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転職サービス比較、クリエイティブ業界から異業種への場合。

昨年11月から今年2月にかけ転職活動を行なってきた。転職先企業には結局直接応募だったが、並行して6つの転職サービスを利用した。クリエイティブ業界での経験を活かして他業種に転職したい人には参考にしていただけるかもと思い、利用者としての実体験をもとに転職サービスを比較してみる。ちなみに当方、広告制作会社のコピーライターからサービス業の広報ライターへの転職です。

マスメディアン

クリエイティブ職に特化した転職エージェントと言えばマスメディアン。ということで、真っ先に面談をしたのがこちら。この時点では、転職したい意思がありながらも自分の市場価値がわからず、その整理も含めて転職のプロの助言を得たいという目的もあった。すでにコピーライターは転職先の選択肢になく、記事制作に特化したライター職(できればクライアントワークではなく社内エキスパート)や、事業会社の広報職を考えていた。

面談にはおそらく20代と思われる若いエージェントが現れた。内心(大丈夫かな)と思ったが、こちらの悩みや望みを丹念に引き出し、拾い上げてくださった。確か90分近く時間を割いてくださったはず。で、当方の経験を鑑みて先方が挙げた職種がWeb記事の編集プロデューサーだった。それまで存在すら知らなかった職種だったので、この助言は大きかった。

紹介先企業ごとに担当エージェントが付き、時折り「◯◯社担当の佐藤です。この求人、タサキさんに合ってると思います。応募しませんか?」というメールが届いた。さすがクリエイティブに特化しているだけあって、他の大手サービスには掲載されていない求人もあった。

ただ、自分の希望に近い求人はそう多くはなく、応募は数社にとどまり、いずれも書類選考で落ちた。

リクルートエージェント

求人数が多けりゃ、内定獲得の可能性もグッと高まる。確率的にはーーということで、次に面談を受けたのがこちら。マスメディアンほどではないにしろそこそこ丁寧な対応で、でもちょっとシステマチックかな〜と感じていた矢先、ひととおりの問答を終えた担当エージェントから一言。

「差し当たってのタサキさんの“ミッション”は、2社、書類通過することです」

面接した企業が1社だけだと、比較対象が現職の企業になってしまう。それでは客観的な比較ができず、本当に自分の志向に合っているかを的確に判断しにくい。まずは2社通過を目指して、とにかくバンバン応募してほしい。特にコロナ禍以降、転職活動もオンライン化した影響で気軽に応募できるようになったので、どの求人も倍率がすごいことになってる。人気求人だと選考がすぐに終わってしまうこともあるーーと、こういうわけなのである。

自分のためにする転職活動なのに、ひとからミッションを与えられるっておかしくね? と、まずは思った。担当エージェントの言葉のチョイスの問題なのかもしれないが、この一言で(結局マッチングサービスなんだよな……)という印象を持った。

そうは思いながらも、正月くらいまでは本当に手当たり次第に応募した。LINEで毎日求人が来る。自社もしくは顧客のオウンドメディアのライターや編集者、出版社のWebメディアの編集者、書籍そのものの編集者、事業会社の広報など、仕事の合間にさらって見てボタン1つで応募する。書類が通ってから企業研究をするーー違和感を持ちながらも最終的に50社以上に応募した。

書類通過は3社。1社目は一次面接の日時がなかなか決まらず、なんでかなーと思ってたら突然「選考終了のお知らせ」というメールが来た。他社エージェントから紹介された別の応募者に内定が出たためとのことだった。一瞬理不尽さを覚えたが、募集元の企業も複数のチャネルから人材を募っているわけで、仕方ない話ではある。

書類通過すると、担当エージェントからの対応が1段階手厚くなる。受験先企業から得た、過去の応募者を見送った理由や過去に面接で聞いた質問などの情報をシェアしてくれる。最終面接前には、転職活動で叶えたかった目的を本人に再整理させることで、当初の活動理由とのブレがないか把握する作業「意向整理」が発生。それはそれで意味があったのだが、自分で意向を整理した後にもう一度考え直し、志望順位が逆転した。

いいなと思った点は、一度模擬面接をする機会があること。面接担当者から褒められ自信になったし、建設的な指摘をもらった。少なくとも、リクルートエージェント経由で受けた2社の面接には活かせたと思う。ただ、最終的に内定をもらった企業との面接は雑談のようなフランクな感じだったので、結果的に準備の意味はあまりなかったが。

DODA

選択肢は多いに越したことはない。ということで、リクルートエージェントに並び大手転職サービスのこちらにも登録。ただ、前出の2社との面談でやや疲れていたのと、仕事と家庭の事情で面談時間をとりにくかったこともあり、エージェントは利用せずもっぱら求人情報サイトとして利用した。

