緑の音楽に蝕まれて


はじめに。
この記事は、「おすすめCDアドベントカレンダー」というひいらぎさんの企画に参加させて頂いたものです。
23日目です。
ひいらぎさんありがとうございます!

はじめまして、みんてぃあと申します。
いつもはUNISON SQUARE GARDENというバチバチにかっこいいバンドのファンをしています。

UNISON SQUARE GARDENのファンと言いましたが、今回紹介するのは彼らのCDではありません。また今度語れたらいいなぁ。

今日紹介させていただくのは、私が邦ロック界隈に生息するようになったきっかけのバンド、Mrs. GREEN APPLEのメジャーデビューアルバムです。めちゃくちゃ好きなので一曲一曲レビューをしたいと思ってます。
しかし。
残念ながら私は語彙力が恐ろしく乏しい者です。愛は持っているが、それに伴った言葉を持ってない。完全に勢いで愛をぶつけます。怪文書になる事間違いないので、(さらにこのような場で文章を書くのははじめて)(先が思いやられる)生暖かい目で見守って下さると嬉しいです。

長い前置きだなぁ。すみません。本編行きます。

2015年にメジャーデビューしたMrs. GREEN APPLE、「青と夏」とか、「ロマンチシズム」とか「インフェルノ」が有名だと思います。YouTubeにあるので是非。良いなと思ったら別の曲も是非。ライブ映像もとても素敵です。ギターボーカルの大森元貴さん、ライブでも馬鹿高い音を正確に当てて来るのでバケモンです。すみません。聴け。




道徳を食べる

はい。私が今回紹介させていただくのはMrs. GREEN APPLEVariety という
ミニアルバムです。トレーラー貼っとくので聴いて。

収録曲です。

1, StaRt
2, リスキーゲーム
3,  L.P
4, VIP
5, ゼンマイ
6, 道徳と皿


ジャケットが、もう、狂おしい程好き。
皿の上に浮かんでいるのは、色とりどりの野菜や果物や植物。皿にのっているんじゃないんですね。もちろんリンゴもあります。このジャケットについて大森さんはこのように語っています。

宙に浮いてる果物は、人の道徳観、自分の人生観、人間の脆い部分を表現していて、いつ落ちてしまうか分からない危険がある。絶望があるから幸せがあるとか、寂しい感情があるから楽しい感情があるとか、そういうもの


この時、大森元貴19歳。しっかりと自分の倫理観を持っています。私もそういう人になりたい。

さて、それでは1曲1曲の愛を勢いでぶつけたいと思います、準備はよろしいでしょうか。

1, StaRt

私がミセスを知った曲です!ドラムロールから始まるポップなイントロ、大森さんの爽やかな歌声。一気に心臓を掴まれました。サウンドも沢山!法螺貝、ピッコロ、バンジョーetc……聴く度に発見があるんです。そしてこの曲、言葉遊びも凄く多いんですよね。先に歌詞を見ずに、その後歌詞を見て気づいてほしい。大森元貴の造語沢山。なで肩ブームって何?
しかし、大森元貴はポップでキャッチーなメロディに自分の思いをのせてしまう。この曲の歌詞には、何度も「愛」という言葉が出てきます。色んなことが次々と起こる人生の中で、如何に小さな事に愛を見いだせるか。幸せと思える貴重な時間を、どれだけ過ごせるかはいつでもスタートでいる事が大切。(大森さんがどのように考えてこの歌詞を紡いだか、本当のことはもちろん分からないので偉そうに言えませんが……)ハッとさせてくれました。
MVもカラフルで視覚的に楽しい!見て!


2, リスキーゲーム

ギターイントロが可愛い。キーボードが曲を更に色とりどりにします。3分まで満たない短い曲ですが、メロディも歌詞も濃密。1つの曲で沢山展開していきます。急に三拍子になったり、急に大人しくなったり……個人的にはサビ前のブレイクがかっこいい!好き!その後の大森元貴の伸びやかな歌声!最高!綺麗な高音ももちろん、ドキッとさせるような低音も出せちゃう大森元貴、何者?是非注目して聴いていただきたいです!
冒頭の歌詞に、「人生はリスキーゲーム」とあるように、この歌は人生を1つのゲームと例えて進んでいきます。「勝ち負けではないけど、こだわる」、自分のことだけど、他の人と比べてしまう。「踊り疲れたけど、眠りはしない」。めくるめく毎日に嫌気が刺したり一喜一憂してしまうけど、決して死にはしない。いろいろな解釈が出来ると思います。そして最後には、こんな歌詞が出てきます。

