り、かなりの長文になってしまったが、これでも最初の殴り書きから、推敲に推敲を重ねて、かなり削ぎ落としており、モヤッとしていたXANAビルダーの問題点をなんとか凝縮して言語化できたのではないかと思う。
最近は、SNSがほとんどで、久々に、こんな長文を書いたが、元々ブログは好きで毎日書いていたので、書くのは全く苦にならなかった、というか、割と書いてて楽しかった。
最後に、このレポートの執筆にあたり、かなりの時間を使って協力してくれた相方に感謝。週末、うまいワイン買ってきて、美味しい飯を作って、おもてなしさせて頂きます。ありがとう。
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