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「ジョゼフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」

川村記念美術館

今回の展覧会の特徴は色紙を使ったアルバースの実験を追体験できるコーナー。成果がたくさん貼ってあった。あとは、教育に焦点を当てた展覧会というのも珍しいのでは。

ジョゼフ・アルバース(1888-1976)
バウハウス、ブラックマウンテン・カレッジ、イェール大学という、アルバースが関わった3つの教育機関を軸に、アルバースと彼の教え子(日本人も来ていた)の作品。
素材をどう経済的に(加工手間が一番少ないように)扱うかを追求したバウハウス時代(モホイ=ナジとともにバウハウスの基礎教育を担当)。ガラス作品で彼の死後自宅で見つかったのもあった。
ブラックマウンテン・カレッジはノースカロライナ州にあった大学で、デューイの思想を取り入れ、学生と教職員が合議するという特色を持つ。第二次世界大戦後、資金難で閉校。1933年、ナチスによってバウハウスが閉鎖されたのち、アルバースはここに招かれる。彼は英語を全く話せなかったが招待を受け入れる。ここにあったメキシコ、モンテアルバンのピラミッド遺跡を様々な角度で撮った写真が自分と合う素質を垣間見られた(もちろんその後の追求が全く異なるが)。木の葉を使った「習作」は生前は発表されなかった。
イェール大学時代からいよいよ「正方形讃歌」が本格化。教え子達の作品も交え(それも残してある)。各正方形の比率はどの作品でも共通。色は原則的には混色しない(今回の展覧会では1作品の1色だけ混色で作った色有り)。初期は色相の異なる色の組み合わせを実験してきたが、晩年にはほぼ同系色の色しか使わない境地に。今までの作品を自身が段階的に解説した版画集など見ていると、この人の探究の方針はずっと変わらなかったのでは、とまで思えてくる。
妻のアニ・アルバースも芸術家(織物など)。

カタログ(3850円)購入。ジョゼフやアニの本や伊藤俊治?氏のバウハウス本なども気になったけれど、資金難…
(2023 09/10)

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