あたらしく

『のどがかわいた』

大阿久佳乃著　岬書店

先日届いたばかりでまだ読み切っていない本を紹介する。

『詩ぃちゃん』という詩についてのフリーペーパーを発行している大阿久佳乃さん。彼女が夏葉社個人レーベル（ここらへん良くわかっていないので間違っていたらすみません）から初めて刊行した本。

前半はフリーペーパー『詩ぃちゃん』の、後半は学校のこと地元のこと、家族のことなど彼女のエッセイがある。

この本の第一章、詩ぃちゃんの一文目はこうである。

「詩、読みますか？」

私はこの一文を見て「うっ」とした。なぜなら自分が詩をそこまで読まないし、読んでも『のはらうた』ぐらいで親しみを持っているわけではなかったからだ。著者はその次の文章に、問いの答えは大抵「はい」と返ってこず、「本・小説は読むんだけど…」と言葉が続くとも書いていた。

まさに自分のことを言われているようだった。この文章を読んでいる誰かも同じように思う方が多いだろう。

著者はそんな人のために、詩を手に取るきっかけとなるように詩のよさを伝えている。ただ伝えるといっても押し付けがましいことはなく、著者の思う詩のよさが伝わってくる。

これは一ページずつ大切に読みたい一冊である。

あと、本の内容とは関係ないことではあるが伝えたいこと。

この本の装丁がいい。

山吹色で少しざらざらとした表紙に青みの少し強い水色の文字と絵が印刷され、天アンカット（上の方を裁断しない製本方法）にフランス装（仮製本の一つのやり方）が手に良くなじむ。フランス装というのは知らなかったがこの本によく合うなと思う。

3年　ろうげつ

夏葉社Twitter　@natsuhasha