刃牙は読みやす過ぎる


刃牙は凄すぎる!
すっごい読みやすいから。

少年チャンピオンで「範馬刃牙」という格闘漫画が連載されている。グラップラー刃牙という作品名でスタートし、表題をマイナーチェンジしながら通算100巻以上続いているモンスタータイトルだ。初期の頃は一応、現実に沿った内容だったが後半から原始人や宮本武蔵のクローンが生まれたりして、なんだかいい感じになっている。

ストーリーの是非はともかくとして、僕がいつも感嘆するのはその読みやすさだ。よく「刃牙は一分で読める」と揶揄されるのだけど、話の内容によっては本当に一分かからないこともある。他の漫画に比べて大ゴマが多い、台詞が短いなどの特徴が主にそうさせてるのだけど、緻密なトーン貼り・凝った台詞回し・意表を突く展開、斬新なカメラアングルなど常に読者を驚かせるための工夫が随所に盛り込まれており、決して手が抜かれているわけではない。

きちんと作られているのに読みやすい、って大変ありがたいことだ。我々読者の体力は個人・日ごとにバラつきはあるものの、おおよそ決まっている。つまり、漫画とはいえ読書に費やせる精神的なリソースは限られているのだ。ただでさえ憂鬱な気分の日に朝から晩まで仕事をし、帰宅してからHUNTER × HUNTER の選挙編を普通に読める方は魔人の領域に達していると思う。

なんとなくだけど、景気と読書体力って連動しているような気がする。今は謎の病気も流行っているし、SNSを見ていてもみんな不安のほうが先だって、何かをする元気がなさそうだ。こんなときは、キルケゴールの「死に至る病」で教養を深めるでヤンスではなく猫の動画を見るのが一番かもしれない。「そういえば、サクッと楽しめそうだけどだからこそ今まで見てなかったな」っていうような本とか映画を観るのに丁度いい時期なのかも、と思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?