憲法草案〜第3章 国民の権利〜信教の自由

現行憲法の信教の自由

第二十条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
第二十条2
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
第二十条3
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

1項で「何人に対してもこれを保障する」となっています。
例えば、外国人が日本国内で布教活動をしても良いことになります。
1項を維持するために、宗教団体および法人から税を徴収していない立て付けになっています。
3項、宗教団体を支持母体とする政党や閣僚による靖国神社参拝等が、政教分離に反していると言われています。

自民党(2012年)草案の信教の自由

第二十条(信教の自由)
信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。
第二十条2
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
第二十条3
国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。

1項、「何人に対しても」が削除されています。
信教の自由を保障はするけど、なんらかの制限があるよと言っています。
3項、「その他の公共団体」が何を指すのか分かりませんでした。
「ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。」が追加されています。これは、国家神道や日本会議の臭いを感じます。

独自草案の信教の自由

第二十条
信教の自由は、公共の福祉に反しない限り、これを侵してはならない。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
第二十条2
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
第二十条3
公務員及び国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

1項は、悩みつつ「公共の福祉に反しない限り、これを侵してはならない。」としました。
オウム真理教事件に代表される、いわゆるカルト団体を宗教と認めるか。
宗教をバックボーンに持つテロ組織を認めるか。等
複雑化している社会情勢の中で、どのように権利を調整していくか、コンセンサスが必要と思います。
3項には、「公務員及び」を追加しました。
政教分離をより厳格にする必要があると思います。
宗教色を完全に排除することは難しいかもしれませんが、過去の過ちを繰り返さないという意味で、戦災や天災等の公営慰霊施設は有っても良いと思います。

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