いぬマシン


Googleは早くいぬマシンを開発すべき。
人間のAIとかまだ先だろうし、いぬを早くして。
ロボットでいいから、いぬが飼いたくて仕方がない。

独り暮らしだと、どうしても動物を飼うのをためらってしまう。
日中、誰も見てないのは心配だし、寂しくて吠えたりしたらご近所のことがあるし。たまに出張もあるから、そのたびにペットホテルに預けなきゃいけない。第一、ペット可の物件を好条件で探すのは難しいなど、いうまでもない諸々の難題が立ちはだかる。ロボットなら、自分の外出時はスリープにできるし、生命の心配もしなくて済むだろう。

AIがまた将棋で名人に勝った、とニュースで見るたび、それよりもいぬを開発してくれと切に思う。人間の汎用性に追いつくのはかなりの年月を要するだろうけど、いぬなら5年くらいでいけるんじゃないかな、と勝手な見込みを立てている。僕の孤独を癒やしてほしいので。

でも実際、発売されたら本物と違わないならではのトラブルが色々と出てきて、すぐに「鳴き声OFF」とか「愛想MAX」とかの便利モードが追加されるんだろうな。いぬを飼いたいとか言ってたくせに、これじゃ困るじゃないかとばかりにアレクサみたいなやつにどんどん命令して、いぬの気持ちをカスタマイズする。そして全てを自分の都合に合わせた後で、本物と違うと文句をいうんだろう。人間のなんたる身勝手なことか。

飼い主が帰ってきても出迎えない、呼んでも尻尾だけで返事をする、誰かが何かを食べてるときだけおすそ分けを狙って媚を売る。お手はたくさんするほどご飯をもらえると勘違いしている、知らない人が怖くて吠えまくる、女の人の股間のにおいが気になる、ペットフードに飽きたらすぐストライキ。人前で平気で腰を振りまくる、「たぶん台所におしっこしたのヤバかったぽいけど、いつもどおりにしてたらバレないだろ」と思ってるのが丸わかりの表情。お母さんの次に自分がえらいと思っている。ペットホテルに預けられたとき、捨てられたと思い込んで一週間くらい人間不信になる。僕がもうすぐ布団から出ようと思ったときに限って乗っかって居眠りをはじめる、その後の温もり。体温。
あの、どうしようもない可愛い生き物が、今は土の中にいるのが未だに信じられない。

僕は、不完全なものにため息をつく癖に、完璧なものに対してつまらないという。ひとつ願えるなら、もしAIが完成したとして、それは人間を支配するか守るか以前に" 毅然 " としていてほしい。僕のわがままを聞いてたってキリがないんだから。


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