憲法草案〜第6章 司法〜司法の独立

現行憲法の司法の独立

第七十七条
最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
第七十七条2
検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
第七十七条3
最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第七十八条
裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

司法を国会(立法)や内閣(行政)からの独立を定めています。
そのため、自分たちのルールは作って良いと言っています。
第七十八条は、裁判官といえど公務員ですが、その公務員を行政が処分をしてはならず、特別な身分保証をしています。

自民党(2012年)草案の司法の独立

第七十七条(最高裁判所の規則制定権)
最高裁判所は、裁判に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
第七十七条2
検察官、弁護士その他の裁判に関わる者は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
第七十七条3
最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第七十八条(裁判官の身分保障)
裁判官は、次条第三項に規定する場合及び心身の故障のために職務を執ることができないと裁判により決定された場合を除いては、第六十四条第一項の規定による裁判によらなければ罷免されない。行政機関は、裁判官の懲戒処分を行うことができない。

2項に「弁護士その他の裁判に関わる者」としています。
数少ない、分かりやすくなった条文と思います。
第七十八条は、現行「公の弾劾」となっているところを、条項に変えています。

独自草案の司法の独立

第八十七条
最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
但し、法律と矛盾が生じた場合、法律を優先する。
また、国会は矛盾が生じる恐れのある法律案には、司法の独立に配慮しなければならない。

第八十七条2
検察官、弁護士その他の裁判に関わる者は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
第八十七条3
最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第八十八条
裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。

第八十七条1項に、「法律との矛盾が生じた場合、法律を優先する。」としました。
主権者たる国民の代表が定めた法律を優先すべきです。
だからといって、司法の独立を脅かしてはならないため、「国会は矛盾が生じる恐れのある法律案には、司法の独立に配慮しなければならない。」としました。
どんな法律を作っても良い訳では無いといっています。

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