このペースで生きていて
どのケースで死んでって
その間に思う幾つもの感情と
寄り添って歩いてって
その結果がなんだって
歩いた足あと数えればいいだろう

私が1番好きな歌詞です。StaRtと似たようなものを感じます。微々たる愛だけでなく、生きているあいだに何回も湧き出てくるあらゆる感情を、大切にして生きていたい。好きだなぁ(感嘆)

3, L.P

私を一気に狂わせた曲!!!!!これマジでやばいんですよ、ここで一気に毒気が、もう、体内に染み込んでくる感じ!!!!イントロのギターが頭の中を巡って、Aメロのベースラインが優しくて、ドラムのチキチキカタカタがリズムを正確に刻み、ピアノの音が曲を更に儚くさせるんですよォ!!そして囁くように甘い歌声と心がスーッと浄化されるような高音!!!!!大好き!!!!!
歌詞は恋の話ですが、あれ、なんか重くね?

死にたくないから 忘れないで
お願いどうか 生かしていて
不安になるから 何回だって
何回だって 何回だって
死にたくないよ 殺さないで
お願いどうか 愛していて
不安になるから 何回だって 
何回だって 何回だって
言って

めちゃくちゃ好きだから引用も長くなっちゃったZE。命を懸けてしまうほど相手を愛しているが、逆に私は貴方からの愛が途切れてしまったら、死んでしまう。貴方から愛が本当に注がれているのか不安になっちゃうから、何回も、貴方の口から言って欲しい言葉がある。愛を確かめても、虚しい。矛盾が行き交うけど、私はあなたの愛に溺れていく。大森元貴、どんな恋愛したん?
そしてそして……
L.Pって不思議なタイトルですよね。
意味は「Love Person」らしいですぜ。
すきです。


4, VIP

緑の毒がくるくる回ってきて、体がどんどんおかしくなってきた……なんだよ、なんか言われてる……幻聴……?みたいな感じになる曲です。(?)
聴こえてくるのは罵詈雑言。皮肉。それを可愛い歌声で行ってくるんだからもう、ヤバい。

もしかして気づいて無いとでもいうの?
あなた達が壊したのに
昨今のあなたは鼻につくわ
なんででしょう なんででしょう

どこかチクリと心を刺されるような歌詞です。私が誰かの大切なものを知らないうちに壊してるのでは?ワタクシ、聴いてるうちに心配になってしまいました。上品な言葉で、だけどここぞという時には剥き出しの言葉で罵倒していくのが、どこか爽快です。面白い比喩も使われています。乳歯?なんでだろう。そしてこの曲、ベースソロあります。ベースソロの後にギターが重なって、最後にピアノの不協和音が間奏をぐちゃぐちゃにしてしまうの、大好き。イントロも印象深く、ライブでめちゃくちゃ盛り上がるんですよ、この曲。ムカついた時にぜひ聴いてみてください。

5, ゼンマイ

ここから、緑の毒で侵されていた身体が、静かに浄化されていきます。優しいバラードです。
この曲はツインボーカルで、大森元貴さんとドラムの山中綾華さんが歌っています。大森さんの声と山中さんの声、相性良すぎでは?大森さんの包み込むような低音を、さらに彩る山中さんの歌声。キーボードのキラキラした音、ギターの優しい音色。文字で表現するなんて無理。聴いて。聴いて欲しい。
歌詞は、人生に行き詰まったり悩んでいる人をそっと元気づけてくれます。

報われない気持ちが続いていく毎日で
救われない人達がいるのが現実で
笑って泣いて溜めては吐いて
霞みゆくこの僕の世界
泣いて泣いて笑って泣いて
素晴らしいよ その君の世界

愛想笑いして、価値観が合わずに生きづらくなって泣いて、またストレスが溜まって、どこがでぶちまける。そうしてるうちに自分がなんで生きているのか分からなくなってしまう。でも、泣いて笑ってを繰り返していくうちに、自分が生きている意味を少しづつ取り戻していく。
歌詞、ものすごくストレートじゃないですか?きっとストレートな歌詞だからこそ、心にすーっと入っていくんですね。

余談を一つだけ。
このゼンマイのレコーディングの際に、ギターの若井滉斗さんが熱を出して、そのままレコーディングしたという裏話があります。熱出たまんまレコーディングするなんて、どっかで聴いたことがあるな……(某バンドの漢字ばっかりの文字化け曲) よくある事なのかな?