実は現職3年目くらいの頃にも転職活動を考えたことがある。まだ世の中的にオンラインミーティングが浸透していなかった時期だったので、丸の内にあったDODAのオフィスまで赴きエージェントと面談した。この頃は仕事の悩みを打ち明けられる相手が身近にいなかったこともあり、転職の動機から仕事に求める大切さまでエージェントから問われるまま嬉々として自分語りを披露したものだが、ひと通りインタビューが終わってエージェントがピシャッと一言。

「で、タサキさんに紹介できる求人はありません」

このときはコピーライターとしての転職を考えていたのだが、経験わずか3年ではどこにも紹介できないとのことだった。ならば初めにそう断るべきだったのではないか?ーー時間を置いてから(そりゃそうだよな)と得心したが、さんざんこちらの個人情報を引き出しといて「求人なし」のニベもない一言にはちょっと不快感を覚えてしまった。新人研修と称して新入社員を面談に同席させた点も、思い返してみれば気持ちのよいものではなかった。見せ物になった気分が多分にあった。

このときのネガティブな感触があったので、すでに2社と面談してるわけだし、わざわざDODAのエージェントと面談することもないかと判断したのである。

DODAに登録するとオプションでいくつかのサービスを付けることができる。そこで、「提携エージェントからのスカウトメールの受信」をONにした。自分では気づかない自身の市場価値に、転職支援のプロなら着目してくれるかもしれないとの期待があった。結果、毎日のように来たのが土木業界からのスカウトだった。確かに当方、新卒で土木業界の企業に入社し5年間働いた経験があるが、もう10年も前の話である。大した資格も持っていないので、即戦力になれるはずがない。提携エージェント各社がいかに表層的な経歴しか見ていないか、そささていかに土木業界が人材不足かを知った。

リクルートエージェントと結構重複はするものの、DODA独自の求人も少しあったので、登録した意味はあった。数社に応募したが、いずれも書類選考で終了した。

ビズリーチ

ダメ元というか棚ボタ狙いというか、(もしかしたらどこか声をかけてくれるかも?)くらいの気持ちで登録したのがこちら。11月下旬の転職活動開始から12月中旬まで一向に面接まで進めなかったので、少しでもチャンスを広げられればと思い、利用することにした。

活動の終盤で1社、転職先の決定後に1社からスカウトメールが届いたが、いずれもクリエイティブ業界からの面談要請だった。コピーライターとしての能力に期待されてのスカウトだったが、そちら側の業界・職種への転職は希望していなかったし、自分にはハードすぎる会社だったので、お断りした。

リクルートダイレクトスカウト

ビズリーチと同じ目的で登録。こちらはなかなかスカウトメールが来なかった。ビズリーチよりもハイクラスの求人がメインだったのかもしれない。転職活動の終盤に1社だけスカウトが来たのだが、求人の概要を見ると、なんとなく見覚えがある。社名を聞くと、ちょうど最終面接を控えていたB社の求人だった。ある意味、スカウトの目は正しかったとも言える。

OpenWork

OpenWorkは、転職クチコミサイトと求人情報サイトの2つの面を持つサービス。当初は主に前者として利用していた。

B社の書類選考通過の連絡が来た1月。OpenWorkから、ある企業の求人をレコメンドするメールが届いた。職種は広報ライター。業界のことはよくわからないが、おそらく自分に一番合っているであろう職種だ。募集概要とクチコミを読んで、事業内容や待遇、社風に魅力を感じた。それがC社だった。

企業によってはOpenWork経由で採用選考に応募することができる。C社には志望動機を入力すれば応募できたのだが、あらかじめOpenWorkに登録していた自分の情報が粗かったので、かえって不利になると考えた。そこでC社の採用サイトを見てみると、必要書類をアップロードしさえすれば直接応募可能とある。こっちのほうが確実に自分を見てもらえるだろうし話も早いと考え、直接応募した。その後のC社とのやりとりはサクサク進み、先に選考が進んでいたB社の最終面接を受ける前に内定をいただけた。

言わばOpenWorkが足がかりになったわけで、そういう意味では利用してよかったと思う。クチコミには主観で書かれた偏った内容もあるだろうから話半分で読んだが、参考にはなった。


最終的には直接応募した企業への転職となったが、そこに至るまで何度も重ねた自己分析や書類のブラッシュアップ、そして企業比較や面接準備などは、転職サービスを活用したからこそできたことだと思う。自分の市場価値をしっかりと捉え、書類作成も面接準備もバッチリという方は、企業への直接応募のほうがスムーズに進むのかもしれない。

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