見出し画像

【十勝の若手農家が綴る 日常NOTE】 02 妻もトラクターをぶんぶん乗りこなす! 家族で畑をやるってこんな感じ 〜山田家ver〜 

 前回は僕の今までの事、そして僕と会社の現在地のことを大雑把に書きました。
予定よりもかなり長い文章になってしまいましたが、想像以上に多くの方に読んでいただき、様々な反応をいただけたのがとても嬉しかったです。
「コメント」「いいね」めちゃくちゃ励みになります!

今回は「一緒に働く家族のこと」「それぞれの役割分担」について書きたいと思います。


 まず、僕の会社「株式会社 アサヒ・アグリ・アクション」(以下AAA)は僕が代表、弟が理事、妻が理事兼会計で、従業員に母という形になっていて、全員で4名で会社を回している。
年間通して、特に忙しい春と秋にはバイトを2名程度頼んでお手伝いをしてもらっている。
さて、僕から見た一緒に働く家族を紹介していこう。

弟 背戸田達弥 「歩くお祭男と言われている35歳」



これが達弥

 基本的に非常に熱い男である。僕もかなり元気でやかましいタイプだが、僕がうざいと思うくらい、アツい。
仕事でもプライベートでも全力投球、いろんなことに常に興味深々で、大事なことからどうでもいいことまで膨大な知識量を持っている。特に好きな分野においてはオタク気質な暗記力を発揮する。注目が集まれば集まるほど、パフォーマンスが上がる。作業の効率や能率を上げる事を考えるのが得意。土の変化を直感的に捉える。僕より社長に見える。単純明快な漢である。弱点は早起き。
AAAでは専門的な技術のいる、アーク溶接を駆使して鉄鋼作業をこなす。作業機の改造や修理、建物の扉や棚など作れるものはなんでも作る。農作業全般なんでもこなす僕の大事な右腕。

妻 明子 「オールマイティなMrs.positive」


どんなに暑くても日焼けの対策は絶対にする

大学の時の同級生で、スキーがとても上手。アルペン競技をしていて中学の時は全国チャンピオンの経験もある。実はアスリート。365日24時間明るく、一緒に過ごしているとこちらの悩みがバカバカしくなることも多々ある。いつでも現場の太陽。真面目で不器用。几帳面で計画性があるのでとても頼りになる。眠るのが得意。単純作業に飽きずに取り組めるため、農業に向いていると思う。弱点は大声。怒鳴り声を聞くだけで、全てのやる気を無くす。AAAでは会計業務とトラクター類はある程度乗りこなす。春は畑の整地などをこなし、夏は草取り、秋は収穫の補助などオールシーズン大忙し。僕の大事な左腕。

母 恵智子「貧乏なエジソン」

昔の家と恵智子。

 僕の母。ダンボール、ビニール、紐、カッター、ガムテープを持たせればこの世にあるもののほとんどを作れる。貧乏な発明家。実家も農家で昔ながらの農作業のこともよく知っている。僕が実家に戻ってから色んな作業を教えてもらった。基本的に楽観的で、いい意味で無責任。意外と頑固で自分の意思は曲げない。人当たりが良く、誰とでも打ち解ける能力を持つ。それは人間にとどまらず草木、動物によく話しかけているのを見かける。
AAAでは、トラックで荷物の運搬などをすることが多い。誰かの補助やハウス内の仕事、畑の草取りなどが主な仕事。

以上が僕から見た家族の紹介です。
非常に個性豊かで、みんな得意不得意がある。この4人の長所を活かしながら仕事ができるようにこれからも頑張っていきたい。

300万粒 植えきった…! 春の植え付け祭り


今年初めての大麦播種。 無事に生えてきてくれて嬉しい


芋を植える機械。

4月から始まった、春の植え付けの時期の仕事の役割分担を書いてみる。

主に色んな種を植えている。ビート、馬鈴薯、デントコーン、大豆を担当している。

達弥
トラクターに乗り、畑の整地作業をしている。荒耕起からパワーハロー、先の天気を見ながら先回りの作業になる。秋蒔き小麦の播種も担当。

明子
達弥と同じくトラクターに乗り、荒耕起、パワーハローをかける。
手が空けば、あらゆる仕事の補助に入る。

恵智子
基本的に明子とセットの仕事が多い。
ダンプに植える種と、肥料を積み込み植え付けの補助をする。リフトを操縦

ざっくりこんな感じで春の撒き付け作業をみんなでえっさほいさと乗り越える。
忙しい春作業中でも、9時と15時には休憩を15分程度とる。前の日の出来事、今日気づいたこと、明日以降の天気予報から想定される作業の優先順位など。仕事のことから他愛のない話を改めて皆でする。やっぱりコミュニケーションは大切だと思う。

