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「水曜日のアニメが待ち遠しい」 トリスタン・ブルネ

誠文堂新光社

フランスでは1970年代は小学生は水曜日も休みだったらしい…
著者トリスタン・ブルネ氏はパリ郊外の町の生まれ(1976)。この町はフランス移民政策でニュータウンにフランスの世帯と移民の世帯を併存させたところ。のちにブルネ家含めフランス世帯は去っていき、移民が多くなっていく。で、2004年に来日した時、踏切の音聞いて幼い頃見た「めぞん一刻」(らしい)で聞いていた記憶が何かわからないまま蘇ってきたという(プルーストのマドレーヌは今はアニメなのか…)。
専門は日本近代史と日本マンガフランス翻訳(「北斗の拳」など)。
(2019  02/24)

「水曜日のアニメが待ち遠しい」読んで、著者が今の日本アニメ世代を見て危なかしいと思っているのは、ちょっと前に読んだ「日本を降りる若者たち」(下川裕治著 講談社現代新書)に立ち位置似ているような。
(2019  02/26)

昨日で第3章までを、そして今朝第4章を読んで「水曜日がのアニメが待ち遠しい」読み終わり。
図書館でピックアップした時の予想以上になかなか興味深くて面白かった。「移体性」という著者が日本の特質を捉えた概念(オーギュスタン・ベルグにも同じ言葉があるらしいけど違うらしい)-主客、過去の人間や人間でないものにまで自分の意識を潜り込ませていくという共感の有り様-妖怪などはその典型例とか。

  問題はもはや、単に日本の作品を海外に持っていくこと自体にはありません。そうではなく、日本のサブカルチャーが得意とした共感的な世界観、あらゆるものや現象、悪役的な登場人物にまで感情を投影できる感性そのものを、いかに異なる社会に入り込ませることができるのか、そして、それを海外に従来からあった価値観とどうぶつかり合わせることができるのかが、求められているのだと思います。
(p224)


著者自身は、フランスと日本という二つの国の「間」の国で、それぞれの差異を楽しみながら暮らしているという。
(2019  02/27)

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