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2021年度の風車建設プロジェクト完了

僕がTechnical Advisor(TA)として関わった2021年度の風車建設プロジェクトが今年の3月にやっと完了した。出張期間は7ヶ月。今は在宅勤務でちょっとゆっくりしながら、次のプロジェクトの準備をコツコツと始めている。いつになったら「また同じ事の繰り返しかよ〜」と愚痴の一つも言えるんだろうかと思うけど、臆病なわりに出来るなと思ったらそこから飛び出してしまいたくなる性格だから、愚痴を言う頃にはどこか別の働き場所を探してる気もする。

2021年のプロジェクトで建設した風車は日本に投入する新モデルだった。
(今のところ日本一デカい風車なんじゃないかな。知らんけど)

だから、プロジェクトが始まる一年前の2020年4月から、僕と同僚の🍎さんは建設用ツールの準備を始めた。風車の建設にはさまざまな特殊ツールを使用する。主なツールは、重さ数十トンから100トンの風車部材を吊り上げる時に使う物だ。僕の本業はTAなので、ツール担当として入社した彼女をサポートする形だった。最初は。

🍎さんはとてもテキパキと仕事ができて英語も堪能だったが、機械と電気のことは全然分からん人だった。当時の僕はというと、入社8ヶ月の知識も経験も頼りないTAで、英語は中1レベルながら機械と電気はオッサンレベル。おっさんレベル?そんな凸凹コンビでツールの準備を進めていたのだが、仕事がとても負担だったらしく彼女は精神的に疲れてしまい、2020年10月、任務途中で会社を去った。

ツール担当なのに任務を達成出来ないまま辞めた彼女は、会社を辞めてからもそのことをとても申し訳なく思っていて、たまに僕にLINEをくれた。ツール担当じゃないのにツール担当兼務になってしまった僕は、彼女をサポートし切れなかった事を悔やみ、そして彼女をまぁまぁ恨んだ。応援していたはずの人を恨んでしまったのは僕の力不足であり弱さのせいで、そしてそんな自分がとても嫌だった。

当たり前だけど、ツールがなければ風車は建てられない。自分がツール担当になってみて初めてそのプレッシャーの大きさに気付いた。サポート役とは全く違うプレッシャー。

やっと彼女と同じ気持ちになれたのは2020年の暮れ頃。そこからだ、僕が彼女と僕の呪いを断ち切ろうと思えたのは。呪いを消す方法は、ツールを全てプロジェクトに間に合うように揃えて、プロジェクトをちゃんと完了させること。

そこから半年間は寝ても覚めてもずっーとツールの事を考えていた。それまで僕がしていたような、下手くそな英語が恥ずかしくて海外サプライヤーとのやり取りを躊躇する、なんて時間は無かった。文が幼稚だろうが発音が悪かろうが、とにかく伝えるしかなかった。そして僕は中1英語で乗り切った✌️
#そろそろちゃんと英語勉強しようか

めちゃくちゃギリではあったが、ツールは無事に日本のプロジェクトに間に合うタイミングで入荷し、2021年6月にプロジェクトは始まった。去年の暮れまでは、ツール担当は自分の担当じゃないのに〜と思っていたくせに、それまで1年以上ツールの事を考えてきた時間は無駄じゃなかった。ツールの知識も海外サプライヤーとの繋がりもTAの仕事にすごく役に立った。終わってみればそう思えるのに、渦中にいる時は何度も逃げ出したくなったり。本当、僕って弱い。
#人ってピンチになるとスキルの吸収力高まるね

コロナで渡航が制限されているから、外国人ベテランTA & Commissioner頼りの風力業界は、2021年も大変な状況だった。TAを招集出来ないからプロジェクトを延期するなんて会社もあったらしい。僕らも状況はあまり変わらなかったが、日本国内在留資格のある数少ない外国人ベテランTA & Commissionerと共にあの困難な場面を乗り切った。彼らはとても経験豊富で頼れるエンジニア。2021年も彼らのすぐそばで仕事が出来たのは、とてもラッキーだと言える。僕もいつかそんなエンジニアになりたい。
そんな風にバタバタしながら、僕らは2021年度の5つあったプロジェクトを全て完了した。

🍎さんにも、あなたが関わったプロジェクトが全部終わったよーって報告出来たから、今度青森で彼女に会えたら、旨いお酒で乾杯できるに違いない!
#呪いは解けた

こうして振り返ると、ちょっとは今の仕事に自信がついても良さそうなのに、これから始まるプロジェクトに、またまたおびえている自分がいる。理由は明確だ。今年は外国人ベテランTAに頼らないから。ここを乗り越えたら、また違う景色が見えるんじゃないかなと思う。

ま、そんなわけで
中身はビクビク、外は自信あります風(ふう)で
今年もやれるだけやってみよう。いつか本物になるために。

お、し、ま、い。それじゃまた。

風車の上からの眺め 2022年2月7日 北海道苫前町


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