山田家の家訓

今となっては僕らAAAの仕事のモットーになっている。
「仕事は楽しくなくて普通。どうせつまらない作業なら楽しんだモンがち、グチグチ言う前に楽しくなる方法を考えるべし。」
これは僕が小さい頃から農作業の手伝いをしていて言われた言葉だ。農家の仕事は単調で繰り返す作業がとにかく多い。当時の僕は子供なのですぐ飽きるし、バイト代がもらえるわけでもない。それでも楽しくやれ!という難題を子供ながらに真剣に考えた。覚えていない歌を大声で歌ったり、土を遠くに投げてみたり、大きくなった草の枝を振り回したり、じーっと虫や草を観察してみたり、、、大自然の中でできることはやり尽くしたと思う。
そんな風に仕事というものに関わってきて今になって良かったと思う。基本的にハードルが低いからだ。楽しいか楽しくないかで仕事を選ぶという基準が僕には存在しない。常に頭にあるのはどうしたら良くなる?楽しくするには?もっといい方法はないか?ということだ。
そうは思っていても人間、好調不調はつきものだ。お互い様、お陰様を忘れてしまうと何もかも上手くいかなくなる。その感謝と尊敬だけは忘れないように家族と農業をしている。

また、これは農業だけでなく、色々な仕事にも同じことが言えると思う。
なんにでも、始まりには終わりがセットでついてくる。始めたことは必ずいつかは終わる。大変なことに対して、不平不満をずーっと言うこともできる。それでも僕らの仕事はいつかは終わる。不満を言う事は人に任せて、自分は楽しむ。それでも僕らの仕事はいつか終わる。同じ時間だとしたらどっちがいいだろうか?
自分の命と置き換えれば良くわかる。どうせ終わるまでの時間が同じだとするのであれば楽しむことがいかに重要なことか。僕はそんな風に思っている。
僕はよく楽しそうだと言われる。それは少し違う。楽しむように努力しているだけだ。僕の好きな人たちは皆常に楽しそうに過ごしている。僕もそんな大人になりたくて頑張っている最中だ。浦幌にはそんな大人や仲間がたくさんいる。とても心強く、誇りに思う。

話は少し変わるが、浦幌は他の街と比べると不便かもしれない。
でも、「この町をもっとよくしたい」「どうやったらもっと心地良く楽しく暮らせる?」そんなことを考えながら暮らしを営んでいる人がたくさんいる。そんな暮らしを作りたくてこの町に飛び込んでくれる人がいる。 だから、僕は浦幌が好きなんだと思う。
不完全の中にある愛しさが僕を突き動かし続けている。

 そして近い将来、僕らの農場にもう一人仲間が必要だと思っている。なぜなら、仕事はもちろん大事だけど、家族との時間もとても大事だと個人的には思っているので、その時間をもっと確保したいからだ。効率とは、とにかくがむしゃらにたくさん仕事をこなすことだけではないと思う。大事にしたいことを見極めて、そのために時間をたっぷり使うこと…それが僕にとっても効率であり、子供達や家族との時間を作りながら楽しく農業を続けることが僕の信念だ。そんなことを理解してくれる仲間を早めに作りたい。

【次回予告】 次は3月に開催された「アグリダイブ」についてお話しします!

次回は、2024 年3月に開催された「うらほろアグリダイブ」についてご紹介しようと思う。
うらほろ アグリダイブとは、浦幌町をフィールドに、日中は農作業、夜は次世代に繋ぐまちづくり・教育活動をされている住民の方をゲストに招いての対話セッションを通して、地域と自分の未来を考えるプログラムであり、AAAも受け入れ農家として参加した。今回で3回目の受け入れであったが、今回もとてもすんばらしい経験を僕自身がさせてもらった。早く話したくて堪らない!(笑)
それでは次回もお楽しみに!






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?