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先をゆく

今売れるものっていうのは洋服屋でなくとも分かるわけでそこをとりに行くのはビジネス上最も優れているがつまらない店になってしまうものだ。そこは大手や老舗に任せて個人店はそこと競っても勝ち目はない。古着屋である私の場合、そう言った商品はほぼほぼ仕入れられない。世界中に星の数ほどありそうな古着屋さん達との仕入れ競争に勝てるわけがない。そもそも自分は2年半前に古着屋を始めた蒙古斑が青々と生えるビギナー中のビギナーだ。アパレル 歴は17年だが古着屋としてはたった2年半の赤ん坊。そんな赤ん坊が周りに商店のない市内からも離れた町外れで商品に拘った古着屋をしている。売れそうもない。

今まで色々考えた。ここまで来てもらうにはどうしたらいいのか。どうやったら知ってもらえるんだろう。自分のお店に置いてある商品の価値をどうしたらわかってもらえるんだろう。無名のオーナーと無名のお店が成り立つにはどうしたらいいのか。最初から多くは求めない。少数派を狙う。というか自分の色を存分に出す。自分の好きなものを並べる。ここに間違いはない。

お客様にはこんなものが欲しい、こんな商品を探していると言われたって買ってこない。買い物代工業ではないからだ。自分のお店を作っている。そこにブレはない。と言ったってもちろん昔から愛される定番商品は出てくれば買ってくるしもちろんお店にも並んでいる。ただ比率が7:3な位なだけで、少しはビジネスも考えている。じゃなきゃやっていけるわけがない。

でも考えてみて欲しい。こんな立地でこんなお店がずっとやっていけて東京からもお客様が来るようになったらなんてことでしょうか。

改めて今思うことがある。お店というのはお客様の二歩三歩先を行ってお客様に驚きと感動を与えられてナンボなんではないだろうか。お客様の声に顔を寄せてその通りの商品を揃える。その通りの商品を作る。それも良いがそこからは何も生まれない。えっこんなのあるんですか!えっこんなのみた事ないです!格好良いですね。なんですかこれって言うのを揃えられてナンボだろうと思う。お店に行く意味というのは思っていた事以外の出会いが大きいと思う。ネットで買い物するときは特定の自分の好きなものにしか辿り着かないとしたら店舗は思いがけない出会いがある。そこに期待以上の商品がなくてどうする。

ずっと提案型でいたい。あのお店に行けば今までの自分の中にない新たな出会いがあると思ってもらえるそんなお店でありたい。それだけ必死でまだ見ぬものをいつも探しています。お客様を驚かせたくて、感動させたくてずっと探してます。昔のものが大好きだから。

今売れているものは同業者の僕からいうと大手か老舗に行った方が良いです。間違いなく安く買えますし物もあります。僕みたいなお店にはないです。期待もしないでください。このお店にあるのは誰も目をつけていない格好良い服です。結局これが良いよねっていう安めなリラックスウェアから大人の服好きが楽しめるvintage wearまで、良いと思った服だけ並んでます。

私はお客様の10歩先を行きたい気持ちでいるのでお客様がそのアイテムを探し出す頃にはウチでは5年前にシコ玉扱っていてもう飽きているので置いてないっていうリズムです。そういう気持ちです。最悪に不便な店であります。

でも本当こういう店減ったと思います。15年前と比べて絶対減りました。尖ってる店。意味わかんないものばっか置いてあった店。お客様にこんなんみた事ある?格好良くない?って提案できる商品を僕は今までもこれからも探してお店に置きます。例え売れなくても良いと思ったものは置きます。そんなお店が減ったのはやっていけないからって突っ込みはもちろん承知してます。それをやっていけるようにするのが僕です。楽しい店にどんどん進化していけるように頑張ります。

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