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ピンカートンにも事情があった…『蝶々夫人』

先週末、東京二期会のオペラ『蝶々夫人』を観ました。東京文化会館大ホール、5階席まである巨大ホールで、私は大抵1万円超えない4階か5階席あたりで観劇します。が、今回は奮発して…1万円超えないB席!(下世話でごめんなさい)しかも数ヶ月前に二期会のHPで取ったので、3階正面、3列目の真ん中というB席の中ではとても良い席を取れました。オペラグラスが無くても役者さんも豆粒じゃないし、字幕もちゃんと読める!

『蝶々夫人』は日本を舞台にしたイタリアのオペラ。海外の歌劇団の上演だと、音楽は素晴らしいんだけど、どうしても衣装とかはヘンテコで(映画とかでもありがちですが)違和感が拭えない。これぞエキゾチックと言われましてもねー。
だから一度、日本の歌劇団による公演を見てみたくて、今回奮発した訳です。思った通り、日本人のは見た目の違和感がないので感情移入しやすく、ようやく日本の話なんだなと実感できました。

そして今回の宮本亜門さんの演出は、ピンカートンが蝶々夫人を捨てた事を亡くなるまで後悔し続けた様子を丁寧に表現していて、もはやピンカートンが「浅はかなヤンキー」ではなくなっているところがとても好き。 (元々の話だと、「一生後悔するだろう」とサラリと歌って終わっちゃうので、「酷い奴」の印象が抜けない。)
冒頭からあの有名なオペラとはまったく別物と思うほど印象が違った。話が進むと、なるほど『蝶々夫人』なんだけど。演出家が変わるとこうも違うんだなぁ。

衣装が高田賢三さんというのも興味深く、舞台装置にも彼らしい艶やかな花々が使われていた。
あっという間の3時間だった。

調べてみたら『蝶々夫人』には元々日本駐在経験があるアメリカ人の話に基づいた原作があって、それを更にプッチーニが熱心に日本文化を研究したうえでオペラにしたということらしい。だからちょっと日本人が手を加えただけで、ここまで本物の日本のオペラになれるのかも。
世界的に評価される作品ってそういうことなのねぇ。

#二期会オペラ
#蝶々夫人
#宮本亜門
#高田賢三

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