6, 道徳と皿

私、この曲がこのアルバムで1番好き。
何かが生成されていくように、少しづつ大きくなっていく音。なんだと思ったら、次の瞬間突然ギター!!何このイントロ!!めちゃくちゃかっこいい!!熱を帯びたイントロに耳をすませば、聴こえてくるのは無機質な冷たい音をしたキーボード。この温度差!!大好き!!イントロだけで飯3杯いける。ガチ。
忙しい現代社会に生きるのはとても苦しいし疲れる。この曲を何か忘れてるものあるんじゃない?と教えてくれます。

こんな世界を未だ憎めないのは何故か
気づいてるよ わかっては居るけど
“生き抜くには傷を付けなければ”なの?
どうか「道徳」を 今
さぁ お食べ

生きてるだけで辛いことが沢山降り掛かって来るのに、どうして自分はこの世界を愛してるんだろう。気づいてるんだけど、何かは分からない。誰かに問うばかりの日々です。人につけられた傷は、人に癒して貰うしかない。だから大森元貴は、「道徳」を差し出します。

こんな世界でずっと、
生きてゆこうと思うんだ
温かいモノを忘れないこと。

すれ違う思い 泣き合えた「青春」も
そうか。「道徳の果実」を食べて
どうか どうか諦めず
さぁ 笑え

さぁ はじめてみて

目に見えた幸せも、いつかは壊れてしまう。どうしようもないこの世界を生きるためにはただ1つ、「温かいモノ」を忘れないこと。
今まで自分が、様々な喜怒哀楽に囲まれて生きてこれたのは全部道徳があったから。人に愛を注がれていたから。ここまでこれてるんだから、きっとこれからもできるよね。今度は自分が、人にたくさん「道徳の果実」をあげなくちゃいけない。
この曲を通じて何回もハッとさせられる事が多かったです。
すごく薄っぺらい言葉になってしまうけど、歌詞が最高に良いしメロディもバチボコにかっこいいから聴いて。私はいつもCメロで涙がボロボロ出てきます。


端まで巡る緑の音楽

このアルバムは、「喜怒哀楽」で構成されています。
喜 は、StaRt。
怒 は、VIP。
哀 は、L.P。
楽 は、リスキーゲーム。
そしてゼンマイと道徳と皿で、この4つの感情を優しく浄化していく、という感じ。
そして、アルバムを通して教えてくれるのは、「生き方」と「愛」なんじゃないかなぁと思います。

道徳の皿のアウトロが消えた時、「あ、また聴きたい」と思ってしまいます。
例えるなら、中毒。完全にVarietyという心地よい緑の毒に蝕まれてたんですね。
ずっと体内を侵されていたい毒です。

このアルバムがなかったら、今頃私死んでたんじゃない?っていうくらいには救われました。邦ロックに興味を持ったのも、こんなにひとつのアルバムを愛せているのも、全部Varietyのおかげです。

正直に言うと、最近は全然これ聴いてなかったし、なんならこの企画がなければ改めてこのアルバムについて深く考えるなんて事しなかったと思います。ひいらぎさん本当にありがとうございます。そして過去の自分、参加を決めて正解だったぞ。この記事を書く為に色々思い出したり、聴いたりしたんですけど、やっぱりこのアルバム、涙が出るくらい好き。出会えてよかったなぁ。再確認できて嬉しい限りです

はい、勝手にしみじみしちゃってますね。
もうそろそろお開きかな?めちゃくちゃ長くなっちゃったじゃん。「聴いて」しか言ってないし。

しかし聴いて欲しいのは本当です。
下にもう1回トレーラー置いときますね。
少しでもこのアルバムの良さが皆さまに伝わって、少しでも「聴いてみようかな」と思って頂ければ幸せです。
最後までありがとうございました!

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